答弁本文情報
平成十四年五月二十一日受領答弁第五九号
内閣衆質一五四第五九号
平成十四年五月二十一日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員小沢和秋君外一名提出諫早湾干拓事業の開門調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員小沢和秋君外一名提出諫早湾干拓事業の開門調査に関する質問に対する答弁書
(一)について
農林水産省においては、農林水産省有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会から昨年十二月十九日に発表された「諫早湾干拓地排水門の開門調査に関する見解」の趣旨等を踏まえ、有明海の再生に向けた総合的な調査の一環として、短期の開門調査を含む開門総合調査を行っているところであり、これにより国営諫早湾土地改良事業(以下「本事業」という。)による有明海の環境への影響をできる限り量的に把握することとしている。
一方で、本事業については、環境への一層の配慮を盛り込んだ見直し後の事業計画に沿って、工事を円滑に実施することにより、平成十八年度中に完了するよう、その推進を図ることとしている。
お尋ねの中・長期の開門調査の実施については、既に潮受堤防によって背後地で期待された防災機能が発揮されていること、潮受堤防の周辺地域で多くの住民が生活し農業、漁業等を営んでいること、本事業については早期完了を強く求められていること等の観点に加え、現在進められている有明海を再生するための新法制定の動き、短期の開門調査で得られた成果及び当該調査自体による影響、その他の有明海の環境改善のための各種調査の動向、ノリ作期との関係等の観点をも踏まえ総合的な検討を行った上で、新たに平成十四年度中に設ける有明海の再生方策を総合的に検討する場での議論を経て、農林水産省において判断することとしており、このことについては従来から変わりはない。
中・長期の開門調査の実施については、(一)についてで述べたとおり、新たに平成十四年度中に設ける有明海の再生方策を総合的に検討する場での議論を経て、農林水産省において判断することとしている。
なお、調整池に海水を導入して西工区を干潟に戻すことは、既に干陸し整備されつつある土地の農地としての効用を無に帰するだけでなく、既に高潮や洪水等の災害から生命、財産等を守る役割を果たしている潮受堤防や調整池の機能を失わせることとなることから、干陸した西工区を元の干潟に戻すことは考えていない。
また、有明海の再生については、政府全体として取り組むべき重要な課題と認識しており、農林水産省においても、(一)についてで述べたとおり、開門総合調査を行っているところであり、これにより本事業による有明海の環境への影響をできる限り量的に把握することとしている。
本事業については、短期の開門調査の実施と併せて、本事業見直し後の陸上での前面堤防工事及び水中での承水路掘削工事を含む工事の円滑な実施を通じて、平成十八年度中に完了するよう、その推進を図ることとしている。陸上での工事は、基本的には調整池の水質に影響を及ぼす可能性はないが、万一の調整池の水質への悪影響を防ぐため、今後ともその施工に伴う排水の水質を監視しつつ、必要に応じ適正な処理を行うこととしている。また、水中での承水路掘削工事は、今後とも掘削土とともに濁りもポンプにより吸い込みつつ掘削するポンプ浚渫船等により行うこととしている。このように、これらの工事は、調整池の水質への悪影響を防ぐための対策を講じつつ実施することとしている。