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答弁本文情報

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令和五年十一月二十日受領
答弁第二八号

  内閣衆質二一二第二八号
  令和五年十一月二十日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員原口一博君提出米国による広島、長崎への原爆投下及び「非核の傘」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原口一博君提出米国による広島、長崎への原爆投下及び「非核の傘」に関する質問に対する答弁書


一の1の(一)について

 政府としては、広島及び長崎に対する原子爆弾の投下は、極めて広い範囲にその害が及ぶ人道上極めて遺憾な事態を生じさせたものと認識している。また、政府としては、かねてから明らかにしてきたとおり、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないと考えている。

一の1の(二)について

 お尋ねの「昭和二十年八月十日の事例以外に日本政府が米国に対して新型爆弾投下について抗議をした事例はあるか」については、少なくとも、先の大戦後に、広島及び長崎に対する原子爆弾の投下について米国政府に直接抗議を行ったことは確認されていない。これ以上のことは、現時点で確認できる範囲では、具体的な状況を確認できる資料がないため、確定的にお答えすることは困難である。また、お尋ねの「それはサンフランシスコ平和条約を受け入れているからか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、戦後七十年以上を経た現時点において米国に対し抗議を行うよりも、政府としては、人類に多大な惨禍をもたらし得る核兵器が将来二度と使用されるようなことがないよう、核兵器のない平和で安全な世界の実現を目指して、現実的かつ着実な核軍縮努力を積み重ねていくことが重要であると考える。

一の2の(一)について

 お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

一の2の(二)について

 御指摘の「ABCCの調査結果」及び「我が国の被爆者の内部被爆や残留放射線による被爆の推定に与えた影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、原子爆弾の被爆者が受けた被ばく線量の推定については、公益財団法人放射線影響研究所の前身である原爆傷害調査委員会(以下「ABCC」という。)の調査及び研究の成果を含む様々な科学的知見を踏まえ、同研究所等により行われているものと承知している。

一の2の(三)について

 御指摘の「ABCCのデータ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「国際放射線防護委員会(ICRP)勧告」はABCCの調査のみならず、広島や長崎の被爆者の疫学調査を始めとする様々な科学的知見に基づくものと承知しており、「現在の被爆診断に対する不信のみならず、放射線被爆の危険性を軽視する考えを増長させることになる」との御指摘は当たらないものと考えている。

二の1について

 御指摘の「核兵器禁止条約に参加」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「核兵器禁止条約」についての考え方は、令和五年十月二十六日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておらず、いまだその出口に至る道筋は立っていない、これが現状です」と答弁しているとおりである。

二の2について

 政府としては、核軍縮をめぐっては様々な立場がある中で、核兵器のない世界の実現のため、例えば、核軍縮の進展のため、我が国が平成六年以降毎年国連総会に提出し、採択されている核兵器廃絶決議に係る各国間の調整等の取組や、我が国と核軍縮・不拡散に対する志を共有する国が構成する「軍縮・不拡散イニシアティブ」における協議等の取組等を行ってきている。

二の3について

 お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

三の1について

 お尋ねの「核抑止」については、確立した定義があるとは承知していないが、一般に、核兵器の存在によりもたらされる抑止のことをいうものと承知している。
 また、お尋ねの「拡大核抑止」については、確立した定義があるとは承知していないが、一般に、ある国の有する核抑止力が、他国の安全保障のために提供されることをいうものと承知している。

三の2について

 お尋ねの「核を保持しない我が国における「拡大核抑止」の今後の展望」の趣旨が必ずしも明らかではないが、国際社会には、核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、また、核兵器を始めとする大量破壊兵器等の拡散といった危険が増大するなど、引き続き不透明・不確実な要素が存在する中で、我が国としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)を堅持し、その抑止力の下で自国の安全を確保する必要があると考えている。

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