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令和六年二月六日受領
答弁第九号

  内閣衆質二一三第九号
  令和六年二月六日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員原口一博君提出東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分に係る農林水産省の対応等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原口一博君提出東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分に係る農林水産省の対応等に関する質問に対する答弁書


一について

 先の答弁書(令和五年十一月二十日内閣衆質二一二第二二号。以下「前回答弁書」という。)一についてでお答えしたとおり、令和五年八月二十二日に開催された第六回廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議及び第六回ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議(以下「合同会議」という。)は、「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」の着実な実行に向けて風評による影響に関する対策等について進捗を確認するための会議である一方、平成二十七年に福島県漁業協同組合連合会の要望に対して経済産業省から関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない旨回答しているところ、当該理解を得たかどうかに係る判断は、一義的には、同省が行うものであり、合同会議前日に同判断を行ったため、御指摘の「漁業者や漁業団体による理解」を得たかどうかについては合同会議において議論するものとは考えていない。
 その上で、同回答については、同月二十一日、西村経済産業大臣(当時)等との面談の場において、全国漁業協同組合連合会から、国際原子力機関(以下「IAEA」という。)の包括報告書や安全性の説明を通じて、安全性への理解は深まった旨、漁業者が子々孫々まで安心して漁業を継続できるよう、漁業者に寄り添い、今後数十年の長期にわたろうとも国の全責任において必要な対策を講じ続けることを求める旨及び廃炉となりわい継続は、漁業者の思いであり、漁業者のなりわい継続に寄り添った政府の姿勢と安全性を含めた対応について、我々の理解は進んできていると考えている旨の発言があったこと、また、同面談の場において、福島県漁業協同組合連合会から、廃炉の安全な完遂とその時点での漁業のなりわいの継続が確認されて、理解は完了し約束は果たされたことになる旨、漁業者と国・東電は、復興と廃炉という共通目標に向けて、同じ方向を向いて進んでいる旨及びしたがって、約束は果たされていないが、破られたとは考えていない旨の発言があったこと、さらに、地方公共団体や漁業者以外の事業者等への説明や意見交換において、ALPS処理水の処分の必要性や安全性、事業内容等を説明してきている中で、これらの内容を理解したとの声もいただいたことも踏まえ、同省として、漁業者や漁業者以外の事業者、地方公共団体からの一定の理解は得られていると判断したものである。したがって、「漁業者等による理解を議論の対象外とした合同会議でのALPS処理水の海洋放出に係る決定は、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないものであり、重大な瑕疵があった」との御指摘は当たらない。
 また、こうしたことから、合同会議において、農林水産大臣又は経済産業大臣から、御指摘の「漁業者や漁業団体による理解がまだ十分ではない状況についての発言等」はなかったと認識している。

二の1について

 御指摘の「野村農林水産大臣が当該発言を行った」ことについては、前回答弁書二の2についてでお答えしたとおりであるため、政府として「政府全体としても深刻な危機管理上の問題である」とは認識しておらず、お尋ねの「事実」はない。

二の2について

 お尋ねについてお答えすることは、各国及び地域との今後のやり取りに支障を来すおそれがあることから差し控えたい。

二の3について

 お尋ねについては、政府としては、令和五年十一月以降にも、在京外交団への情報提供、外国報道機関への説明等を行ってきたほか、外務省のSNSでの継続的な発信などを含め、一貫して、様々なレベルにおいて、国際社会に対し、海洋放出について、科学的根拠に基づき丁寧に説明してきている。これらを踏まえ、ALPS処理水に係る我が国やIAEAの取組に対し、幅広い地域の国々が理解・支持を表明するなど、ALPS処理水の海洋放出に対する理解は広がっていると認識している。また、日本産の食品に対する科学的根拠のない輸入規制措置を導入している国や地域に対しては、例えば、日中首脳会談等の二国間の場や世界貿易機関の衛生植物検疫措置に関する委員会等の多国間の場において、科学的根拠のない輸入規制措置の即時撤廃を強く求めるなど、同様に一貫して、様々なレベルにおいて、その即時撤廃を強く求めてきているところである。

三の1について

 令和五年九月四日に取りまとめた「「水産業を守る」政策パッケージ」(以下「政策パッケージ」という。)のうち、御指摘の「国内消費拡大・生産持続対策」に係る経費については、令和三年度補正予算において措置された「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策事業」の三百億円の内数及び令和四年度補正予算において措置された「ALPS処理水の海洋放出に伴う影響を乗り越えるための漁業者支援事業」の五百億円を見込んでいる。
 御指摘の「産地段階における一時買取・保管や漁業者団体・加工/流通業者等による販路拡大等への支援」は「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策事業」の内数を見込んでおり、当該事業に要する経費については、既存の水産庁事業の執行実績等を勘案して、新たな販売先の開拓等に必要な所要額を積算したものである。
 政策パッケージのうち、御指摘の「風評影響に対する内外での対応」に係る経費については、「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策事業」の三百億円の内数を見込んでいる。積算根拠については、ALPS処理水に関する国内外に向けた科学的根拠に基づく透明性の高い情報発信や、販売促進・消費拡大に向けた働きかけやイベント、小売業界の継続的な取引に向けた環境整備等を行うために要する経費である。
 政策パッケージのうち、御指摘の「輸出先の転換対策」に係る経費については、令和五年度予備費において措置された「新規需要開拓事業」及び「代替販路開拓事業」の約百五十六億円を見込んでいる。積算根拠については、漁業者団体によるホタテ等の輸出の減少が顕著な品目の海外を含む新たな需要の開拓等を支援するために要する経費である。
 政策パッケージのうち、御指摘の「国内加工の体制の強化対策」に係る経費については、令和五年度予備費において措置された「国内加工体制の強化対策事業」の約五十一億円を見込んでいる。積算根拠については、既に稼働している水産加工場の利活用に向けた人材活用の支援及び国内の加工の能力強化に向けた加工業者が行う機器の導入等の支援のために要する経費である。

三の2について

 御指摘の「宮下農林水産大臣の当該発言」については、令和五年九月二十九日の閣議後記者会見において、国民一人当たりの消費量を単純平均した場合の数字をお示ししたものであり、「国民の誤解を招くもの」であるとは考えていない。
 また、お尋ねの「「#食べるぜニッポン」キャンペーンのこれまでの実績」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「「#食べるぜニッポン」キャンペーン」について、例えば、農林水産省のSNSにおいて、同月七日から同年十二月末までの間に計七十八回の発信を行ったところである。

三の3について

 お尋ねの「実際に発生した影響及び被害額」については、前回答弁書三の3についてでお答えしたとおり網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、我が国の水産物の全面的な輸入規制措置を講じている中国に対する我が国からの水産物の輸出額は、財務省の「貿易統計」によると、令和五年九月から同年十二月までの四箇月間の合計額は、対前年同期比で二百六十億円の減少となっている。
 また、政策パッケージでは、令和六年二月二日時点において、「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策事業」における漁業者団体による水産物の販路拡大等への支援については約七十五億円、「ALPS処理水の海洋放出に伴う影響を乗り越えるための漁業者支援事業」における省エネ活動を通じたコスト削減に向けた取組等への支援については約五十五億円、「新規需要開拓事業」における漁業者団体によるホタテ等の輸出の減少が顕著な品目の海外を含む新たな需要の開拓等への支援については約三億円、「代替販路開拓事業」における商談会の開催の海外市場開拓等への支援については約五十億円、「国内加工体制の強化対策事業」における加工業者が行う機器の導入等への支援については約六千万円の交付決定を行っているところである。

四の1について

 御指摘の「「十分な理解」が得られたものとすり替えている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「十分な理解」について、理解の度合いを一律に判断することは困難であるが、一についてでお答えしたとおり、全国漁業協同組合連合会からは、IAEAの包括報告書や安全性の説明を通じて、安全性への理解は深まった旨、漁業者が子々孫々まで安心して漁業を継続できるよう、漁業者に寄り添い、今後数十年の長期にわたろうとも国の全責任において必要な対策を講じ続けることを求める旨及び廃炉となりわい継続は、漁業者の思いであり、漁業者のなりわい継続に寄り添った政府の姿勢と安全性を含めた対応について、我々の理解は進んできていると考えている旨の発言があり、福島県漁業協同組合連合会からは、廃炉の安全な完遂とその時点での漁業のなりわいの継続が確認されて、理解は完了し約束は果たされたことになる旨、漁業者と国・東電は、復興と廃炉という共通目標に向けて、同じ方向を向いて進んでいる旨及びしたがって、約束は果たされていないが、破られたとは考えていない旨の発言があったこと等から、ALPS処理水の海洋放出に関して、西村経済産業大臣(当時)が発言しているとおり、関係者の一定の理解を得たと判断している。
 なお、国外においても、ALPS処理水に係る我が国やIAEAの取組に対し、幅広い地域の国々が理解・支持を表明するなど、ALPS処理水の海洋放出に対する理解は広がっていると認識している。

四の2について

 御指摘の「ALPS処理水の海洋放出に係る諸問題」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、一部の国・地域による輸入規制強化に対して、引き続き、科学的根拠のない措置の即時撤廃を強く求めていく考えであり、御指摘の「海洋放出の一時停止」を行う予定はない。

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