質問本文情報
平成十五年三月十九日提出質問第三六号
第一五六国会に政府が提出した労働基準法の一部を改正する法律案に関する質問主意書
提出者 城島正光
第一五六国会に政府が提出した労働基準法の一部を改正する法律案に関する質問主意書
第一五六国会に政府が提出した労働基準法の一部を改正する法律案に関してお尋ねする。
二 同条のうち、「ただし、その解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」について、解雇権の消滅、又は、解雇権の行使の阻止を規定する法条として解釈される可能性はないか。
三 同条の解釈・適用に関して、労働者が解雇されその効力を争って労働契約上の地位確認請求訴訟を提起した場合の要件事実と証明責任の分配は、@労働者側の請求原因は、労働契約の締結、A使用者側の抗弁は、解雇の意思表示、B労働者側の再抗弁は、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないこと、と解釈・適用される可能性はないか。
四 同条のうち、「使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができる。」という部分について、厚生労働省は『権利の発生、創設、又は、付与を定める法条ではなく、権利の確認の条項である』との説明を行っているが、行政法はさておき、法務省が所管しかつ民事上の権利義務を定める法令の中に、権利の確認だけを定める条項であって、かつ、権利の発生、創設、又は、付与を定めるものではないと解される条項の先例はあるか。
五 同条のうち、「この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合」という部分について、かかる制限の存在については労働者側が証明責任を負い、使用者がかかる制限の不存在の証明責任を負担するものではないと解されるがいかがか。
六 同条のうち、「使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができる。」という部分について、もし仮に、厚生労働省の説明するように権利の確認の条項であるにすぎないとすれば、この部分を削除し、同条の但書以下の部分を「使用者の行った解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と修正したとしても、修正後の条項は、修正前の条項と全く同じ意味内容であり、実体的な権利義務関係には一切何の変動も生じさせるものではないと解されるがいかがか。
右質問する。