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答弁本文情報

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令和二年十二月八日受領
答弁第四三号

  内閣衆質二〇三第四三号
  令和二年十二月八日
内閣総理大臣 菅 義偉

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員早稲田夕季君提出障害者虐待防止、差別禁止のための関連法制の改正と医療的ケア児のインクルーシブ教育推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員早稲田夕季君提出障害者虐待防止、差別禁止のための関連法制の改正と医療的ケア児のインクルーシブ教育推進に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「全国の施設運営の実態」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省においては、毎年度、都道府県及び市区町村における障害者虐待事例への対応状況等について全国的な状況を明らかにするための調査を実施しており、当該調査において、障害者虐待(不適切な身体拘束等を原因とする身体的虐待等を含む。)の事実が認められた件数、障害者虐待の事実が認められた施設等における障害者虐待の発生要因、障害者虐待の事実が認められた施設等における障害者虐待防止に関する研修の実施や虐待防止委員会の設置等の障害者虐待防止に関する取組の実施状況等を把握している。

二について

 障害者福祉施設従事者等(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成二十三年法律第七十九号。以下「障害者虐待防止法」という。)第二条第四項に規定する障害者福祉施設従事者等をいう。)による障害者虐待に該当する行為については、同条第七項に規定されており、厚生労働省が作成した「市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応の手引き」において、その具体例を示している。また、障害者虐待防止法第十六条第四項においては、「障害者福祉施設従事者等は、第一項の規定による通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。」とされ、さらに、障害者虐待防止法第十九条においては、「市町村長又は都道府県知事は、・・・当該通報又は届出に係る障害者に対する障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の防止・・・を図るため、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律その他関係法律の規定による権限を適切に行使するものとする。」とされており、御指摘の「通報者の保護や監査」については、これらの規定に基づき、必要な対応が行われていると考えている。
 また、障害者虐待防止法においては、精神科病院や学校の従事者による障害者虐待の通報や通報した者の保護等に係る規定はないが、障害者虐待防止法附則第二条において、学校や医療機関等(以下「関係機関」という。)における障害者に対する虐待の防止等の体制の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされたことを踏まえ、厚生労働省において「障害者虐待事案の未然防止のための調査研究」を実施した上で、平成三十年十月二十四日に開催された社会保障審議会障害者部会において検討を行った結果、障害の有無にかかわらず利用される関係機関において障害者への虐待のみが通報対象となる不整合が生ずる等の理由から、障害者虐待防止法第二十九条及び第三十一条に規定される学校の長及び医療機関の管理者における障害及び障害者に関する理解を深めるための研修の実施等の措置の実効性の確保等に取り組むこととされたことを踏まえ、同省においては、現在、当該措置の実効性の確保等に取り組んでいるところである。
 このため、現時点において、御指摘の観点からの障害者虐待防止法の改正が必要とは考えていない。

三について

 御指摘の障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第三条第二号の「可能な限り」という文言は、障害が重度であって必要な設備の整った施設で適切な医療的ケアを受けなければならない者等が必ずしもその身近な場所では適切な支援を受けられない場合もあり得ることを踏まえて規定されたものであるが、同号は、障害者が地域社会において他の人々と共生する自由を妨げられない旨を規定したものである。この趣旨を踏まえ、政府としては、「障害者基本計画」(平成三十年三月三十日閣議決定)に基づき、引き続き、「障害者の地域移行を一層推進し、障害者が必要なときに必要な場所で、地域の実情に即した適切な支援を受けられるよう取組を進める」ことを基本的考え方として、各種施策に取り組んでまいりたい。
 また、御指摘の「グループホームなど障害者施設の建設に反対する周辺住民との紛争解決」については、そのような紛争は障害者に対する理解が十分でないことが要因の一つであると考えられることから、政府としては、紛争の防止等及び障害者に対する理解の促進を図るため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)第十五条に規定する国及び地方公共団体による啓発活動等の取組を行っているところである。

四について

 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第三十七条等の規定に基づき、各学校において、各学校の設置者の判断により、喀痰吸引等を行う介護職員を配置することが可能であり、その報酬については各学校の設置者において判断するものと考えている。

五について

 御指摘の「地域の学校へ通学する場合」については、「要保護児童生徒援助費補助金及び特別支援教育就学奨励費補助金交付要綱」(昭和六十二年五月一日文部大臣裁定)に基づく特別支援教育就学奨励費補助金において、市町村が障害の状態・特性等、通学の安全性等の実情を考慮した上で必要であると判断する場合には、小学校等への通学に要する交通費として、福祉タクシー等の利用料を補助対象とすることが可能である。

六について

 御指摘の「合計で週四十時間に満たない非常勤にも適切な報酬を認める」の意味するところが必ずしも明らかではないが、児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成二十四年厚生労働省告示第百二十二号)に基づく放課後等デイサービスに係る看護職員加配加算については、常勤換算で看護職員を一名以上配置している場合に算定することができることとしており、週四十時間に満たない複数の非常勤の従業員の勤務時間を合算して週四十時間以上となる場合についても算定することができるが、当該勤務時間を合算した上でなお週四十時間に満たない場合について当該加算を算定することができるように見直すことについては、現時点において考えていない。

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