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令和五年十月三十一日受領
答弁第一号

  内閣衆質二一二第一号
  令和五年十月三十一日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員早稲田ゆき君提出遺族年金と養育費に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員早稲田ゆき君提出遺族年金と養育費に関する質問に対する答弁書


一について

 御質問の趣旨が必ずしも明らかではないが、遺族年金を受けることができる遺族は、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第五十九条第一項又は国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第三十七条の二第一項の規定及び「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」(平成二十三年三月二十三日付け年発〇三二三第一号厚生労働省年金局長通知。以下「局長通知」という。)に基づき、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持した関係にあった者(以下「生計維持関係にあった者」という。)であることを要するところ、御指摘のような、経済的な援助が全くない場合については、生計維持関係にあった者と認定されることはないものと考えている。

二について

 御指摘の「生前の非倫理的で、不当な債務不履行が、遺族年金の受給結果に反映されてしまう制度に結果的になっている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生計維持関係にあった者の認定に当たっては、関係法令、局長通知等に基づき、生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること等を考慮することとしているところ、当該認定の在り方については、社会保障審議会年金部会における制度改正等の議論の中で検討を進めているところである。

三について

 御指摘の「幅広い裁量」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生計維持関係にあった者の認定に当たっては、局長通知に基づき、生活費、療養費等の経済的な援助が行われていることのほか、定期的に音信又は訪問が行われていること等を考慮することとしている。なお、日本年金機構においては、遺族年金の給付事務について、関係法令、局長通知等に基づき、生計維持関係にあった者の認定を含め適切な対応に努めているところである。

四について

 生計維持関係にあった者の認定に当たっては、厚生年金保険法第五十九条第一項又は国民年金法第三十七条の二第一項の規定により、死亡の当時の関係に基づき判断することとしており、一般に、お尋ねの影響はないものと考えている。

五について

 御指摘の「養育費の受領率引上げの国策との整合性」及び「養育費の支払い実績ではなくその確定債権をもとに生計維持関係を認定するという方針を法令上明記」の意味するところが必ずしも明らかではないが、遺族年金を受けることができる遺族は、厚生年金保険法第五十九条第一項又は国民年金法第三十七条の二第一項の規定及び局長通知に基づき、生計維持関係にあった者であることを要件としており、当該要件を見直すことは、現時点では考えていない。

六について

 御指摘の「子のない再婚相手が被保険者による前妻の子に対する養育費の未払いを助長せしめ、結果として、養育費が未払いである前妻の子が遺族厚生年金を受給できずに、被保険者の債務不履行を手伝った再婚相手が、遺族厚生年金の受給者となってしまう実態」について、政府として網羅的に把握しているわけではない。
 また、「債務不履行という違法行為に国が加担していると言わざるをえないのではないか」とのお尋ねについては、御指摘の「債務不履行という違法行為に国が加担」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、日本年金機構においては、関係法令、局長通知等に基づき、生計維持関係にあった者の認定を含め適切な対応に努めているところである。
 加えて、「確定債権をもとに生計維持関係を認めるべきではないか」とのお尋ねについては、五についてでお答えしたとおりである。

七について

 御指摘の「親子交流の有無や回数」及び「子のない再婚相手が被保険者による前妻の子との親子交流の断絶を助長せしめる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生計維持関係にあった者の認定に当たっては、生活費、療養費等の経済的な援助が行われていることのほか、定期的に音信又は訪問が行われていること等を考慮して、総合的に判断する必要があると考えている。

八について

 御指摘の「1」の支給停止については、御指摘の「前妻の子」が遺族基礎年金の受給権を有するが、「前妻の子」が御指摘の「前妻」と生計を同じくするときは、「前妻の子」は「前妻」によって扶養されると考えられることから、「前妻の子」の遺族基礎年金の支給を停止するものであり、また、御指摘の「2」及び「3」の支給停止については、御指摘の「再婚相手」が子を有するときは、「再婚相手」及び「再婚相手」によって養育される当該子の生活の安定を図る必要性がより高くなる場合が多いと考えられることから、「再婚相手」に遺族基礎年金及び遺族厚生年金を支給し、「前妻の子」の遺族基礎年金及び遺族厚生年金の支給を停止するものであり、御指摘のように「国民の感覚から乖離し、社会通念上妥当性を欠いている」とは考えていない。いずれにせよ、遺族年金の支給停止の在り方については、社会保障審議会年金部会における制度改正等の議論の中で検討を進めているところである。

九について

 御指摘の「遺族基礎年金と遺族厚生年金の趣旨・制度にねじれを生じさせている」の意味するところが明らかではないが、遺族基礎年金については、昭和六十年の年金制度改正において、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)による改正前の国民年金法(以下「旧国民年金法」という。)第三十七条の規定により子のある妻が受給権者となる母子年金、旧国民年金法第四十一条の二の規定により孫又は弟妹がいる妻が受給権者となる準母子年金及び旧国民年金法第四十二条の規定により父又は母を亡くした子が生計を同じくする父又は母がいないときに受給権者となる遺児年金を引き継いだもので、遺児年金において父又は母と生計を同じくすることとなった場合に失権するものとされていた規定を支給停止に改正したものである。この支給停止は、遺族基礎年金の受給権を有する子が当該子の父又は母と生計を同じくするときは、当該子は当該父又は母によって扶養されると考えられることから、遺族基礎年金の支給を停止することとしたものである。一方で、遺族厚生年金については、昭和六十年の年金制度改正において、全国民を対象とする遺族基礎年金に加え、被用者独自の報酬比例の年金として制度体系が改められたことに伴い、対象となる遺族の範囲及び順位を遺族基礎年金と同様とするために子のない配偶者より子の受給権を優先することとしつつ、当該子が父又は母と生計を同じくするときであっても支給を停止することとはしなかったものであり、それぞれ固有の制度の趣旨を有するものである。いずれにしても、遺族年金の在り方については、社会保障審議会年金部会における制度改正等の議論の中で検討を進めているところである。

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