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答弁本文情報

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平成十五年九月五日受領
答弁第九七号

  内閣衆質一五六第九七号
  平成十五年九月五日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員佐藤謙一郎君提出POPs系農薬等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員佐藤謙一郎君提出POPs系農薬等に関する質問に対する答弁書



(1)及び(6)について

 アルドリン、クロルデン、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、DDT(一・一・一―トリクロロ―二・二―ビス(四―クロロフェニル)エタン)、2,4,5―T(二・四・五―トリクロロフェノキシ酢酸)、CNP(二・四・六―トリクロロフェニル―四―ニトロフェニルエーテル)、PCP(ペンタクロロフェノール)又はPCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)を有効成分とする農薬(以下「有機塩素系農薬」という。)を安全に処理するための技術開発については、財団法人残留農薬研究所に委託して、平成十二年度から、メカノケミカル法(回転する円筒内に鋼球等を入れた粉砕器で物質を粉砕する際に化合物が分解しやすくなることを利用して、常温・常圧で有機塩素系農薬を分解する技術)、ジオメルト法(処理対象物に設置した電極に通電することにより生じた約二千度の高熱によって、有機塩素系農薬を分解する技術)等の技術について、当該技術を用いた場合の有機塩素系農薬の分解率及び有害物質の生成の有無の検討を進めるとともに、実証試験を行っているところであり、現在保管されている有機塩素系農薬について、引き続き適切な管理を図るとともに、これらの技術を用いて有機塩素系農薬の適切な処理を進めてまいりたい。

(2)について

 農林水産省においては、「埋設農薬の実態調査について」(平成十三年六月五日付け十三生産第千七百三十八号農林水産省生産局長通知)により都道府県に依頼した実態調査(以下「実態調査」という。)の結果を取りまとめ、平成十三年十二月に公表したところであるが、具体的な埋設場所については、犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることから、明らかにできない。

(3)について

 都道府県からの聞き取りによれば、実態調査の対象となった農薬の埋設場所及び平成十三年十二月以降新たに判明した農薬の埋設場所について、同年十二月から平成十五年八月までの間において都道府県が実施した周辺環境への汚染の有無の確認調査(以下「環境調査」という。)の実施状況は、別表第一のとおりである。

(4)について

 都道府県からの聞き取りによれば、環境調査の結果、農薬の漏えいが確認されたこと等により、掘削及び倉庫等への保管を実施することとなった農薬の埋設場所、埋設状況、環境調査の結果、埋設量及び周辺住民に対する掘削作業内容の周知状況は、別表第二のとおりであり、いずれの場合においても、安全な処理技術が開発されるまでの間、施錠のできる倉庫に保管することとしている。

(5)について

 実態調査の公表以降、滋賀県内において、ディルドリンを有効成分とする農薬が地下一メートル程度の深さの地点に埋設されている場所が一か所、ディルドリン及びDDTを有効成分とする農薬が地下一メートル程度の深さの地点に埋設されている場所が一か所あることが新たに判明しているが、農薬の埋設量は不明である。

(7)について

 都道府県からの聞き取りによれば、平成十年度から平成十四年度までの間において農家等の使用者から回収された農薬の回収団体別の回収量及びそのうち有機塩素系農薬の回収量は、別表第三のとおりであり、当該農薬については、施錠のできる倉庫への保管等がなされている。

(8)について

 平成十四年において農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号。以下「法」という。)第二条第一項の登録を受けずに販売されていたPCNBを有効成分とする農薬から検体として抽出した三つの農薬について、財団法人残留農薬研究所に委託し、ガスクロマトグラフィー質量分析計によりダイオキシン類の含有量を分析した結果得られた異性体別の実測値は、別表第四のとおりである。
 製造業者からの聞き取りによれば、法第二条第一項の登録を受けていたPCNBを有効成分とする農薬であって、平成十四年四月から平成十五年六月までの間において農林水産省の指導により製造業者が回収したものの都道府県別の回収量は、別表第五のとおりであり、当該農薬については、各製造業者が施錠のできる倉庫に保管している。また、都道府県からの聞き取りによれば、平成十四年において同項の登録を受けずに販売されていたPCNBを有効成分とする農薬の都道府県別の保管量は、別表第六のとおりであり、当該農薬については、販売業者等が施錠のできる倉庫等に保管している。

(9)について

 2,4,5―Tを有効成分とする農薬の埋設場所については、林野庁に設置された「2,4,5―T剤検討委員会」(以下「検討委員会」という。)の検討結果を基に、最近十年間では、平成六年度及び平成十一年度において周辺の土壌調査が実施されている。
 これらの調査は、それ以前の調査の結果を踏まえ、四国森林管理局四万十森林管理署管内の埋設場所について、再度調査を実施したものであり、その結果、検討委員会において、当該農薬に含まれるダイオキシン類はほぼ埋設された位置に固定されており、地域住民の生活に影響を及ぼさないことが改めて確認されるとともに、埋設場所の立入り及び土壌かく乱行為の禁止措置等を引き続き実施していくべきことが取りまとめられたところである。
 この取りまとめに即して、今後とも埋設場所の適切な管理を徹底するとともに、埋設された当該農薬について、安全に分解する技術が開発された場合には、学識経験者の意見を聴いた上で、適切に対処してまいりたい。

(10)について

 農林水産省においては、法第二条第一項の登録を受けている農薬のうちダイオキシン類を含有するおそれのある百二十七種類の農薬について、ダイオキシン類が含有されていないことを確認しており、また、今後もダイオキシン類を含有する農薬の登録が行われることは想定されないことから、農薬中のダイオキシン類の含有量について、公定規格の設定を行う必要はないものと考えている。

(11)について

 農地におけるアルドリン、ディルドリン及びエンドリン(以下「ドリン類」という。)による汚染原因については、過去の農薬等の使用に関する記録が残っていないこと等から、明確にすることが困難な状況にあるが、農林水産省においては、ドリン類の土壌からの除去及び農作物への残留をなくすための施策として、微生物を利用したドリン類の分解技術、ドリン類の吸収の少ない栽培技術等の開発を進めるとともに、ドリン類が検出された土壌ではドリン類を吸収しやすいきゅうり等の農作物の栽培を行わないよう指導の徹底に努めているところである。


別表第一


別表第二


別表第三 1/3


別表第三 2/3


別表第三 3/3


別表第四


別表第五


別表第六


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