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平成十二年十一月二十九日提出
質問第五五号

東濃「超深地層研究所」の建設に関する質問主意書

提出者  近藤昭一




東濃「超深地層研究所」の建設に関する質問主意書


 「超深地層研究所」の建設に関連して、地元の建設推進派の住民に対する説明会で缶ビールや弁当などが出されたり、中華料理店を会場に説明会が行われていたとの報道がある。高レベル核廃棄物の地層処分を研究する施設の建設に協力的な住民を抱き込むことを目的としていたのではないかとの指摘もあり、そういった目的のために公費が使われたとすれば非常に問題が大きい。従って、次の事項について質問する。

1 東濃「超深地層研究所」の建設推進派住民への説明会において「缶ビールや弁当を出し、年に数回は中華料理店を会場に説明会を行った」と一〇月一日付読売新聞で報道されていることについて事実かどうか説明を求める。
2 上記のような対応に比べ、東濃「超深地層研究所」の建設反対派住民との意見交換会ではどのような対応をしているのか。
 同紙によると核燃料サイクル開発機構東濃地科学センターの大沢副所長は「推進、反対で差を付けているわけではない」と説明しているが、推進、反対の双方にどのような対応がなされているのか比較して説明頂きたい。
3 超深地層研究所は高レベル放射性廃棄物を超深度地下に埋設・保管する地層処分を研究する施設であると説明されているが、この「研究施設」が将来的に「処分場」になる可能性が指摘されているが、政府はどう考えているのか。
4 東濃地科学センターは「東濃地域が処分場にならない理由」という資料で「国は処分地にならないことを確約」していると説明しているが、この中には「地元が処分場を受け入れる意思がないことを表明されている状況においては」という条件が付されている。
 こういった条件付きで処分場にならないと言われているのであれば、それは東濃地科学センターの説明資料の「確約」とは言えず、東濃地科学センターは誤った説明をしていることになる。
 また、「研究施設」が「処分場」にならないと言い切れるのであれば、このような条件は不要と考えるが、政府はどう考えるか。
5 地層処分は、廃棄物を地下数百メートルの岩盤内に埋設するものだが、放射能が安全なレベルに下がるまで数万から十万年を要すると言われている。
 しかし、我が国において今後十万年に地震が起きない場所を予測するのは不可能で、特に東濃地方が断層帯の延長線上にあり地震が繰り返しおきれば岩盤に割れ目が及ぶことから、地質安定性から同地方が処分地に不適切であると指摘する専門家もいる。
 こういった意見に対し、政府はどのような考えを持っているのか。
6 我が国では、高レベルの放射性廃棄物を地下に埋設処分する方向であり、その理由として水に溶けないプルトニウムは地下での移動度が低いことも理由として挙げられていると理解している。
 しかし、米国立ローレンズ・リバモア研究所のアニー・カースティング博士がネイチャーに発表した論文によると、ネバダ州の地下核実験の穴から一・三q離れた井戸でプルトニウムなどが検出されている。
 これは、プルトニウムが地下水中に自然にできる粘土などの浮遊粒子の表面に付着して運ばれたと考えられており、これが真実であるとするとプルトニウムの地下での移動度は水溶性か否かに関係なく非常に高いといえる。
 仮にプルトニウムが地下に漏れ出すと、その汚染は非常に広範囲に広がる可能性が十分考えられるが、政府はこのような危険のある処分方法を採用する予定なのか。
7 核燃法第二四条三項に、「業務を妨げない範囲内において」「施設及び設備を原子力の開発及びこれに関連する業務を行う者の利用に供することができる」と定めている。この規定により超深地層研究所は原子力発電環境整備機構が利用することができると考えてよいか。
8 原子力発電環境整備機構が使用するとしたら、原子力発電環境整備機構と核燃料サイクル開発機構の共同利用か、あるいは原子力発電環境整備機構から委託を受けた業者が利用することも想定しているか。
9 原子力発電環境整備機構やそこからの委託を受けた業者が利用するにしろ、超深地層研究所の位置づけが曖昧になる。処分場への歯止めの法的な措置は何か。
10 動燃が地質構造区と岩石の種類を特定して業者に採取を委託した西南、中部日本内帯、東北日本中・古生代、東北日本グリーンタフ地域などのボーリングコアが東濃に保管されている(採取地、採取年月日、費用等を一九九九年二月に情報公開請求、未公開)。
 また動燃が処分事業の実施主体とされていた一九七九(昭和五四)年頃、業者に委託して全国二五カ所の極秘調査を実施した。この調査により動燃は「高レベル放射性廃棄物地層処分技術開発成果報告−可能性ある地層の総合評価−」(一九八四年三月)を原子力委員会に提出した。これをもって同委員会は「有効な地層の選定は終了」とした。
 これらの資料は原子力発電環境整備機構が処分場を検討する際の文献調査の資料として提供されるのか。
11 動燃が地質構造区と岩種を指定して業者に委託採取させた西南・中部日本内帯、東北日本・古生代、東北日本グリーンタフ地域などのボーリングコアが東濃に保管されている。これについてある市民団体が核燃料サイクル開発機構に対して、採取地、採取年月日、費用等を一九九九年二月に情報公開請求しているが未だに公開されていない。
 また、動燃が処分事業の実施主体とされていた一九七九年頃、業者に委託して全国二五カ所の極秘調査を実施した。この調査により動燃は原子力委員会に「高レベル放射性廃棄物地層処分技術開発成果報告−可能性ある地層の総合評価−」(一九八四年三月) を提出した。これをもって原子力委員会は「有効な地層の選定は終了」とした。同報告書の基礎となっている調査のうち、幌延における調査に関する資料は情報公開請求によって一九九九年八月に公開されている。
 しかし岩手、島根における調査の資料の公開を、市民団体が一九九九年八月に請求しているが一年以上経っても公開されない。こうした核燃料サイクル開発機構の情報公開をどう考えるか。核燃料サイクル開発機構のもつ資料を国の情報公開法の対象にする検討はされているのか。
12 概要調査地区等は原子力発電環境整備機構が選定するが、それとは別に処分地に要求される環境要件、安全審査基本指針に照らし合わせて、超深地層研究所を含む岐阜県東濃地域は、処分地として適地であるか、不適地であるか。
13 岐阜県または瑞浪市は電源立地等初期対策交付金の対象となる地域か。ならないとしたらその理由は何か。

 右質問する。



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