質問本文情報
平成十二年十二月一日提出質問第七四号
KSD問題と監督官庁に関する質問主意書
KSD問題と監督官庁に関する質問主意書
財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)は中小企業経営者の共済事業を行う全国の会員数(二〇〇〇年十月現在)百七万名、年間共済保険掛金約二百五十億円という巨大公益法人である。このトップを十二年間続けてきた古関忠男前KSD理事長が業務上横領及び背任容疑で逮捕された。このKSD問題は全国KSD会員である中小企業経営者百七万名の怒りの声のみならず国民全体が注目している問題であり、真摯な答弁を求めるものである。
(1) 古関前KSD理事長が逮捕される事態を招いたのは何が原因か。
(2) 九三年からの五回に及ぶ労働省の各指導・勧告に対して、KSD側はそれぞれどう受け入れてきたのか。指導の無視や改善がなかったのかどうか。KSDをめぐる事態は監督官庁としての役割を果たせていないと考えるがいかがか。
(3) 古関前KSD理事長は労働省をはじめとした官界OBの天下りを受け入れていることや「オレは豊明議連の百人の政治家を動かせる」と豪語するなど自民党の有力政治家と懇意にしていることをKSDの内外で明言していたか。KSD関係の出版物や雑誌・新聞などの記録を精査し答えられたい。
(4) 官界や政界とのつながりを誇示する古関前KSD理事長の姿勢に労働省の指導が及び腰となり形式的なものに終わったとの反省はあるか。
(5) 労働省の幹部はKSD、KSD豊明会、中小企業国際人材育成事業団、国際技能振興財団ならびに古関忠男氏(前KSD理事長、KSD豊明会会長、中小企業国際人材育成事業団理事長、国際技能振興財団会長)の主催するパーティーや宴席に過去参加したか。日時と氏名、当時の役職を明らかにされたい。
(6) 伊藤庄平労働省事務次官は一九九一年のKSDによるお歳暮攻勢でもリストに名前があがっているが事実か。また同氏は古関前KSD理事長にも労働基準局長時代から直接口頭指導も行ってきたとのことだが、今までの古関前KSD理事長とのやりとりをできるだけ詳細に述べられたい。
(7) 伊藤次官は労働大臣経験者である村上正邦豊明議連会長にKSDについてどのような報告、または相談をしてきたか、日時、ならびにその内容を明らかにされたい。
(8) KSDには労働省の天下り役職員が現在十七名在籍している。役員では元東京労働基準局長の小野良二KSD理事、元東京労働基準局労災業務課長補佐の七井国雄KSD理事が在籍しているが彼らの担当は何か。労働省OBとしてその経験を生かし財団運営が公益法人として社会的に許される範囲の中で偏ることのないよう職務をまっとうしてきたかどうか。また出身官庁である労働省からの指導に対してどう対応していたのか。
(9) KSDは自民党広報紙『自由新報(自由民主)』へ広告を掲載してきたというが事実か。事実であればその時期、回数、広告費の総額はいくらだったか。
(10) KSDの事業報告書、決算書にはこの『自由新報(自由民主)』に対する記述がない、なぜか。また公益法人がたびたび特定政党の機関紙に広告を載せるという行為は許されるのか。問題があったとしたら何か。
(11) KSDはコンサルタント企業中小企業総合研究所(東京都中央区)と取り引きの事実はあったか。どのような調査結果レポートを委託していたのか、すべて示されたい。そして委託事業金額はそれぞれいくらか。また古関前KSD理事長がこの企業の株主だったということだが事実か。
(12) KSD会員である多くの中小企業経営者は、「日々の労働の中から払う大事な掛金が公益法人のトップによって私的に流用された」「裏切られた」「掛金は大丈夫か」との怒りや不安の声をあげている。これらの声にどう答えるか。
(1) KSDは一九六四年の設立以来、会員の拡大に努力してきたが、各信用金庫協会や各信用組合協会、都銀、地銀、第二地銀などと業務提携を行うことによって会員を急拡大した。これらの業務提携内容を示されたい。
(2) 「融資が受けられないと困るので、金融機関からの勧誘を断れない」として、中小企業経営者に対して強い立場にある金融機関がKSDの代理で会員を獲得しているという証言がある。信用金庫に出向くと加入申込用紙兼会費預金口座振替届出書を手渡される。この勧誘行為は銀行法、信用金庫法、中小企業等協同組合法に触れないのか。
(3) KSDは金融機関に対して企業を新規紹介をすることと引き換えに、KSDの任意団体であるKSD豊明会に対して金融機関の集会所を貸してくれるように要請していた。他にも金融機関へは接待費(渉外費)や保有維持協力金、新規会員勧誘手数料などを提供していた。公益法人として、また金融機関として問題点はないのか。
(4) 大蔵省や金融庁は十月六日の東京地検特捜部による家宅捜索の前に長期にわたる金融機関とKSDの関係をどう理解していたか。
(5) 元大蔵省大臣官房審議官の土居信良KSD理事の担当は何か。土居理事は金融機関との関係に対してどのような役割をはたしていたのか。
(6) 今後、KSDと金融機関の関係に関してどのような指導をおこなっていくのか。
(1) 元総理府賞勲局審査官の森泉清五KSD理事の担当は何か。前歴を生かした中小企業経営者への叙勲方法の指導だったのか。
(2) 古関忠男前KSD理事長は藍綬褒章を一九九三年十一月受章しているが、推薦者は誰か。
(3) 勲章は褒章受章後五年以上経過していなくてはならない。古関前KSD理事長は労働省大臣官房秘書課を通じて総理府賞勲局に叙勲の推薦がなされていたか。
(4) 叙勲褒章は「カネも地位も得た者が欲しがる最後の名誉」である。「今後の豊明会は感謝状だけでなく、叙勲の推薦団体とならねばならない。そのためにも豊明会は一層力をつけ、推薦団体となるためのステップを作らなくてはならない」。これは一九九八年九月二十八日第二回KSD豊明会本部理事会での古関KSD豊明会会長(KSD理事長)の発言である。古関前KSD理事長とKSD豊明会はどのような動きを展開したか。
(5) またKSDやKSD豊明会は叙勲の推薦を行ったか。これらの団体に推薦を受けて授章した者がいるならば氏名、叙勲褒章の種類をすべて示されたい。
(1) KSDの役員(非常勤含む)はKSD豊明会の役員を兼務していた者が多いと聞く。兼務をしていたものの氏名、その兼務時期、役職をすべて示されたい。
(2) KSDの福利厚生部はKSD豊明会事務局と組織、職員及び場所について同一だったというが、事実か。それは、いつからいつまでか。現在はどうか。
(3) KSD役員でKSD豊明会担当は誰か。過去にさかのぼり、それぞれの時期を示して一括して明らかにされたい。
(4) KSDから支出されたKSD豊明会への補助金の使途について国会における労働省の答弁がくいちがってきた。会費負担金はイベントやコンサートの経費支払いに充てられるために残らない。この場合、KSDからの補助金が自民党豊明支部への寄付金にならざるを得ないのではないか。この公益法人KSDからの資金の流れが事実とすれば、何が問題か。
(5) 「KSD豊明会会長は、KSD理事長をもってする」「会長は、本会を代表し、会務を総理する」とのKSD豊明会会則各条文がある。公益法人が、設立した任意団体を使用して監督外の活動を行ってきた実態をふまえ、教訓となるべき点は何か。
(6) 過去にKSDのように公益法人が任意団体をつくることによって、監督官庁の指導が行き届かないということがあったか。
(7) 今後、公益法人と任意団体との間にKSD事件をふまえたルールをつくるべきではないか。
右質問する。