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平成十三年二月八日提出質問第一八号
国立ハンセン病療養所「邑久光明園」に関する質問主意書
提出者 川内博史
国立ハンセン病療養所「邑久光明園」に関する質問主意書
岡山県にある、国立ハンセン病療養所「邑久光明園」において、老朽化した解剖霊安棟を建て替えるのに先立ち、岡山地裁が昨年十月に現地検証した際、解剖室わきの小部屋の棚に、内臓など数百個の検体とともに、十数体の胎児のホルマリン漬けの標本が見つかったとのことである。このことは、療養所に収容された患者たちが、いかに非人間的な扱いを受けているかを示す極めて重要な事実であると考える。
従って、次の事項について質問する。
二 標本が、普段は人目につかないような小部屋に置かれていたということは、解剖等が行われている事実を意図的に隠そうとしたとしか思えないところであるが、これについてどのように考えるか。また、発見されたこれらの標本は、現在、どこに保管されているのかを明らかにせよ。
三 胎児のホルマリン漬けの存在は、ハンセン病患者の子供であるというだけで、新しく生まれるはずであった尊い生命を強制的に奪ったという、殺人にも匹敵するような非人道的な行為があったこと、あるいは現に生まれてきた、生後間もない乳児の生命を奪った、文字通り殺人罪として処罰されるべき非人道的な行為があったことを示すものと考えるが、これについての見解を明らかにせよ。
四 折しも、ハンセン病国家賠償訴訟が提起され、来る五月には、西日本訴訟についての判決が出される予定だが、右の事実に象徴されるように、誤った強制隔離政策により、患者の人権を無視した非人間的な扱いを受け、筆舌に尽くし難い苦しみの末に亡くなった、多くの患者の方々へ思いを致す時、深い悲しみと強い憤りを感じるところである。
そこで、この際、国はこれまでの強制隔離政策の誤りを認め、これを全面撤廃するとともに、患者・遺族に対して全面的に謝罪するとともに、完全な補償を早急に行うべきと考えるが、見解を明らかにせよ。
右質問する。