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令和五年十一月二十日受領
答弁第二〇号

  内閣衆質二一二第二〇号
  令和五年十一月二十日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員原口一博君提出経済産業省所管の基金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原口一博君提出経済産業省所管の基金に関する質問に対する答弁書


一の1について

 経済産業省において、同省の所管する基金(以下「経済産業省の基金」という。)については、その運用の透明性を向上させ、効率的に活用していくことが重要であると考えており、これまで、「行政事業レビューの実施等について」(平成二十五年四月五日閣議決定)に基づき、毎年度、経済産業省の基金に係る基金シートを作成し、公表するなどの取組を行ってきているが、令和五年度より、行政事業レビュー実施要領に基づき、当該基金シートにおいて、それぞれの保有資金規模、事業の終期、管理費等についての記載を充実させるとともに、その内容が適切か否かについての外部有識者による点検を導入するなど、それぞれの基金の運用の見直しを実施しているところである。さらに、経済産業省の基金に係る事業(以下「基金事業」という。)については、令和五年六月十九日及び同月二十日に開催された同省の行政事業レビュー公開プロセスにおいて同省として取り上げた合計六つの事業のうち五つを、基金事業とすることなど、点検を着実に行っているところであり、また、基金事業のうち御指摘の「令和二年度以降の新型コロナウイルス感染症拡大を背景に講じられた累次にわたる経済対策によって造成された」ものの数は二十五であり、現在、それら全ての運用を行っているところであるが、二つの基金事業において、毎年度の行政事業レビューの結果等を踏まえ、令和四年度末までに総額五千二百八十三億円の余剰資金を国庫返納しているところである。こうしたことから、御指摘のように「当初の事業目的が現在も存続していると言い難いものもある」とは考えていない。
 引き続き、これらの取組を進めながら、御指摘の「指示」や今後のデジタル行財政改革会議等における政府全体の方針などを踏まえ、個々の基金事業の目的や性質等を考慮しつつ、基金事業に関する不断の検証と必要な見直しを行ってまいりたい。

一の2について

 御指摘の「令和五年七月二十日に開催された経済財政諮問会議」において、全ての基金について、翌年度を含む中期の支出見通しを早期に公表し、執行管理を強化すべき等の指摘が外部有識者からなされたところであるが、行政事業レビュー実施要領等に基づき、経済産業省においては、例えば、経済産業省の基金に係る基金シートに記載する基金事業に要する費用に対する基金の保有金額等の割合を算出する際の基礎的な情報である、中長期における基金事業の執行見込み額について、これが合理性や現実性を欠いたものとならないよう、過去の基金事業の執行実績や具体的な補助事業(経済産業省の基金に係る補助金事業の対象となる事業をいう。以下同じ。)の需要等を基にして精度の高いものを算出することとしているところである。
 また、一の1についてで述べたとおり、今後のデジタル行財政改革会議等における政府全体の方針も踏まえながら、基金事業に関する不断の検証と必要な見直しを行っていく考えであり、適正な執行管理を含め、経済産業省の基金の適切な運用を進めてまいりたい。

一の3について

 お尋ねについては、経済産業省において、御指摘の「長年にわたり事業のための支出は行われず、人件費といった管理費のみに支出される利用実績の低い基金」については、補助事業を実施する事業者への補助金の交付が既に終了した場合においても、必要に応じて、例えば、成果報告の受理、補助金で取得した財産の管理、不正が発覚した際の対応、補助事業のモニタリングなどの管理業務を行っているところであり、また、「補助金等の交付により造成した基金等に関する基準」(平成十八年八月十五日閣議決定)に基づき、必要最低限の管理費用のみを支出した上で、毎年度、余剰資金を速やかに国庫返納しており、管理業務を行う必要がなくなった基金事業については、速やかにこれを廃止し、余剰資金を国庫返納しているところである。例えば、御指摘の「円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進基金」に係る事業については、同省において、補助事業を実施する事業者への補助金の交付が終了した後に、必要な管理費の精査を踏まえ、毎年度、余剰資金を国庫返納してきており、これまでに総額四百九十六億円を国庫返納しているところである。

二について

 御指摘の「燃料油価格激変緩和対策事業」については、経済産業省において、御指摘の「予算執行調査」における「指摘」の有無にかかわらず、これまで、業界団体に対して同事業の制度の趣旨の周知及び徹底についての協力を要請することや、ガソリンスタンドを対象としたガソリン価格等に関する全数調査を実施することなどの取組を通じて、御指摘のように「補助金全額」が「販売価格へ転嫁される」ようガソリンスタンドを運営する事業者に促してきたところである。
 また、お尋ねの「補助金全額が販売価格へ転嫁されるようになったかどうか」については、同事業による補助金の額が週ごとに変動する中で、各ガソリンスタンドにおける在庫状況によって補助金の小売価格に対する効果の発揮に時間差が生ずること等からより精緻な分析が必要と認識しているところであるが、当該取組を通じて、これまで、同事業の制度の趣旨が浸透し、小売価格が抑制されてきていると考えている。引き続き、様々な観点から精緻な分析を行い、政策効果を把握しながら、同事業を適切に実施してまいりたい。

三について

 御指摘の「中小企業等事業再構築促進基金」に係る補助金事業の対象となる事業(以下「対象事業」という。)の採択に当たっては、事業再構築補助金公募要領において、まず、事業再構築補助金事務局において、対象事業への応募に当たって提出された事業計画を精査することに加え、当該応募を行った事業者への支援の必要性等を考慮した上で、当該応募に対する評価を行い、さらに、外部審査員である中小企業診断士による審査並びに有識者によって構成される第三者委員会による審査及び承認を経て、採択するか否かを決定することとしていることから、御指摘のように「強みが異なるはずの複数の事業者が全く同内容の計画により採択されている」という事態は生じていないものと認識しており、また、同基金の政策目的の達成に資する対象事業であると考えられ、対象事業の審査基準を満たすものであれば、御指摘のような「「ゴルフ」や「エステ」、「サウナ」に関するもの」であるかにかかわらず、原則として、当該応募の内容が特定の業種であることを理由に一律で不採択とすることはしていない。
 また、「これまでに投じた国費約二兆円が日本経済の構造転換に資するものだったのかという検証が重要」との御指摘については、例えば、対象事業を行う事業者からこれまでに提出された事業化状況・知的財産権報告書において、同報告書を提出した事業者の約四十四パーセントが初年度における付加価値額の計画値を上回ったとしていることから、「中小企業等事業再構築促進基金」に係る補助金事業は、同基金の政策目標である対象事業を行う事業者の業種の転換等を通じ、御指摘の「日本経済の構造転換に資する」ものとなっていると考えている。
 引き続き、同補助金事業については、同報告書の検証、分析等を通じて効果を測定するとともに、同基金の政策目標の達成に向けて、適切に実施していく考えである。

四について

 御指摘の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発基金」については、ポスト五Gに対応した情報通信システムの中核となる技術の開発を通じて我が国におけるポスト五Gに対応した同システムの開発及び製造基盤を強化することを、御指摘の「特定半導体基金」については、先端半導体の生産拠点の整備を支援することを通じて我が国における特定半導体(特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(令和二年法律第三十七号)第二条第四項に規定する特定半導体をいう。)の生産施設の整備に係る投資を促進することを、また、御指摘の「安定供給確保支援基金」については、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和四年法律第四十三号)第七条の規定に基づき特定重要物資として政令で指定された半導体等の生産基盤の整備等に関して民間事業者等を支援することを通じて我が国における当該半導体等の安定供給の確保を図ることを、それぞれ目的として造成されたものである。
 このように、これら基金については、それぞれ異なる目的を達成するために造成されたものであるため、御指摘のように「半導体に関する基金が乱立している状況である」とは考えておらず、お尋ねの「基金の統合の必要性」はないと考えている。

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