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平成十五年六月十日提出
質問第九七号

POPs系農薬等に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




POPs系農薬等に関する質問主意書


 平成十四年八月三十日に「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)が閣議決定されました。同条約に挙げられているPOPs系農薬は、日本では、現在、使用されていないか、一度も使用されたことのないものです。しかし、過去において使用され、その後販売禁止・使用規制されたPOPs系農薬が、一九七一年に、農林省の指示で、埋設処理されています。また、POPsの一種ダイオキシンを含む農薬である、2,4,5−T、CNP、PCP、PCNB(いずれも登録失効)の農薬が省令で販売禁止されようとしています。このうち、一九七一年に林野庁の指示で埋設処理された2,4,5−T系農薬については、同庁が一九八四年に埋設個所の所在場所を調査・公表し、その後、目視調査や、定点の環境調査が実施されています。また、CNPは一九九九年に、PCPとPCNBは、二〇〇一年四月に、農水省が回収を指導しています。
 一方、埋設処理されたPOPs系農薬については、農水省が二〇〇一年に実態調査を実施し、同年十二月に、結果が都道府県別一覧表のかたちで発表され、全国一七四個所に約三七〇〇トンの農薬が埋設されていたことが明らかになりました。さらに、同月、環境省からは、埋設農薬調査・掘削等暫定マニュアルが公表され、自治体又は農協等が事業主体となり、調査・掘削・保管するよう求められました。
 そこで、以下の点をお尋ねしますので、回答のほどよろしくお願いします。

(1) POPs条約の第六条には、「ストックパイル及び廃棄物から生ずる排出を削減し又は廃絶するための措置」の条項があり、POPs系農薬やダイオキシン含有農薬の廃棄物や回収物についても、適切な処理をすることが求められています。
 過去において農水省の指示で埋設されたり、すでに回収されているもの、さらに、現在、農家が保有しているPOPs系農薬等について、今後、どのように処理なされるのか、考えをお示しください。
(2) POPs条約第十条には、「残留性有機汚染物質に関するすべての入手可能な情報を公衆に提供すること。」との条項があります。しかし、農水省が二〇〇一年十二月に公表したPOPs系埋設処理実態調査結果では、都道府県別薬剤別数量が明らかにされただけで、埋設場所の所在等が明らかにされていません。
 所在地名を公表した上、それぞれの場所での埋設状況を明らかにしてください。
(3) 二〇〇一年以後、農薬埋設個所で環境調査等が実施されたところは、どこで、その結果はいかようなものでしたか、その内容をお示しください。分析データなどがあれば、埋設個所毎に、わかりやすく、お示しください。
(4) 前記調査した個所のうち、農薬の漏洩などが確認され、掘削・保管を実施することになったのは、どこですか。
 環境省が二〇〇一年十二月に発表した「埋設農薬調査・掘削等暫定マニュアル」では、周辺住民に掘削作業内容を周知することを求めています。地元に対してどのような説明がなされていますか。また、具体的な埋設場所、埋設状況、環境調査結果、埋設農薬数量、今後の保管計画、処理計画をお示しください。
(5) 二〇〇一年の農水省発表以後、判明したPOPs系農薬の埋設個所がありましたら、その所在地毎に農薬種類別数量、埋設状況をお示しください。
(6) 農水省が実施しているPOPs系埋設農薬やダイオキシン含有農薬の処理技術の開発状況について、検討機関名、検討内容と検討結果をお示しください。
(7) 昨年九月に、環境省がPOPs対策検討会で提示した資料「農家段階でのPOPs農薬等の保管実態にかかるモデル調査」によると、「(1)一〜二%程度の農家が現在もPOPs農薬を保管している可能性がある。(2)POPs農薬を保管している農家は、平均で一戸あたり一kg程度と考えられる。」と報告されています。
 すでに、農薬業界や自治体、農業団体の中には、農家手持ちの残・廃農薬の回収を実施しているところがありますが、回収団体毎に、回収結果はどうなっているかをお示しください。また、回収された農薬の中には、どの程度POPs系農薬及びダイオキシン含有農薬が含まれていましたか。POPs系農薬やダイオキシン含有農薬があった場合、その保管及び処理については、どのようにされていますか。
(8) 昨年発覚した無登録農薬の中で、最も数量が多かったのは、PCNBですが、回収された無登録製剤の中のダイオキシン含有量は〇・九七〜三・四ng−TEQ/gと発表されました。分析結果について、異性体別の実測値をお示しください。
 また、回収された登録及び無登録のPCNB製剤数量、保管状況及び処理状況について、該当都道府県別にお示しください。
(9) 2,4,5−Tの埋設個所の状況につき、最近十年の調査結果を、埋設個所毎に明らかにしてください。また、POPs条約の閣議決定を踏まえ、埋設された2,4,5−Tの処理を今後どうするか、お考えをお示しください。
(10) 農薬取締法第一条の三に「農林水産大臣は、農薬につき、その種類ごとに、含有すべき有効成分の量、含有を許される有害成分の最大量その他必要な事項についての規格(以下「公定規格」という。)を定めることができる。」という条文があります。
 農薬中のダイオキシン含有量について、公定規格を設定すべきと考えますが、いかがお考えですか。
(11) POPs系農薬であるドリン系薬剤は、作物残留性や土壌残留性が大で、登録が失効して四半世紀を経る現在も、いまだ、キュウリ等への残留がみられ、基準値を超える場合が、しばしばあります。最近でも、東京都多摩地区や山形県などで、キュウリやその栽培土壌に、ディルドリン等が検出されています。同剤は、一九八一年に、化学物質審査製造等規制法で「特定化学物質」の指定を受けるまで、家庭用殺虫剤やシロアリ防除剤としても使用されていました。農耕地におけるドリン剤汚染原因を究明し、その除去及び農作物への残留をなくすために、どのような施策をすすめておられますか。

 右質問する。



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