衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和五年十一月二十日受領
答弁第二四号

  内閣衆質二一二第二四号
  令和五年十一月二十日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員原口一博君提出岸田内閣の財政運営規律と増税緊縮路線等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原口一博君提出岸田内閣の財政運営規律と増税緊縮路線等に関する質問に対する答弁書


一について

 御指摘の「金利上昇が懸念される中で、基金への巨額の拠出は利払いを通じて国民負担を増加させることにつながる懸念」の意味するところが明らかではなく、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、基金については、それぞれの事業を基金方式により実施することの必要性について、個々の事業の性質に応じて適切に判断した上で、必要な予算を措置しているものであり、また、二についてで述べる取組により、その効果的かつ効率的な活用を図ることが重要であると考えている。

二について

 御指摘の「急激に積み増した基金から非効率な支出がなされては意味がない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、基金事業については、今後とも、行政事業レビューの枠組みの下で、基金シートの作成・公表等を通じ、各府省庁が執行状況等を継続的に把握し、厳格な点検に取り組むとともに、こうした各府省庁の取組について、行政改革推進会議において検証を行い、検証結果が予算編成過程で活用されるよう意見を提出するなどして、その効果的かつ効率的な執行の徹底や執行管理の一層の適正化に不断に取り組んでまいりたい。

三について

 新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費及びウクライナ情勢経済緊急対応予備費については、令和六年度予算における計上の有無及びその額について、令和五年度における当該予備費の使用状況や経済社会情勢の変化を踏まえた検討を行っている。

四の1について

 お尋ねの「還元」については、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和五年十一月二日閣議決定)における「令和六年分所得税及び令和六年度分個人住民税の減税を実施する」ことを指している。

四の2について

 お尋ねの「「税収の増収分の一部を国民に「還元」する」ための財源」の在り方については、令和六年度予算の編成過程において検討していくこととしており、現時点でお答えすることは困難である。

五について

 令和五年二月十日の衆議院内閣委員会におけるたがや亮委員の質問における「預かり税」については、納税義務者以外の者が国等に納付する仕組みを念頭に置いたものと考えられるが、消費税については、納税義務者である事業者が国等に納付する仕組みを採っており、価格への転嫁を通じて最終的には消費者が負担することを予定しているものであり、このような税の性格から、政府税制調査会が平成十二年七月に取りまとめた「わが国税制の現状と課題−二十一世紀に向けた国民の参加と選択−」において「消費税が預り金的な性格を持つ税である」とされている。
 金子財務大臣政務官(当時)は、こうした点を踏まえ、同日の同委員会において「消費税は、消費税分が売上時に対価に含まれて、納税されるまでは事業者の下にとどまることから、預り金的性格を有するものである」と答弁するとともに、消費税は「預かり税」ではないという認識で問題ない旨を答弁したものである。

六について

 お尋ねの「輸出免税還付金」の意味するところが必ずしも明らかではないが、消費税の還付税額のうち輸出を原因としたものを区分して、その金額及び還付税額全体に占める割合を示すことは、消費税の申告手続において、還付税額のうち輸出を原因としたものを内訳として記載する必要がある等、事業者に多大な事務負担を課すこととなるため、困難であると考えている。

七について

 非正規労働者のうちパートタイム労働者のように直接雇用される者に対して支払う給与については、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)上、正社員に対して支払う給与と同様の取扱いとなり、また、非正規労働者のうち派遣労働者のように直接雇用されない者に関して支払う派遣料についても、平成二十五年三月六日の参議院本会議において、安倍内閣総理大臣(当時)が「派遣労働者の受入れ企業は、派遣料に係る消費税額を控除できることになりますが、一方で、人材派遣会社に対しては派遣料に上乗せして消費税を支払うことになるため、直接雇用の場合と比べて損得は生じないことになります。したがって、消費税が非正規雇用を拡大してきたということにはならないと考えております。」と答弁したとおりであって、消費税について、「非正規労働者を増やすことに繋がり、雇用の不安定化を招く」及び「弱い立場の人を余計に追い込む仕組みと言える」との御指摘は当たらないと考えている。

八について

 厚生労働省が公表する毎月勤労統計調査における実質賃金は、名目賃金の額から物価の変動分を取り除いた値であり、名目賃金はパートタイム比率や景気動向など様々な経済社会状況の影響を受けること及び物価は消費税率の引上げだけではなく価格設定に係る企業行動や輸入物価の動向など様々な経済社会状況の影響を受けることから、消費税率の引上げが「実質賃金に負の影響を及ぼしている」かとのお尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

九について

 御指摘の「二千四百五十億円」については、令和五年三月十日の衆議院財務金融委員会において、住澤財務省主税局長(当時)が「そのままインボイス制度導入に伴う増収額を示すものではなく、この試算については、あくまで、BトゥーB取引を行う全ての免税事業者が課税転換をするという仮定に基づく数字でございます。」と答弁したとおりである。
 また、「インボイス制度の導入は課税転換を強いられる免税事業者にとっては実質増税である」との御指摘については、同年六月十二日の衆議院決算行政監視委員会において、岸田内閣総理大臣が「インボイス制度は、あくまでも複数税率の下で適正な課税を確保するために導入するものであります。これは税率の引上げのような増税には当たらないと考えております。」と答弁したとおりである。

十について

 お尋ねについては、政府としては、これまでも、例えば、「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」(令和四年一月十九日財務省・公正取引委員会・経済産業省・中小企業庁・国土交通省公表)を作成するとともに、その「Q七 仕入先である免税事業者との取引について、インボイス制度の実施を契機として取引条件を見直すことを検討していますが、独占禁止法などの上ではどのような行為が問題となりますか。」において示された行為等、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)、下請代金支払遅延等防止法(昭和三十一年法律第百二十号)等に違反する事案が認められた場合には、これらの法律等に基づき厳正に対処することとしているところであり、引き続き、事業者の方々が不当な取扱いを受けないよう、取引環境の整備に万全の対応を図ってまいりたい。

十一について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「リスク」については、金融・為替市場に不測の影響を与えるおそれがあるため、政府としてお答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、政府としては、米国を含む世界経済の動向も注視しながら、適切な財政運営を行うことが重要と考えている。

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.