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平成十四年四月十九日提出
質問第五九号

諫早湾干拓事業の開門調査に関する質問主意書

 提出者
 小沢和秋    赤嶺政賢




諫早湾干拓事業の開門調査に関する質問主意書


 諫早湾干拓事業が有明海に及ぼす影響を調べるため、潮受堤防の排水門を開け調整池に海水を入れる開門調査について、四月十五日、農水大臣は長崎県知事らと協議した結果、同県知事の同意を得たことにより、短期の調査が行われることが決まった。しかし、ノリ不作等対策関係調査検討委員会(第三者委員会)が要請している、その後の中・長期の調査が行われるかどうかはいまだ不透明なままである。それどころか、農水大臣と同県知事は二〇〇六年度の事業完了をめざすことで一致し、数年間必要な長期調査はもちろん、数ヶ月の中期調査すら見送られる見通しになったとも伝えられている。
 よって、次のとおり質問する。

(一) これまで農水省は中・長期の開門調査は、短期調査の結果を見てから判断すると説明をしてきたが、報道によれば農水大臣は「短期調査の実施と二〇〇六年度完成という農水省案を条件に、長崎県に開門調査の実施を理解」してもらったと語っている。二〇〇六年度まであと四年であり、この発言は中期調査と数年の期間を必要とする長期調査は行わないという意味ではないか。また、これでは「短期調査の結果を踏まえて今後のことを考える」というこれまでの農水省の見解とも異なるが、どういう過程で見解が変わったのか。詳細を明らかにされたい。
(二) 九州農政局は四月一日付けの発注予定工事情報で、今年度の諫早湾干拓事業の工事予定を公表した。この中には現在の西工区と東工区との間に、長さ四・三キロメートル、高さ三・五メートルの前面堤防工事入札を第二四半期に行い、九〜十ヶ月の工期で実施することが記載されている。第二四半期とは今年の七月以降、短期開門調査終了直後であり、これは中・長期の開門調査の実施を全く考慮していないということではないか。
 さらに重大な点は、仮にこの前面堤防が完成すれば、第三者委員会の見解どおり中・長期の調査で調整池の中にマイナス一メートルを超えて海水を入れることになっても、かつての干潟だった西工区に海水が入ることは全くなく、干潟の再生の道が最終的に断たれることである。長崎県知事らとの協議は、中・長期の開門調査を行わないことを前提に行ったものなのか。
(三) 第三者委員会の意見を最大限尊重するとしながら、「調査と事業は切り離す」、「委員会の意見や見解と農水省の判断とは別」など、同委員会が出した見解を完全に無視する農水省の横暴な態度は目に余るものがある。一月に再開を強行した陸上工事を続け、さらに四月十八日には北部承水路掘削工事を開始した。これらが調整池や有明海に影響を与えないはずがない。少なくとも開門調査の間は、一切の工事を中止すべきではないか。
(四) 昨季の記録的なノリの不作は有明海漁業不振のごく一端で、潮受堤防工事着工直後から始まったタイラギを始めとする魚介類の不漁は有明海全域に広がっている。特に工事が本格化した一九九〇年以降の貝類の漁獲量は十年間に三十三パーセントにまで激減し、深刻さを増している。この直接的要因は、潮止による広大な諫早干潟の消失と、潮受堤防工事の進捗とともに進んだ潮汐と潮流の減少にある。瀕死の有明海をよみがえらせるには、諫早湾干拓が及ぼす影響を長期にわたって調べ、有明海の浄化機能と生物再生産の場であった干潟を再生させなければ不可能である。海洋物理学者・宇野木早苗氏の分析によれば、南北両排水門を常時全開しておくだけでも、潮汐は半分以上回復するという。
 四月十六日、農水大臣は上京した森文義氏ら有明海漁民代表の要請に応え、「有明海の再生は農水大臣の責任」と発言した。この責任を果たすため、もう一度第三者委員会の見解を真摯に受け止めて、短期調査だけに終わらせず長期の調査にまでつなげるべきではないか。

 右質問する。



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