衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和五年十一月十四日受領
答弁第一八号

  内閣衆質二一二第一八号
  令和五年十一月十四日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員山井和則君提出岸田内閣の税制等にかかる政策の方向性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出岸田内閣の税制等にかかる政策の方向性に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「退職金課税の見直し」については、令和四年十二月十六日に与党が取りまとめた「令和五年度税制改正大綱」において、「退職所得課税について、勤続年数が二十年を超えると一年あたりの控除額が増加する仕組みが転職などの増加に対応していないといった指摘もある。(中略)個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢の七十歳への引上げや拠出限度額の引上げについて、令和六年の公的年金の財政検証にあわせて、所要の法制上の措置を講じることや結論を得るとされていることも踏まえつつ、老後に係る税制について・・・あるべき方向性や全体像の共有を深めながら、具体的な案の検討を進めていく」とされ、また、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二三」(令和五年六月十六日閣議決定)において、「退職所得課税制度の見直しを行う」とされており、退職所得課税を含め、老後に係る税制については、今後、与党税制調査会等において議論が行われていくものと考えているが、政府としては、当該議論を踏まえて対応していくこととしており、現時点においてお尋ねについてお答えすることは困難である。

二について

 お尋ねの「防衛力強化の租税措置」の実施時期については、「令和五年度税制改正の大綱」(令和四年十二月二十三日閣議決定)において、「令和六年以降の適切な時期とする」とされ、また、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二三」において、「「令和六年以降の適切な時期とする」とされている税制措置の開始時期については、令和七年以降の然るべき時期とすることも可能となるよう五兆円強の確保を目指す税外収入の上積みやその他の追加収入を含めた取組の状況を踏まえ、柔軟に判断する」とされており、今後、与党税制調査会等において議論が行われていくものと考えているが、政府としては、当該議論を踏まえて、これらの閣議決定の枠組みに基づいて判断することとなり、現時点においてお尋ねについてお答えすることは困難である。
 また、御指摘の「定額減税」は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和五年十一月二日閣議決定)における一時的な措置としての所得税及び個人住民税の定額減税を指すものと理解しているが、この定額減税については、同閣議決定において、「令和六年分所得税及び令和六年度分個人住民税の減税を実施する」とされており、それ以外の定額減税については、具体的に検討していないことから、「令和七年度にも実施される場合」や「将来的に」という仮定の質問にお答えすることは困難である。

三について

 御指摘の「高校生の扶養控除」については、「こども未来戦略方針」(令和五年六月十三日閣議決定)において、児童手当を拡充する際、「中学生までの取扱いとのバランス等を踏まえ、高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理する」とされており、今後、与党税制調査会等において、議論が行われていくものと考えているが、政府としては、当該議論を踏まえて対応していくこととしており、現時点においてお尋ねについてお答えすることは困難である。

四について

 後期高齢者医療の被保険者の医療費の一部負担金については、令和四年十月より一定以上の所得の者を二割としたところであり、当該所得の基準について検討を行う際には、社会保障審議会医療保険部会において議論が行われていくものと考えているが、御指摘の「原則二割負担」については、現時点で同部会において議論されておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

五について

 御指摘の「介護保険の利用者負担」については、一定以上の所得の者を二割としているところであり、当該所得の基準については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二三」において、「介護保険料の上昇を抑えるため、利用者負担の一定以上所得の範囲の取扱いなどについて検討を行い、年末までに結論を得る」とされていることを踏まえ、社会保障審議会介護保険部会において議論が行われているところであり、現時点においてお尋ねについてお答えすることは困難である。

六について

 御指摘の「介護職員の処遇改善」については、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」において、「医療・介護・障害福祉分野においては、二千二十四年度の医療・介護・障害福祉サービス等報酬の同時改定での対応を見据えつつ、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずる」とされており、これを踏まえ、まずは、喫緊の課題となっている物価高騰や賃金上昇への対応を行い、その上で、令和六年度介護報酬改定においても、必要な処遇改善の水準等の賃上げの在り方について検討してまいりたい。

七について

 御指摘の「放課後児童支援員等処遇改善等事業等の処遇改善メニュー」とは、平成二十七年度から実施している放課後児童支援員等処遇改善等事業、平成二十九年度から実施している放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業及び令和三年度から放課後児童支援員等処遇改善臨時特例事業として先行的に実施した上で令和四年度から開始した放課後児童支援員等処遇改善事業の三事業(以下「処遇改善三事業」という。)を指すものと理解し、また、御指摘の「放課後児童クラブの支援員の給与」とは、放課後児童支援員(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成二十六年厚生労働省令第六十三号)第十条に規定する放課後児童支援員をいう。以下同じ。)の賃金を指すものと理解しているが、政府においては、処遇改善三事業を通じてこれまで累次にわたり放課後児童支援員の賃金の改善に要する費用の補助に取り組んできている。
 放課後児童支援員の賃金は、当該放課後児童支援員の雇用形態、勤続年数、事業所の経営状況や処遇改善三事業の活用状況等を踏まえ、事業者と放課後児童支援員との個々の雇用契約で決められるものであることから、お尋ねの「月額いくら程度上昇」するかについてお答えすることは困難であるが、例えば、令和四年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「放課後児童クラブの運営状況及び職員の処遇に関する調査」において作成された報告書において、令和三年度の賃金額について、「令和元年度から継続して勤務している月給払いの常勤雇用者の場合、放課後児童支援員等処遇改善等事業による賃金改善額が年間三十八万七千二百十五円、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業による賃金改善額が年間二十万三千八百九十三円、放課後児童支援員等処遇改善臨時特例事業による賃金改善額が年間二万七百四十四円であった」とされており、処遇改善三事業は放課後児童支援員の賃金の上昇に一定程度の効果を上げるものと考えている。
 引き続き、御指摘の「支援員の人手不足を解消するため」にも、処遇改善三事業を通じて放課後児童支援員の処遇改善に努めてまいりたい。

八について

 御指摘の「保育士等の人員配置基準引上げ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、保育士等の職員配置基準の改善については、「こども未来戦略方針」において、「保育所・幼稚園・認定こども園の運営費の基準となる公的価格の改善について、公的価格評価検討委員会中間整理(二千二十一年十二月)を踏まえた費用の使途の見える化を進め、保育人材確保、待機児童解消その他関連する施策との関係を整理しつつ、取組を進める。具体的には、「社会保障と税の一体改革」以降積み残された一歳児及び四・五歳児の職員配置基準について一歳児は六対一から五対一へ、四・五歳児は三十対一から二十五対一へと改善する」とされており、お尋ねの実施時期も含め、具体的な改善方法について、令和六年度予算編成過程において検討してまいりたい。

九について

 御指摘の「利用率の低さも考慮要件の一つ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和五年十月二十四日の衆議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「現行の健康保険証の廃止は、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提との方針にのっとり、ひもづけの総点検とその後の修正作業の状況も見定めた上で、更なる期間が必要と判断された場合には、必要な対応、これを行ってまいります」と述べているところ、お尋ねの「更なる期間が必要と判断」については、同月三十日の衆議院予算委員会において、同内閣総理大臣が「総点検、そして修正作業の進み具合、これらを総合的に判断する」と述べているとおりである。
 また、御指摘の「利用率四・五%という数値」は、医療保険者が被保険者又は被扶養者の資格に係る情報を被保険者又は被扶養者本人のものと異なる個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第五項に規定する個人番号をいう。)と結び付けたこと等による御指摘のような「国民の不安」によるもののみならず、御指摘の「マイナ保険証」を利用することで、患者は本人の健康や医療に関するデータに基づいたより適切な医療を受けることが可能となるなどの様々なメリットが、国民に十分に浸透していないこと等によるものであると考えている。

十について

 御指摘の「資格情報のお知らせを携帯しなくてもよいという方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「資格情報のお知らせ」の「携帯」については、御指摘の「医療保険部会や「最終とりまとめ」」において、「オンライン資格確認の義務化対象外の医療機関等を受診する際などに」「マイナ保険証と合わせてスマートフォンを携行し、受診時に、マイナポータルの被保険者資格情報を提示することで、受診可能とする」、「マイナ保険証と、「資格情報のお知らせ」やこのお知らせを容易に携帯して利用しやすくする工夫をしたものを一緒に提示することで、受診可能とする」等とされ、これに基づき、オンライン資格確認を導入していない保険医療機関等を受診する際や、停電やICチップの破損などによりマイナ保険証(健康保険証として利用するための登録が行われた個人番号カードをいう。以下同じ。)が物理的に使用できない状況で保険医療機関等を受診する際などの例外的な場合にのみ、「携帯」が必要となり、原則どおりマイナ保険証でオンライン資格確認を行う場合や、スマートフォン保有者がマイナ保険証と合わせてマイナポータルの被保険者資格情報を提示する場合は、「携帯」は不要とすることとしている。このため、御指摘の「資格情報のお知らせ」の「携帯」は、常に必要があるものではなく、その判断は個々の被保険者に委ねられており、御指摘の岸田内閣総理大臣の国会における答弁についても、こうした趣旨を述べたものであり、御指摘の「医療保険部会や「最終とりまとめ」の方針」と異なるものではないと考えている。

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.