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平成十四年二月二十八日提出
質問第三六号

中華人民共和国の世界貿易機関への加入議定書に基づく緊急関税に関する質問主意書

提出者  鉢呂吉雄




中華人民共和国の世界貿易機関への加入議定書に基づく緊急関税に関する質問主意書


 平成十三年十一月九日から十四日までカタールで開催された世界貿易機関(以下「WTO」という。)の第四回閣僚会議において、「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定第十二条1の規定に基づき中華人民共和国が世界貿易機関へ加入するため世界貿易機関との間において合意した条件を定めた議定書(以下「加入議定書」という。)」が承認され、平成十三年十二月十一日、中華人民共和国は第百四十三番目のWTO加盟国となった。
 この加入議定書においては、中華人民共和国のWTO加盟後十二年間(平成二十五年十二月十日まで)適用される経過的品目別セーフガード制度(以下「対中国経過的セーフガード」という。)が規定されている。
 今般、政府は、この対中国経過的セーフガードの制度を我が国に導入すること等を内容とする関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)を提出した。
 ついては、この法律案による改正後の関税暫定措置法(以下「改正関税暫定措置法」という。)に規定する対中国経過的セーフガードに関し、以下の点について質問する。

一 対中国経過的セーフガードとセーフガードに関する協定(以下「一般セーフガード協定」という。)に基づくセーフガードとの関係について明らかにされたい。また、これらに基づくセーフガードに係る発動要件、措置内容、発動期間、調査手続、暫定措置、貿易転換に対する措置、適用期間その他の内容について、具体的かつ明確に相違点を明らかにされたい。
二 対中国経過的セーフガードの発動については、改正関税暫定措置法第七条の七第一項において、「中華人民共和国を原産地とする特定の種類の貨物の輸入の増加の事実があり、当該貨物の輸入が、これと同種の貨物その他用途が直接競合する貨物の生産に関する本邦の産業に市場のかく乱を起こし、又は起こすおそれがある事実がある場合」と規定されている。
 そこで「市場のかく乱」とは何か。また、対中国経過的セーフガードの発動に関し、「本邦の産業に市場のかく乱を起こし、又は起こすおそれがある事実」がある場合とは、具体的にはどのような内容をいうのか。
三 加入議定書第十六節4においては、「国内産業によって生産される物品と同種又は直接に競合する物品の輸入が、絶対的又は相対的に急激に増加しており、国内産業に実質的な損害又はそのおそれに対する重要な原因となっている場合は、市場かく乱(market disruption)が存在するものとする。」と規定されているが、具体的にはどのような内容をいうのか。また、「実質的な損害又はそのおそれ」とは、一般セーフガード協定第二条1及び第四条1の「重大な損害」及び「重大な損害のおそれ」とどのように異なるのか。
四 加入議定書第十六節4に「市場かく乱の存在の決定に当たっては、影響を受けているWTO加盟国は、輸入量、同種又は直接に競合する物品の価格に対する輸入の影響及び同種又は直接に競合する物品を生産している国内産業に対する当該輸入の影響を含む客観的要素(objective factors)を考慮する。」と規定されているが、この「客観的要素」とは、具体的にはどのような内容をいうのか。また、一般セーフガード協定第四条2(a)に規定する評価の内容とはどのように異なるのか。
五 これらを踏まえ、対中国経過的セーフガードの発動の基準を具体的に法律に規定すべきではないか。また、法律に規定しない場合には、ガイドラインとして示すべきではないか。この場合、農産物及びその加工品については、季節性があり、保存性が低い特性を有することに配慮すべきではないか。
六 改正関税暫定措置法第七条の七第一項に基づく対中国経過的セーフガードの発動要件と、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第九条(緊急関税等)の「外国における価格の低落その他予想されなかった事情の変化による特定の種類の貨物の輸入の増加の事実があり、当該貨物の輸入が、これと同種の貨物その他用途が直接競合する貨物の生産に関する本邦の産業に重大な損害を与え、又は与えるおそれ」とは、具体的にはどのような違いがあるのか。
七 WTO加盟国は、加入議定書第十六節1に基づき、中国に対し「協議(consultations)」を求め、同節2に基づき中国が「市場かく乱を防止し、又は救済するための措置(such action as to prevent or
remedy the market disruption)」をとることができると規定されているが、この「協議」及び「措置」は、具体的にはどういう内容か。また、一般セーフガード協定においては認められていないいわゆる輸出の自主規制を含むと解してよいか。
八 改正関税暫定措置法第七条の七第十項において貿易転換に係るセーフガードの発動要件は、「中華人民共和国において加入議定書第十六節2の規定による措置がとられた場合又はその他の国において加入議定書第十六節3若しくは7の規定による措置がとられた場合において、これらの措置がとられたことによる中華人民共和国を原産地とする特定の種類の貨物の輸入の著しい増加が生じ、又は生ずるおそれがある事実があり、国民経済上緊急に必要があると認められるとき」と規定されているが、具体的にはどのような内容をいうのか。
 また、貿易転換に係る対中国経過的セーフガードの発動の基準を具体的に法律に規定すべきではないか。
九 政府は、一般セーフガード暫定措置が終了した平成十三年十一月九日以降のねぎ等三品目の輸入動向を把握するため、モニター調査を実施している。これによると、平成十四年二月十三日現在の累計値(平成十三年十一月九日から平成十四年二月八日)は、ねぎについては対暫定措置基準比(平成九年から平成十一年の同月の数量との比較)二百九十二%、生しいたけについては同比百十三%、畳表については同比二百二十五%となっており、明らかに輸入の増加が見られる。
 また、その国内産価格については低下しているものもあり、国内産地は依然として厳しい状況となっている。
 このような状況は、対中国経過的セーフガードの発動要件を満たしているのではないか。また、一般セーフガード協定の発動要件についてはこれを満たしているのか。
十 中国の加盟に関する作業部会報告書(REPORT OF THE WORKING PARTY ON THE ACCESSION OF CHINA。以下「作業部会報告書」という。)第二百四十六節(g)において、「議定書第十六項に基づく同一事例に関する調査は、正当な理由がなければ、前回の調査(a previous investigation)が終了した後一年未満には開始できない。」と規定されている。一般セーフガード協定に基づき行われたねぎ等三品目に係る調査は、作業部会報告書に規定する「前回の調査」に該当するのか。
十一 香港地域又はマカオ地域を経由して輸入された中華人民共和国を原産地とする農産物及びその加工品については、改正関税暫定措置法第七条の七第一項に定める「中華人民共和国を原産地とする特定の種類の貨物」に該当すると解してよいか。

 右質問する。



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