裁判官は、公正な裁判を行うことを通じて国民の権利を守るという重要な役割を担っています。国家権力等ほかからの影響を受けずに公正で充実した裁判を行うためには、裁判官の身分の保障が必要となります。
一方、裁判官の身分は、国民の信頼の上に成り立っていますので、国民の信頼を失うような非行があった場合には、その身分を剥奪する途を開いておく必要がありますから、裁判官が裁判所内部で、心身の故障のため職務を執ることができないと決定された場合に罷免される(憲法78条)ほか、公の弾劾の制度と最高裁判所裁判官に対する国民審査の制度により罷免されます。
公の弾劾の制度について憲法は、「国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける」(64条)と定めており、この規定を受けて国会法、裁判官弾劾法が、弾劾の組織及び手続、罷免の事由などを定めています。
裁判官訴追委員会(以下「訴追委員会」という)は、裁判官に国民の信託に対する背反行為があった場合に、その裁判官の罷免の訴追を行う機関です。刑事事件における検察庁のような役割を担っています。
訴追委員会は、20人の訴追委員(衆議院議員及び参議院議員各10人)と10人の予備員(衆議院議員及び参議院議員各5人)で構成されています。委員及び予備員は各院の本会議で選任され、その任期は議員としての任期です。
委員長は訴追委員が互選します。
日本国民は、誰でも訴追の請求をすることができます(裁判官弾劾法15条1項)。訴追請求の方法等、詳細については、裁判官訴追委員会ホームページ(外部リンク) をご覧ください。