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昭和六十二年六月九日受領
答弁第三八号

  内閣衆質一〇八第三八号
    昭和六十二年六月九日
内閣総理大臣臨時代理
 国務大臣 金丸 信

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員永井孝信君提出第一学習社の労使紛争に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員永井孝信君提出第一学習社の労使紛争に関する質問に対する答弁書



一について

 株式会社第一学習社(以下「会社」という。)とその従業員が組織する出版労連第一学習社労働組合(以下「組合」という。)との間で、昭和四十八年九月、組合からの団体交渉の申入れをめぐつて労使紛争が発生し、その後も配置転換、解雇、賃金引上げ等の問題をめぐつて労使が対立し、現在も、配置転換、原職復帰等の問題について労使間で紛争が継続していると聞いている。

二について

1 労働委員会に対する不当労働行為救済申立てについては、昭和四十八年九月以降、組合等から広島県地方労働委員会(以下「広島地労委」という。)に対して、会社を被申立人として、不利益取扱い、団体交渉拒否又は支配介入の問題に関して、五件の不当労働行為救済申立てが行われたと聞いている。
  このうち、
 (一) 昭和四十九年八月に申し立てられた事件については、同年十二月に取り下げられ、
 (二) 昭和四十九年十一月に申し立てられた事件については、昭和五十年十一月に不当労働行為救済命令が出され、
 (三) 昭和五十年三月に申し立てられた事件については、昭和五十二年二月に不当労働行為救済命令が出され、会社がこの命令を不服として広島地方裁判所(以下「広島地裁」という。)に取消訴訟を提起し、昭和六十年十月に広島地裁から請求の一部を認容する旨の判決が出され、広島地労委がこの判決を不服として広島高等裁判所(以下「広島高裁」という。)に控訴し、現在、広島高裁に係属中であり、
 (四) 昭和五十年六月に申し立てられた事件については、昭和五十二年四月に不当労働行為救済命令が出され、会社がこの命令を不服として広島地裁に取消訴訟を提起し、昭和六十年十月に広島地裁から請求を棄却する旨の判決が出され、会社がこの判決を不服として広島高裁に控訴し、現在、広島高裁に係属中であり、
 (五) 昭和五十四年五月に申し立てられた事件(申立ての一部については、昭和五十五年五月に取り下げられた。)については、昭和五十五年八月に不当労働行為救済命令が出され、会社がこの命令を不服として広島地裁に取消訴訟を提起し、昭和五十八年五月に広島地裁から請求を棄却する旨の判決が出され、会社がこの判決を不服として広島高裁に控訴し、現在、広島高裁に係属中である
と聞いている。

2 裁判所に対する仮処分申請等については、昭和四十八年九月以降、組合員から広島地裁に対して、会社を被申請人等として、配置転換、解雇、賃金引上げ等の問題に関して二十九件の申請等が行われたと聞いている。
  このうち、
 (一) 昭和四十九年三月に申請された事件については、同年四月に申請を認容する旨の決定が出され、
 (二) 昭和四十九年四月に請求された事件については、現在、広島地裁に係属中であり、
 (三) 昭和四十九年七月に申請された事件については、同年八月に申請を認容する旨の決定が出され、
 (四) 昭和四十九年十二月に申請された事件については、昭和五十年十二月に申請の一部を認容する旨の判決が出され、会社がこの判決を不服として広島高裁に控訴し、昭和五十二年一月に広島高裁から控訴を棄却する旨の判決が出され、
 (五) 昭和五十年一月に申請された事件については、同年二月に申請を認容する旨の決定が出され、
 (六) 昭和五十一年一月に請求された事件については、昭和五十六年五月に請求を認容する旨の判決が出され、会社がこの判決を不服として広島高裁に控訴し、昭和六十年一月に広島高裁から控訴の一部を認容する旨の判決が出され、会社が更にこの判決の一部破棄を求めて最高裁判所(以下「最高裁」という。)に上告し、昭和六十一年三月に最高裁から上告を棄却する旨の判決が出され、
 (七) 昭和五十一年二月から昭和六十年十二月までの間に申請された事件(二十三件)については、昭和五十一年二月から昭和六十年十二月までの間に、いずれも申請の一部又は全部を認容する旨の決定が出された
と聞いている。

3 裁判所に対する不当労働行為救済命令履行の緊急命令の申立てについては、昭和四十八年九月以降、広島地労委から広島地裁に対して、会社を被申立人として、二件の申立てが行われたと聞いている。
  このうち、
 (一) 昭和五十二年五月に申し立てられた事件については、同年六月に申立てを認容する旨の決定が出され、
 (二) 昭和五十二年六月に申し立てられた事件については、同年七月に申立てを認容する旨の決定が出されたが、会社がこの決定に従わなかつたため、昭和五十三年二月に広島地裁から、会社に対し、過料を科す旨の決定が出された
と聞いている。

4 労働基準監督機関に対する申告については、昭和四十八年九月以降、組合等から広島労働
  基準監督署に対して、会社において労働基準法違反の事実があるとして五件の申告が行われた。
  広島労働基準監督署は、申告の都度、会社に対して監督を実施し、四件の申告については法違反は認められなかつたが、残りの一件の申告については割増賃金の不払の法違反が認められたので、これを是正させたところである。

5 人権擁護機関に対する申告については、昭和四十八年九月以降、組合等から広島法務局に対して、会社において不当労働行為、職場における村八分的行為等の人権侵害の事実があるとして二件の申告が行われた。
  広島法務局は、職場における村八分的行為等の問題に関して、会社側に対する調査を行い、啓発を行つてきたところである。

三について

 昭和六十一年三月七日の最高裁判決以後、会社は、高瀬 均、小林和俊両名が会社の従業員の地位にあることを認め、両名に対し、賃金の支払を行つていると聞いている。
 なお、現在、両名は就労していないが、会社は、労使間での話合いがまとまれば原職以外の職場への復帰は認めるとしているところ、いまだ労使間で合意には達していないと聞いている。
 政府としては、正常な労使関係の確立が図られるよう、労使当事者間で誠意をもつて話合いが行われ、その早期かつ円満な解決を期待しているところである。

四について

 本件は、基本的に労使間の問題であり、両当事者間の訴訟に係る判決等に基づき両当事者において処理されるべき問題であると理解している。
 なお、学校教育において重要な地位を占める教科書の円滑な発行及び供給という教科書発行者が負つている社会的責務にかんがみ、当該紛争により教科書の円滑な発行及び供給が阻害されることのないよう、その早期かつ円満な解決を期待しているところである。

五について

 従来、広島県等関係機関において、紛争の早期かつ円満な解決という観点から、関係者からの事情聴取や会社に対する指導及び助言が行われてきたところであるが、政府としては、今後とも適切な指導及び助言が行われるよう、これらの機関と連絡を密にして対処してまいりたい。

 右答弁する。




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