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答弁本文情報

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令和五年十二月二十二日受領
答弁第一三八号

  内閣衆質二一二第一三八号
  令和五年十二月二十二日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員中谷一馬君提出いわゆる人質司法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中谷一馬君提出いわゆる人質司法に関する質問に対する答弁書


一について

 御指摘の「「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第二選択議定書及び「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約」の選択議定書」は、個人通報制度について規定しているものではないと承知している。その上で、個人通報制度は、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号)の第一選択議定書及び拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(平成十一年条約第六号)第二十二条に設けられているところ、その受入れに当たっては、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無や個人通報制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識している。個人通報制度の受入れの是非については、各方面から寄せられている意見も踏まえつつ、政府として真剣に検討を進めているところである。

二及び三について

 御指摘の「保釈申請への対応を、無罪の推定と個人の自由に関する国際基準に沿った運用に改善すること」及び「そのような証拠がない場合にも日常的に使用されている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねは、保釈に関する裁判所又は裁判官の判断及びその評価に関わるものであり、政府としてお答えする立場にない。

四について

 御指摘の「実質的に同じ事件を分割して逮捕・勾留を繰り返し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として、逮捕及び勾留は、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)等が定める要件や司法審査等の手続に基づいて、適正に行われているものと承知している。

五について

 御指摘の「法テラスや当番弁護士制度について教示し連絡をする機会を与える」の意味するところが必ずしも明らかではないが、捜査当局においては、刑事訴訟法の規定に基づき、被疑者を逮捕したとき、又は逮捕された被疑者を受け取ったときは、直ちに弁護人を選任することができる旨を告げているものと承知している。
 御指摘の「全身体拘束期間を通して秘密を保持しながら弁護人に速やかにアクセスできるようにする」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同法第三十九条の規定により被告人及び被疑者と弁護人の接見交通権は十分保障されており、取調べ中に被疑者から弁護人と接見したい旨の申出があった場合、取調べを行う検察官等は、当該申出があった旨を直ちに弁護人に連絡し、また、取調べ中の被疑者について弁護人から接見の申出があった場合、検察官等は、できる限り早期に接見の機会を与えるように配慮しているものと承知している。

六について

 法務省においては、刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十四号)附則第九条の規定により行う検討に資するよう、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」を設けており、被疑者取調べへの弁護人の立会いについては、同協議会における協議の対象となり得ると考えているが、現時点においては、具体的な協議は行われていないものと承知している。

七について

 御指摘の「被疑者・被告人が逃亡や証拠の隠滅を計画していることを示す十分な証拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として、刑事訴訟法第八十一条の規定により接見等禁止が認められるためには、被疑者及び被告人のいずれの場合も、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があることが必要であり、個々の事案ごとにこのような理由の有無を判断して接見等禁止の請求が行われているものと承知している。

八について

 前段のお尋ねについては、御指摘の「被拘禁者」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)において、未決拘禁者の外部交通については、面会及び信書の発受を認めており、当該面会及び信書の発受の相手方について規定する同法第百十五条及び第百三十四条では、刑事訴訟法の定めるところにより許されない場合を除き、相手方の範囲に制限なく、許すものとしている。政府としては、関係法令に従い、御指摘の「被拘禁者処遇最低基準規則」等の国際連合の決議の趣旨を踏まえながら、適切に対応しているものと承知している。
 後段のお尋ねについては、現在法制審議会において調査審議が行われている情報通信技術の進展等に対応するための刑事法の整備の在り方に関するものであり、政府としては、まずは、その議論の状況を見守っていきたいと考えている。

九について

 前段のお尋ねについては、何人も自己に不利益な供述を強要されないことは、憲法第三十八条第一項の定めるところであり、刑事手続において、刑事訴追を受けるおそれのある者に対し、不利益な供述を強要するようなことがあってはならないことは当然であるが、捜査機関においては、個別具体的な事案に応じ、必要な捜査を行っているものと承知しており、一概にお答えすることは困難である。
 後段のお尋ねについては、御指摘の「黙秘権を行使した場合の取調べ」については、その態様は様々であり、個別の事案に応じて異なることから、一概にお答えすることは困難であるが、犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)は、適正な被疑者取調べの確保等について規定しており、例えば、同規則第百六十八条第一項において、「取調べを行うに当たつては、強制、拷問、脅迫その他供述の任意性について疑念をいだかれるような方法を用いてはならない。」と規定しているところである。

十について

 御指摘の「すべての被疑者・被告人と弁護人が、検察が被告人に対して裁判で提出予定か、または被告人に有利な証拠や無実を証明する捜査証拠や資料など、すべてにアクセスできるようにする」の意味するところが必ずしも明らかではないが、検察官による証拠開示については、例えば、刑事訴訟法第二編第三章第二節の規定において、検察官が取調べを請求した証拠について被告人又は弁護人に開示することはもとより、その証明力を判断するために重要であると認められる証拠であって一定の類型に該当するものや、被告人又は弁護人が明らかにした主張に関連すると認められる証拠についても、被告人又は弁護人から開示の請求があった場合には、被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度と開示によって生ずるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、開示をしなければならないこととされている。

十一について

 御指摘の「全面的な取調べの録音・録画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」においては、刑事訴訟法第三百一条の二の規定による取調べの録音・録画制度における録音・録画の対象とする範囲が限定的であるとの懸念を表明する旨の意見が紹介される一方で、供述の任意性が争われる事件の割合が低い中で当該範囲を拡大する必要性には疑問がある旨の意見等が示されたものと承知している。

十二について

 御指摘の「自白強制的な取調べをなくす措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、刑事訴訟法第三十九条第一項は、身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人と立会人なくして接見をすることができる旨を、同法第百九十八条第二項は、被疑者取調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない旨を、同法第三百一条の二第四項は、同条第一項各号に掲げる事件について、逮捕又は勾留されている被疑者を同法第百九十八条第一項の規定により取り調べるとき等においては、原則として、被疑者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録媒体に記録しておかなければならない旨を、同法第三百十九条第一項は、強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白は、これを証拠とすることができない旨をそれぞれ定めており、これらの規定等により、被疑者取調べの適正な実施が確保されているものと考えている。

十三について

 御指摘の「捜査、勾留、訴追の機能を分離させる措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として、勾留中の被疑者に対するものを含め被疑者取調べは適正に行われているものと承知しており、代替収容制度が御指摘のような危険性を生じさせるものとは考えていない。

十四について

 御指摘の「法務省から独立した資格のある医療者が、拘禁中の被拘禁者の心身の状態を定期的にモニタリングし、評価する体制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、刑事施設においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものと規定する刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第五十六条を踏まえ、被収容者に対する適時適切な医療に努めているところである。

十五について

 御指摘の「病気等に罹患している者の勾留に際し、捜査機関が刑事収容施設に対して「留置に耐えられるか否か」という照会を行うことが実務上確立されている」及び「留置に耐えられるという基準」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、刑事訴訟法第六十条では、裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、同条第一項各号のいずれかに当たるときは、これを勾留することができる旨規定されている。

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