衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和三年三月九日受領
答弁第五七号

  内閣衆質二〇四第五七号
  令和三年三月九日
内閣総理大臣 菅 義偉

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員早稲田夕季君提出旧ソ連における抑留死亡者の遺骨収集に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員早稲田夕季君提出旧ソ連における抑留死亡者の遺骨収集に関する質問に対する答弁書


一について

 ロシア連邦政府に対しては、日本人でない遺骨が収容された可能性があると指摘された埋葬地に関する情報及び遺骨のDNA鑑定の結果を伝え、遺骨の返還に向けた協議を行っており、ロシア連邦政府と意見交換を行った結果、今後も情報共有及び意見交換を継続して行う必要があること、また、旧ソヴィエト社会主義共和国連邦の地域における遺骨収集は、捕虜収容所に収容されていた者に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定(平成三年外務省告示第三百十一号)に定められているとおり、人道的観点に立脚し、両国民間の真の相互理解及び相互信頼の強化を目指し、実施してきたものであり、今後とも継続して行う必要があることについて、ロシア連邦政府と認識を共有している。

二について

 収容された遺骨の一部が日本人の遺骨でない可能性があるとの指摘を厚生労働省の「戦没者遺骨のDNA鑑定人会議」(以下「鑑定人会議」という。)において受けたにもかかわらず、当該指摘への対応や事案の公表等の適切な対応がなされなかったことを踏まえ、令和二年五月二十二日に、同省職員四名に対し、文書による厳重注意を行った。

三について

 厚生労働省の「戦没者遺骨収集推進法に基づく指定法人への指導監督等に関する有識者会議」の下に設置された外部の有識者による「日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘された後の対応に関する調査チーム」が令和元年十二月二十三日に取りまとめた報告書においては、お尋ねの「隠ぺい」があったとの指摘はなされていない。
 なお、同省においては、収容された遺骨の一部が日本人の遺骨でない可能性があるとの指摘を鑑定人会議において受けたにもかかわらず、当該指摘への対応や事案の公表等の適切な対応がなされなかったことについて、当該報告書の指摘を真摯に受け止め、戦没者の遺骨収集事業及びその実施体制の抜本的な見直しに取り組んでいるところである。

四について

 厚生労働省においては、同省の「戦没者の遺骨収集に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という。)が令和二年五月十四日に取りまとめた「「日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘された埋葬地」事案についての有識者会議の意見」中「二.厚生労働省への要望」の(一)から(四)までの要望を踏まえ、同月二十一日に「戦没者遺骨収集事業及び事業実施体制の抜本的な見直しについて」を取りまとめており、これに基づく取組を進めているところである。
 具体的には、当該要望の「(一)遺骨収容について」に関しては、日本人の遺骨である蓋然性が高い場合に、DNA鑑定に用いる検体を持ち帰ることとし、それ以外の部位は未焼骨のまま現地で保管することとするなど、遺骨の収容のプロセスを抜本的に見直し、その内容を同省作成の「戦没者遺骨収集等における手順書」に反映する等の対応を行っている。
 当該要望の「(二)遺骨鑑定とその結果に基づく対応について」に関しては、遺骨の身元特定のためのDNA鑑定に加えて、遺骨の所属集団の鑑定を行うこととするなど、遺骨の鑑定のプロセスを抜本的に見直し、同省の「所属集団判定会議」における判定等を行っている。
 当該要望の「(三)将来に向けた遺骨収容と鑑定の体制づくりについて」に関しては、同省に、戦没者の遺骨の鑑定や鑑定に関する研究等を行う「戦没者遺骨鑑定センター」を立ち上げる等の体制整備を行うとともに、戦没者の遺骨のDNA鑑定や遺骨収集の手順、心得等に関する研修等を行っている。
 当該要望の「(四)組織としての対応について」に関しては、同省の「遺骨収集事業統括チーム」において遺骨収集事業の進捗管理や課題の共有等を行うとともに、収容した遺骨のうち「所属集団判定会議」において日本人の遺骨である蓋然性が低いとされたものについて、その内容の速やかな公表や有識者会議への報告等の対応を行っている。

五について

 御指摘の「探索のための機材の投入と事前調査の充実」及びお尋ねの「研究・検討」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律(平成二十八年法律第十二号)第五条第一項の規定に基づき策定した「戦没者の遺骨収集の推進に関する基本的な計画」(平成二十八年五月三十一日閣議決定)に基づき、抑留中死亡者の埋葬地等について、資料調査や民間団体等との連携により有力な証言を得ること等により確度の高い遺骨に関する情報を得た上で、現地調査を実施することとしており、現地調査の実施に当たっては、厚生労働省においてロシア連邦政府等から提供された資料等の整理及び分析等を行うとともに、現地においては、地盤や地形等を考慮し、適宜、必要な器材や重機を使用している。
 なお、御指摘の吉田欽哉氏が参加した現地調査については、同省から同氏に対して調査の内容等を事前に伝えるとともに、必要な態勢を確保した上で調査を実施することとし、現地においては、同氏の証言を参考としながら可能な範囲での調査を実施したところである。

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.