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平成十四年七月三十一日提出
質問第一九〇号

MMRワクチン接種による被害発生の原因究明に関する質問主意書

提出者  阿部知子




MMRワクチン接種による被害発生の原因究明に関する質問主意書


 はしか(M)、おたふく風邪(M)、風しん(R)を一度の接種で予防できるとして一九八九年四月導入された新三種混合ワクチン(以下MMRという)は、当初の一九八九年から無菌性髄膜炎を中心とする副反応(副作用)を多発させたにもかかわらず、一九九三年四月まで接種が継続された。「当面接種見合わせ」が決まるまでの丸四年間、百八十三万千七十六人もの子どもたちに接種が行われ、無菌性髄膜炎発生数が千七百五十四人であった(当時の厚生省保健医療局エイズ結核感染症課の丸山浩・冨澤一郎両氏「MMRワクチン接種後の無菌性髄膜炎発生状況とその対応」日本臨床ウィルス学会『Clinical Virology vol.22 No.1 Mar.1944』所収)。また、同論文で両氏は「・・・このように、MMRワクチンについては、感染症対策の立場をふまえ無菌性髄膜炎発生という副反応を勘案しつつ、適切な行政的措置を講じてきたと結論する。」と結んでいる。
 一方、一九九三年十二月、MMRワクチンに問題があり、その接種が原因で子どもが死亡したとして、その両親が、国と財団法人阪大微生物病研究会(以後、阪大微研という)を被告として大阪地裁に提訴している。さらに一九九六年四月、同様に重度の障害を負ったとして本人とその両親が提訴し、現在、三家族が争っている。
 右の事実について、容易には了解できない経過、薬害ではないかと疑うべき経過が認められる。そもそも、MMR接種後に、我が子の命を奪われ、健康を奪われ、やむなく提訴に踏み切るものがいる問題について、丸山、冨澤両氏は、MMRワクチンの経過全体を、論文の題名のとおり「無菌性髄膜炎に限定」して「適切な行政的措置を講じてきた」と総括をし、その他のより重篤な被害事例についてまったく言及していないことに疑いをもたざるを得ない。あるいはそれが裁判対策として執筆されたと理解すればよいのかもしれないとさえ考えてしまう。
 導入当初、一九八九年に無菌性髄膜炎多発が問題とされ、同年、福島県で死亡例がありながら、中断されることなくさらに患者と死亡例を生みつつ一九九三年四月まで続行されたことに強い疑念を禁じえない。MMRワクチンでなければ当時の子どもたちを救えないというような危機的な状況はなく、MMRを完全にやめて、従来の「はしか単独接種のみ」に戻せば被害を最小限に止められたと国民誰もが考えられる経過といえよう。
 国家が強制力(予防接種法)をもって、危険な医薬品=MMRワクチンを百八十万の健康な子どもに接種させ、尊い命を危険にさらしたことが疑われる。よって、事の真相や責任の所在を明らかにし、被害の救済が進み、予防接種行政が安全に正しく行われることを願い、以下質問する。答弁に際しては、根拠となる文献・調査データ・公文書の名称も示せ。

一 一九八九年、群馬県前橋市医師会予防接種委員会が、高頻度で無菌性髄膜炎を発症している(二百十七人に一人)ことを報告しているが、政府としてそれを知った年月日を示せ。
二 一九八九年、福島県の死亡事例について、接種年月日、死亡日時はいつか。報告を受けたのはいつか。また、その事例の救済申請の提出日と救済決定がなされた日、救済給付の内容について示せ。
三 カナダでウラベ株おたふく風邪ワクチン(阪大微研製)を含むMMRが無菌性髄膜炎を発症し、ライセンス取消しまでに至った事実について詳細を示せ。また、それをいつどのようにして知ったかを示せ。
四 一九八九年十月二十五日付「通知」(健医感発第九十三号)で示された「慎重を期されたい」の意味は具体的にどうしなさいという意味なのか。またそれを出すに至った主な原因を具体的に示せ。
五 一九八七年〜一九九四年の間の単味はしかワクチンとMMRワクチンの年次別製造量を示せ。(株別に)
六 厚生省保健医療局(当時)が報告を受けた(収集した)MMR接種後の重篤な症例内容を全て示せ。(接種年月日・発症年月日、診断名、経過と予後、救済申請の有無、救済の内容等)
七 厚生省薬務局(当時)が報告を受けた(収集した)MMR接種後の重篤な症例を全て示せ。(接種年月日・発症年月日、診断名、経過と予後、救済申請の有無、救済の内容等)
八 一九九一年十月より自社株MMR(三社の独自株)を導入したことに関して、最も優れたはしかワクチン・おたふく風邪ワクチン・風疹ワクチンを組み合わせたはずの「統一株ワクチン」(冒頭の丸山・冨澤論文と引用文献)が副作用を多発したなかで、統一株ワクチンを回収するなど被害拡大防止策を講じず、市場に放置し、加えて「最も優れているとはいえない」自社株ワクチンを導入するという、MMRに強くこだわる理由は何だったのか。当時、危険性が前面に出て、国民=子どもたちの親の側には何らメリットのないワクチンに成り下がったものに何故執拗に執着したのか。その判断の背景に業界や専門家のいかなる意向があったのか。政府の見解を示せ。
九 一九九一年十月より三社の自社株MMRと三社の統一株が流通・接種されることになるが、保健医療局は、以後、三ヶ月ごとに「モニタリング」を実施した。(一九九一年六月二十一日付 健医感発第四三号)その調査様式で収集されたデータ原本をもとに、無菌性髄膜炎の年次別月別株別発生の経過を示せ。
十 また、統一株を残して自社株MMRを導入したことは、法定接種の場を舞台として国が主導した、比較のための人体実験といえるのではないか。同時に、子どもたちの生命を軽視して、三社が保有した統一株ワクチンの在庫処分と三社の自社株ワクチン販売という企業利益を優先した判断といわざるを得ない。政府の見解を示せ。
十一 一九九一年十月の自社株導入に際して、当時の薬務局所管の「MMRワクチン研究班」(班長・木村三生夫 事務局・堺春美、いずれも東海大小児科)がMMR接種後のデータ収集を行ったとされている。その調査過程で収集された接種データ原本を基に、症例数とその内容を府県別に示せ。
十二 MMRの全経過(導入から接種見合わせ)の中で、当時の薬務局がMMRワクチンの安全性確保に関して行った業務(メーカーからの情報収集、メーカーへの指導、公表した情報、保健医療局から収集した情報や同局へ提供した情報、また同局への何らかの指導など)について、一連の経過を示せ。
十三 一九八八年〜一九九三年、当時の国立予防衛生研究所がMMRワクチンに対して実施した国家検定について、メーカー別、年次別に、検定項目、量、合否、不合格ならその内容を示せ。
十四 一九九三年五月に公表された、阪大微研の製造方法無断変更と副作用多発との因果関係について、政府の見解を示せ。
十五 (財)化学及血清療法研究所によると、アメリカ製MMRワクチン輸入のための臨床試験が行われている。国産MMRワクチンの副作用多発の問題が十分解明されないまま、このMMRワクチンが輸入され接種再開されるならば大きな不安がつきまとう。それについての見解を示せ。
十六 戦後、予防接種法制定・施行(一九四八年)以後、一時接種を見合わせたことのあるポリオ、DPT三種混合ワクチンは何が原因で見合わせたのか、それに対していかなる対処をして再開したか政府の見解を示せ。

 右質問する。



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