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令和五年十二月一日受領
答弁第五三号

  内閣衆質二一二第五三号
  令和五年十二月一日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 松野博一

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員小川淳也君提出離島の「住民生活に必要な航路」を確保するための「海の交通政策」の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小川淳也君提出離島の「住民生活に必要な航路」を確保するための「海の交通政策」の在り方に関する質問に対する答弁書


一について

 お尋ねの「「独占禁止法」第四十五条による「報告」に対しての運用の実態」及び「「独占禁止法」第四十五条による「報告」に対する運用の状況」については、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)第四十五条第一項の規定に基づき行われた報告の件数は、令和四年度は二千九百九十一件である。当該報告に係る事件についての公正取引委員会による調査の状況については、同委員会の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあること等から、これを明らかにすることは差し控えることとしている。
 お尋ねの「「独占禁止法」第四十五条の運用は、どうであるべきと考えているのか。独占禁止法第四十五条の運用を、どのように行うことが、独占禁止法の目的である競争政策の徹底に活かすことになると公正取引委員会は考えているのか」及び「「独占禁止法」第四十五条の運用に対する上記の意見に対する公正取引委員会の見解を問う」については、同条第三項においては、同条第一項の規定による報告に係る事件について、適当な措置をとり、又は措置をとらないこととしたときは、その旨を当該報告をした者に通知しなければならないこととされており、同委員会としては、同条第三項の規定に基づき、適切に対応している。

二について

 お尋ねについては、令和四年十一月二十九日、香川県小豆郡小豆島町の住民等から公正取引委員会に対し、独占禁止法第四十五条第一項の規定に基づき、御指摘の「国際両備フェリー株式会社」による御指摘の「内海フェリー株式会社」の株式の取得(以下「本件株式取得」という。)が独占禁止法第十条第一項の規定に違反する旨の報告があったため、同委員会においては、独占禁止法第四十五条第二項の規定に基づき、本件株式取得についての調査を行い、本件株式取得後における当該二社の市場シェア、順位等を加味して、市場における競争の状況を総合的に勘案した結果、本件株式取得により一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるとは認められなかったことから、独占禁止法上の問題とすることは困難であると判断したものである。

三について

 お尋ねについては、公正取引委員会においては、独占禁止法第四十五条第二項の規定に基づき、本件株式取得についての調査を行ったが、二についてで述べたとおり、御指摘のような「「独占禁止法」上の問題とすべき事実」は認められなかったものである。

四について

 お尋ねについては、御指摘の「企業結合」が既に行われた場合についても、独占禁止法第十条第一項の規定の適用対象となる。

五について

 公正取引委員会としては、本件株式取得については、二についてで述べたとおり判断しており、御指摘のような「「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる」と考えられるにもかかわらず、公正取引委員会が何の措置も採らない事例」には該当しないと考えている。

六について

 お尋ねについては、御指摘の「国際両備フェリー株式会社」が、海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号。以下「法」という。)第十一条の二第二項の規定に基づき行った船舶運航計画(法第三条第三項に規定する船舶運航計画をいう。以下同じ。)の変更の認可の申請に対して、国土交通省は、法第十一条の二第三項において準用する法第四条各号に掲げる基準に適合するかどうかを審査して、当該基準に適合すると判断したため、法第十一条の二第二項の規定に基づき当該船舶運航計画の変更の認可を行ったものであり、御指摘の「独占禁止法第十条違反の可能性について、公正取引委員会の意見を聴く」等の対応は行っていない。

七について

 前段のお尋ねについては、令和二年四月十五日の衆議院内閣委員会において、栗田内閣官房日本経済再生総合事務局私的独占禁止法特例法案準備室長代理(当時)が「独占禁止法という公正な競争を担保する重要な法律に例外を設けるものでございますことから、法案の対象となります業種については限定的にすべきであるというふうに考えております。このような観点から、地域基盤を支えるさまざまな業種について検討させていただきましたけれども、一定の地理的範囲内で事業活動を行い、地域経済や一般消費者である住民の生活を下支えする基盤的なサービスを提供しており、経営統合や共同経営による経営力強化の効果が大きいことが見込まれ、かつ、主務官庁が経営統合や共同経営を実施した後の行動を監視、監督できるという基準に照らしまして対象を考えた結果、現時点において銀行業、乗り合いバス事業が考えられるということで、これ以外の業種について対象とすることは現時点において想定はしてございません」と答弁しているとおりである。
 また、後段のお尋ねについては、例えば、法第二十九条の三第一項においては、「国土交通大臣は、第二十九条第一項の認可をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない」とされているところ、これまでも当該規定にのっとって適切に協議を行う等しており、「独占禁止法と交通政策との関係について、国の関係者間の連携・調整が不十分」との御指摘は当たらないと考えている。御指摘の「関係機関間の連携・調整」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省としては、今後とも、御指摘の「交通政策」を実施するに当たって、関係法令に基づき、公正取引委員会と協議等を行ってまいりたい。

八について

 お尋ねについては、国土交通省としては、交通政策基本法(平成二十五年法律第九十二号)の基本理念にのっとり、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成十九年法律第五十九号)第五条第一項の規定に基づき、香川県小豆郡土庄町及び小豆島町が地域公共交通計画(同項に規定する地域公共交通計画をいう。)を作成する際に、同法第六条第一項の規定に基づき組織された協議会において、両町に対して、地域旅客運送サービス(同法第一条に規定する地域旅客運送サービスをいう。以下同じ。)の持続可能な提供の確保に関する助言を行ったところである。同省としては、引き続き、両町等と相互に連携を図りつつ、両町における地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保に向けて、必要な対応を行ってまいりたい。

九について

 お尋ねの「これまで、このように長期にわたり、「指定区間」の休止が続いた例があったのかどうか」については、御指摘の「「指定区間」の休止」とは、指定区間(法第二条第十一項に規定する指定区間をいう。以下同じ。)に係る一般旅客定期航路事業(同条第五項に規定する一般旅客定期航路事業をいう。以下同じ。)の休止を指すものと考えられるが、指定区間に係る一般旅客定期航路事業を営む者が、法第十五条第二項の規定に基づき、国土交通大臣に当該一般旅客定期航路事業を休止する旨の届出をして、御指摘の「二年以上」にわたり、当該一般旅客定期航路事業を休止している例はある。
 また、お尋ねの「どうすることで指定区間の航路の早期再開が可能になると考えているのか」については、御指摘の「法的な責務」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、指定区間に係る一般旅客定期航路事業を休止している事業者が当該一般旅客定期航路事業の早期再開についての判断をすること等が重要であると考えており、それを踏まえ、当該事業者以外の事業者を含む関係事業者等が、御指摘の「指定区間の航路の早期再開」に向けた必要な取組を進めていくことが重要であると考えている。

十について

 お尋ねについては、平成十二年十月一日に施行された海上運送法の一部を改正する法律(平成十一年法律第七十一号)において、一般旅客定期航路事業について、十一で御指摘の「需給調整規制」の廃止を通じた規制緩和を行うことにより、事業者間の競争を促進するとともに、事業者の創意工夫を生かした多様なサービスの提供並びに事業の効率化及び活性化を図ることとしたところ、当該「需給調整規制」の廃止の後も、離島等の地域住民の生活に必要不可欠な航路における輸送サービスを引き続き確保していくことを目的として、御指摘の「「指定区間」制度」を創設したものである。

十一について

 前段のお尋ねについて、御指摘の「需給調整規制」は、一般旅客定期航路事業の開始によって航路に係る全供給輸送力が全輸送需要に対し著しく供給過剰にならないことを目的とした制度であった一方、御指摘の「「指定区間」制度」は、御指摘の「需給調整規制」が廃止された後も、離島等の地域住民の生活に必要不可欠な航路における輸送サービスを引き続き確保していくことを目的としたものであることから、御指摘の「需給調整規制」と、御指摘の「「指定区間」制度」とは、制度の趣旨や目的が異なっている。
 また、後段のお尋ねについて、国土交通省としては、指定区間に係る一般旅客定期航路事業については、法第四条各号に掲げる基準に適合するかどうかを審査して、当該基準に適合すると判断した場合は、一般旅客定期航路事業の許可を行っているものであり、「事業者の競争を制限する既存事業者保護の視点で行なわれている」との御指摘は当たらず、御指摘の「増加が予想される指定区間の休廃止、縮小、再編の増加に適切に対応」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現時点において、御指摘の「指定区間制度の在り方について検証し、再検討、再構築を行うことが必要」とは考えていない。

十二について

 お尋ねについては、現時点において、御指摘のように「海の交通政策の関係法律のすべてを含めて、海の交通政策全般の在り方について、検証し、再検討、再構築する」ことは考えていないが、交通政策基本法第十二条においては、「国、地方公共団体、交通関連事業者、交通施設管理者、住民その他の関係者は、基本理念の実現に向けて、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする」とされており、国土交通省としては、引き続き、地方公共団体等と相互に連携を図りつつ、船舶を含む輸送手段の安定的な確保に向けて、必要な対応を行ってまいりたい。

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