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平成十四年七月一日提出
質問第一一六号

「海幕三等海佐開示請求者リスト事案等に係る調査報告書」に関する質問主意書

提出者  金田誠一




「海幕三等海佐開示請求者リスト事案等に係る調査報告書」に関する質問主意書


 防衛庁が公表した「海幕三等海佐開示請求者リスト事案等に係る調査報告書」(以下「報告書」という。)に関して以下質問する。

一 マスコミ報道によれば、報告書が記者クラブに発表されたのは六月十一日の夜間、そして防衛庁ホームページに掲載されたのが六月二十一日付、国会に正式に報告されたのは何時であるのか不明だが、この違いは、報告書が誰に対してなされたものであるかを知る上で極めて重要である。当職は、報告されるべき対象者を、第一にこの事案においてプライバシーを侵害された被害者である行政文書開示請求者、ひいては国民及びそれを代表する国会であると考える。そこでこの点に関して以下政府の見解を確認したい。
 1 報告書は誰に対して報告されたものであるのか、政府の見解を明らかにされたい。
 2 国会に対して正式に報告したと政府が認識しているのは何時の時点か。
 3 報告書が国民に対する報告であるのなら、記者クラブに発表された時点で防衛庁のホームページに掲載されるべきと考えるが、実際はその十日後であった。この理由について明らかにされたい。
 4 報告書は、同事案においてリストにまとめられプライバシーを侵害された行政文書開示請求者全てに政府の謝罪と共に届けられるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
二 角田内閣法制局長官は、一九八〇年十一月二十八日参議院内閣委員会において「職務上知り得た秘密というのは何かと言いますと、通常この中には公的な秘密、つまり行政上の秘密であって、行政上の必要によって秘密を保つことそれ自体が要求されているものがございます。それのほかには、一般私人の秘密というものがございます。これを行政機関として知り得た場合には、やはり職務上知り得た秘密ということになるわけでございます」(第九十三回国会参議院内閣委員会会議録第十二号九頁)と答弁している。そこで以下の点について政府見解を確認したい。
 1 個人が情報公開法に基づき行政文書開示請求をしたという事実は、非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備している事実と考えられるが政府の見解を明らかにされたい。
 2 個人が情報公開法に基づき行政文書開示請求をしたという事実は、国家公務員法第百条又は自衛隊法第五十九条でいう「秘密」に該当するのか、政府の見解を明らかにされたい。
 3 個人が情報公開法に基づき行政文書開示請求をしたという事実は、角田答弁でいう「一般私人の秘密」に該当するのか、政府の見解を明らかにされたい。
 4 行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(以下「行政機関電算処理個人情報保護法」という。)第二条でいう「個人情報」は、次の事項に該当しないのか、該当しない場合はその理由を、該当する場合としない場合が存在する場合には該当する場合の要件をそれぞれ明らかにされたい。
  @ 国家公務員法第百条でいう「秘密」。
  A 自衛隊法第五十九条でいう「秘密」。
  B 角田答弁でいう「一般私人の秘密」。
 5 行政機関電算処理個人情報保護法第二条でいう「個人情報」の取り扱いに関して以下の点を確認したい。
  @ 秘密保全規則等で秘密に指定してこれを取り扱っている省庁を明らかにされたい。
  A 秘密保全規則等で秘密に指定してはいないが、国家公務員法第百条ないし自衛隊法第五十九条でいう秘密としてこれを取り扱っている省庁を明らかにされたい。
  B @又はAの取り扱いを行っていない省庁を明らかにされたい。
 6 「A三等海佐は、情報公開法に基づく開示請求に対する開示・不開示決定のための決裁に関する上司等への説明の際、説明を円滑に行うために、上司等に対し、参考として、この開示請求者は今回で何回目の請求であり、過去にこのような開示請求を行っている旨の補足説明を口頭で行ったことがあった」(報告書三頁)という事実に関連して以下の点を確認したい。
  @ 「この開示請求者は今回で何回目の請求であり、過去にこのような開示請求を行っている」というのは、次の事項に該当しないのか、該当しないのであればその理由を明らかにされたい。
   (1) 自衛隊法第五十九条でいう「秘密」。
   (2) 角田答弁でいう「一般私人の秘密」。
  A A三等海佐がそうした補足説明を行った回数は何件か政府が把握する限りについて明らかにされたい。
  B A三等海佐がそうした補足説明を行ったのは、本人が自発的に行ったものか、上司等の求めに応じて行ったものなのか。上司等の求めに応じて行われた事例があれば、以下の点を明らかにされたい。
   (1) そのような要求を行った者の官職と氏名。
   (2) そのような要求と防衛庁の所掌事務遂行上の必要性との関係。
三 A三等海佐が作成した開示請求者リストについて以下の点を確認したい。
 1 開示請求者リストは「複数の種類がある」(報告書三頁)とのことだが、具体的に何種類あるのか、またそれぞれの概要を明らかにされたい。
 2 開示請求者リストの対象となった請求項目件数及び対象者の数を明らかにされたい。
 3 開示請求者リストには次に該当する情報が含まれていなかったのか明らかにされたい。
  @ 自衛隊法第五十九条でいう「秘密」。
  A 角田答弁でいう「一般私人の秘密」。
  B 「プライバシーとして特に保護を必要とされるもの」(報告書十二頁)。
 4 A三等海佐がリストを作成するに当たって他課室から入手した個人情報には「自衛隊法にいう職務上の秘密に該当するものはなかった」(報告書四頁)とのことである。この記述に従えば、報告書作成の調査に当たっては、A三等海佐が他課室の担当者から入手した個人情報のそれぞれについて非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備している事実であるか検討を加えたものと思われる。そこで以下の点について確認したい。
  @ 「A三等海佐が他課室の担当者から入手したとする個人情報」(報告書四頁)の件数とそれぞれの概要、及び当該情報を提供した担当者の官職と氏名を明らかにされたい。
  A それら個人情報が非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備していないとする理由について、個別の案件ごとに明らかにされたい。
  B それら個人情報は角田答弁でいう「一般私人の秘密」に該当しないのか、しないのであればその理由について個別の案件ごとに明らかにされたい。
  C それら個人情報の中には「プライバシーとして特に保護を必要とされるもの」(報告書十二頁)も含まれているとのことであるが、「プライバシーとして特に保護を必要とされる」個人情報が自衛隊法第五十九条でいう「秘密」に該当しない、言い換えれば非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備していないとする理由について政府の見解を明らかにされたい。
  D 「プライバシーとして特に保護を必要とされるもの」(同右)に該当する個人情報は、角田答弁でいう「一般私人の秘密」に該当しないのか、しないのであればその理由を明らかにされたい。
四 A三等海佐が作成した開示請求者リストの配布に関して以下の点を確認したい。
 1 開示請求者リストを受け取った者の中で、同リストが「行政機関電算処理個人情報保護法」に違反すると当時認識していた者がいればその者を明らかにされたい。
 2 それらの者が、違法性を認識していたにもかかわらず具体的な措置を取らなかった理由について明らかにされたい。
 3 隊員が違法行為を行っている疑いがある場合に、それを知った他の隊員はいかなる措置を取るべきかについて、防衛庁・自衛隊における取り決めについて明らかにされたい。
 4 同リストを受け取った者は当時、これを情報公開法でいう「行政文書」と認識していたのか、あるいはA三等海佐の私物を贈与されたと認識していたのか、明らかにされたい。
 5 海上自衛隊中央調査隊I三等海尉は開示請求者リストを「同隊隊長を含む3名に閲覧させた後、同隊資料科長に手渡し」(報告書八頁)たとのことであるが、これは通常業務の一環として行われたことなのか、I三等海尉の私的な行為として行われたことなのか。
 6 海幕調査課情報保全室及び海上自衛隊中央調査隊への配布に関してA三等海佐は、これをどのように「活用してもらえるのではないかと考え」(報告書五頁)ていたのか、明らかにされたい。
 7 報告書によれば海幕情報公開室長及び陸幕情報公開室長は、A三等海佐の行為について疑念ないし不適切であるとの認識を持っていたようだが、それを上司に報告しなかった理由について明らかにされたい。
五 防衛庁情報公開室が作成した「進行管理表」(報告書十四頁)に関して以下の点を確認したい。
 1 「進行管理表」の内容についてその全てを明らかにされたい。
 2 「防衛庁情報公開室長は、同年4月中旬に、『進行管理表』の請求件名の欄中に、個人名を入れることには抵抗があったため請求者のイニシャルを入れるとともに、団体(マスコミ、オンブズマン等)については、これとの並びで略号を付することを指示した」(報告書十四頁)とあるが、この点に関して、以下について政府が把握する限り全てについて明らかにされたい。
  @ 割り振られたイニシャルは請求者一人に対して一つなのか、言い換えると情報公開室の担当官はイニシャルによって開示請求者個人を認識することが可能だったのか。
  A 情報公開室の担当官は、このイニシャルが開示請求者の誰であるかに関して他の職員に伝えた事実があるか。
  B 団体の略号については、それが実質的に代表者等の個人を特定する事例はなかったのか。
 3 「進行管理表」に記入した個人に関する情報の入手方法について以下の点を確認したい。
  @ 行政文書開示請求書に基づくもの以外に関しては「窓口における開示請求者とのやりとり、開示請求者の名刺、補正等の際に室員が開示請求者から聞いた内容又は既知の情報などをもとに記載した」(報告書十八〜十九頁)とのことであるが、これらを担当官が記録していた理由とその必要性について明らかにされたい。
  A 「既知の情報」(報告書十九頁)とは、防衛庁内外において既に広く知られた事実であるのか。あるいは単に防衛庁の一部においてのみ知られた事実であるのか。
  B 「既知の情報」(同右)とは防衛庁部内から得たものであるのか。そのような場合があるのであれば、既知の情報の概要及びその情報の提供元について政府が把握している限りその全てを明らかにされたい。
六 陸幕情報公開室が作成したリストに関して以下の点を確認したい。
 1 「業務処理状況一覧表」(報告書十五頁)のうち摘要に記載された内容の全てを明らかにされたい。
 2 「業務処理状況一覧表」の摘要の項目に記載された個人に関する情報は、「以前の行政文書開示請求書、開示請求者の名刺、書籍又は既知の情報などをもとに」(報告書十九頁)したことについて以下の点を確認したい。
  @ 摘要の項目に記載された分類に関わる記述の全てを明らかにされたい。
  A こうした区分の判断をした者の官職と氏名を明らかにされたい。
  B こうした分類を行った理由及びその必要性を明らかにされたい。
  C 開示請求を受けるに当たって以前の行政文書開示請求書を調査した理由及びその必要性を明らかにされたい。
  D ここでいう「既知の情報」とは、防衛庁内外において既に広く知られた事実であるのか。あるいは単に防衛庁の一部においてのみ知られた事実であるのか。
  E 「書籍又は既知の情報」とは防衛庁部内から得たものであるのか。そのような場合があるのであれば、それら情報の概要及びその情報の提供元について政府が把握している限りその全てを明らかにされたい。
  F 行政文書開示請求を受け付けるに当たって、陸幕情報公開室が開示請求者と直接やりとりする機会は通常ないはずであるが、「開示請求者の名刺」が陸幕情報公開室にわたった経緯についてそれぞれの事例について明らかにされたい。
 3 「情報公開概要報告」(報告書十六頁)の内容についてその全てを明らかにされたい。
 4 「情報公開概要報告」では「報道機関」、「研究機関」、「業者」、「オンブズマン」、「市民団体」及び「個人」などの区分が行われていた(報告書十六頁)ことについて以下の点を確認したい。
  @ こうした区分の判断をした者の官職と氏名を明らかにされたい。
  A その判断を行うに当たって得た情報の入手先について政府が把握している限りその全てを明らかにされたい。
  B 右における区分の業務上の必要性について政府の見解を明らかにされたい。
七 空幕情報公開室が作成したリストに関して以下の点を確認したい。
 1 「進行管理表」(報告書十七頁)のうち、「請求者区分」のみ含むものと開示請求者の氏名も「請求者区分」も含まないものについてその内容の全てを明らかにされたい。
 2 「進行管理表」の「請求者区分」に記載された個人に関する情報は「情報公開窓口における開示請求者とのやりとりをもとに」(報告書十九頁)したとのことであるが、そうしたやりとりを担当官が記録していた理由とその必要性について明らかにされたい。
 3 「開示請求件数」(報告書十八頁)の内容についてその全てを明らかにされたい。
 4 「開示請求件数」の請求者区分の記載に関して「マスコミ」、「市民オンブズマン」等の区分を行っていた(報告書十九頁)ことについて以下の点を確認したい。
  @ 「マスコミ」等の区分の他にいかなる区分が行われていたのか、そうした区分に関わる記述の全てを明らかにされたい。
  A こうした区分の判断をした者の官職と氏名を明らかにされたい。
  B こうした分類を行った理由及びその必要性を明らかにされたい。
 5 「開示請求件数」に記入した個人に関する情報の入手方法について以下の点を確認したい。
  @ 開示請求を受けるに当たって以前の開示請求を調査した理由及びその必要性を明らかにされたい。
  A 行政文書開示請求を受け付けるに当たって、空幕情報公開室が開示請求者と直接やりとりする機会は通常ないはずであるが、いかなる経緯で「情報公開窓口における開示請求者とのやりとり」が行われることになったのか、それぞれの事例を明らかにされたい。
八 空幕情報公開室個人情報リスト配布事案に関して以下の点を確認したい。
 1 「S三佐は空幕情報公開室においてU三尉に対し、当初の1〜2回は行政文書開示請求書を見せ」(報告書二十二頁)たとのことである。そこで以下の点を確認したい。
  @ 防衛庁において、受け付けられた行政文書開示請求書は、自衛隊法第五十九条でいう「秘密」には該当しないのか。
  A 他省庁において、受け付けられた行政文書開示請求書は、国家公務員法第百条でいう「秘密」には該当しないのか。
  B 防衛庁において、受け付けられた行政文書開示請求書を閲覧できる職員の範囲に関しては制限はないのか。言い換えると防衛庁職員であれば、受け付けられた行政文書開示請求書を閲覧することは許されているか。
  C 他省庁においては、受け付けられた行政文書開示請求書を閲覧できる職員の範囲に関しては制限はないのか。言い換えると当該省庁の職員であれば、受け付けられた行政文書開示請求書を閲覧することは許されているか。
 2 S三佐が自ら作成した個人情報リストをU三尉に渡した件(報告書二十二頁)に関して以下の点を確認したい。
 この個人情報リストに記載された「請求内容」「受付番号」「氏名」というのは、次に掲げる事項に該当しないのか。該当しないのであれば、その理由を明らかにされたい。
  @ 自衛隊法第五十九条でいう「秘密」。
  A 角田答弁でいう「一般私人の秘密」。
  B 「プライバシーとして特に保護を必要とされるもの」(報告書十二頁)。
 3 U三尉はいかなる目的で行政文書開示請求書を閲覧し、S三佐が自ら作成した個人情報リストを受け取ったのか。またこれはU三尉の業務に関わる正当な行為だったのか。
 4 S三佐は後任のT三佐に対して「U三尉への個人情報リスト手交を申し送った」(報告書二十三頁)とのことであるが、これは業務の一環として申し送りがされていたのか。
 5 「S三佐及びT三佐とも空幕情報公開室長(新旧2名)の許可を得ずにU三尉に個人情報リストを手交していた」(報告書二十三頁)とあるが、防衛庁においてこうした個人情報リストの配布には上司の許可が必要とも読みとれる。そこでこうした個人情報に関わるリストの配布・閲覧についての決まりが存在するのであれば、その全てを明らかにされたい。
 6 「U三尉は調査隊長に対し、個人情報リストの一部の内容について、5〜6回程度、他の案件と合わせて口頭で報告を行った」(報告書二十三頁)とのことであるが、それに関して以下の点を確認したい。
  @ この報告は業務の一環として行われたものであるのか。
  A 報告を受けた調査隊長は、その後この報告をどのように取り扱ったのか。
 7 U三尉の「自分の業務」(報告書二十三頁)とは何か、その全てを明らかにされたい。
九 政府の見解によれば、「防衛庁が行う情報収集等の事務は、所掌事務を遂行する上で必要なものとして行われて」(「衆議院議員金田誠一君提出防衛庁による情報収集活動の限界に関する質問に対する答弁書」(平成十三年九月十一日答弁))おり、個人に関する情報についても「当然に防衛庁が行う情報収集の対象となり得る」(「衆議院議員金田誠一君提出防衛庁による情報収集活動の実態に関する質問に対する答弁書」(平成十四年二月五日答弁))としている。そこで以下の点を確認したい。
 1 防衛庁が行う情報収集等の事務の中には、一般国民の「思想・信条に関わる事項を調査」(報告書一頁)することが含まれているのかを明らかにされたい。
 2 今回の事案における行政文書開示請求者の中には「防衛庁が行う情報収集の対象となり得る」者がいたのかを明らかにされたい。
 3 今回の事案に関わった職員の中に所掌事務を遂行する上で個人に関わる情報を収集の対象としていた者がいればその者の官職と氏名を明らかにされたい。
 4 「A三等海佐が他課室の担当者から入手したとする個人情報」(報告書四頁)はいかなる所掌事務を遂行する上で収集されたのか、それぞれの情報を収集する上で根拠となった法令を明らかにされたい。
 5 行政文書開示請求を利用して個人に関わる情報を集めるという行為は、「所掌事務を遂行する上で必要な範囲で、また、法令に違反しない限り」(右平成十四年二月五日答弁)に該当するのかを明らかにされたい。
十 今回の事案に関して防衛庁が発表した処分内容において、氏名が明らかにされていない処分者が存在するが、この者達の氏名を伏せている理由を明らかにされたい。
十一 今回の事案で個人の権利利益が害された事例が存在するのか、政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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