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平成十八年二月十日提出
質問第六一号

米軍横田空域の返還に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




米軍横田空域の返還に関する質問主意書


 二〇〇五年十月二十九日、日米安保協議委員会で「日米同盟:未来のための変革と再編」(以下「中間報告」という。)と題する報告について合意がなされた。日米両政府は、本年三月までには、いわゆる「最終報告」をまとめる方針である。
 この報告は、米軍再編に伴い沖縄をはじめとする在日米軍基地の役割と機能の強化を図るとともに、アジア・太平洋地域をはじめ世界で生起する「脅威」や「事態」に対して、米軍と自衛隊が「連接性」、「調整」、「相互運用性」、すなわち一体性を確保して、対処・対応するという重大な内容をなすものである。
 こうした状況の下で、沖縄をはじめとする在日米軍基地の縮小・返還は、進展することなく、むしろ横須賀基地への原子力空母の配備、名護市沿岸部への新基地建設など基地の機能が強化されようとしている。
 東京都という大都市の近隣に位置する世界に例のない米軍横田基地もその一つである。
 ここでは、米軍の管理になっている横田空域の進入管制権・空域(以下「横田空域」という。)の返還問題について取り上げ、政府が民間航空の安全確保を図るために、米側に対して早期返還を要求すべきであるとの観点から、以下の事項について質問する。

一 「中間報告」は、「横田飛行場及び空域」について、「二〇〇九年に予定される羽田空港拡張を念頭に置きつつ、横田空域における民間航空機の航行を円滑化するための措置が探求される。検討される選択肢には米軍が管制を行っている空域の削減や、横田飛行場への日本の管制官の併置が含まれる」との「勧告」をしている。
 「空域の削減」及び「横田飛行場への日本の管制官の併置」とは具体的にどのようなことか。
二 二〇〇三年十二月以降、横田基地における民間航空の利用問題について、内閣官房、外務省、国土交通省、防衛庁、防衛施設庁、東京都の六者は、協議を重ねてきたというが、会議の目的、協議内容を伺いたい。
 また、日米両政府間の協議では、横田基地の「軍民共用」はどのような結論に達したのか。
三 横田基地と密接に関連し、かねてから懸案事項となっている「横田空域」の返還については、二〇〇一年三月、扇元国土交通大臣は「今後、米側にも返還を要請するということも考えていきたいと思っております」と答弁していたが、一向にその目途がたっていない。「横田空域」の返還は、現在、どのようになっているのか。
四 二〇〇九年には、羽田空港の拡張が予定されており、現在でも、航空業務関係者から「広大な西の壁」と恐れられており、米軍が管理する進入管制空域、すなわち「横田空域」は、横田基地を基点とする東京、神奈川、静岡、山梨、長野、新潟などの各県をまたぐ高度七、〇〇〇メートルに達する進入管制空域である。
 「横田空域」を航行する民間機は北陸、中国、九州、関西方面行きの羽田空港から出発する航空機の四割を占めているとのことである。民間航空の安全の確保を図る上で、「横田空域」の早期返還は不可欠であると考えるが、政府の認識を伺いたい。
五 一九八三年十二月以降、日米合同委員会の下にある民間航空分科委員会において、「横田空域」の返還問題について日米間で協議しているが、日米双方の出席者、日米の主張の概要、何回協議したのか改めて詳細に明らかにされたい。
六 政府は、日米の首脳会談や大臣級の会談等で、米国政府に対して「横田空域」の返還を要求したことがあるのか、あればその概要を明らかにされたい。
七 そもそも「横田空域」については、一九五二年六月の日米合同委員会の「航空交通管制に関する合意」(以下「五二年合意」という。)がある。この合意は「日本国は、日本領域において完全かつ排他的な主権をもちかつ行使する」としたうえで、「一時的な措置」として、「我が国が自主的な実施が可能となるまでの間、日米間の意見の一致を見たとき、日本側が航空管制に関する全責任を負う」という内容である。
 それは、あくまで「一時的な措置」であり、当時の運輸省航空局は「我が国が航空管制を実施するためには、施設、要員とも皆無に等しい状況にあったので、一時的措置」をとったとしている。
 今日、すでに日本の進入管制業務は、世界にも遜色のないもので十分に実施し得る能力、技術を備えており、「横田空域」の返還の条件は整っているのではないのか。
八 政府は、一九五九年六月の日米合同委員会の「航空交通管制に関する合意」(以下「五九年合意」という。)を日米間で締結している。しかるに、その合意は「米軍に提供している飛行場周辺の飛行場管制業務、進入管制業務を除き、すべて日本側において運営する」という内容に改定したのである。
 さらに、政府は、一九七五年六月の日米合同委員会の「航空交通管制に関する合意」(以下「七五年合意」という。)を日米間で結んでいる。その合意は「日本政府は、米国政府が地位協定に基づきその使用を認められている飛行場およびその周辺において引続き管制業務を行うことを認める」という重大な改定である。
 五九年合意はもとより、七五年合意は、「横田空域」の返還を事実上閉ざすものではないのか。
 政府は、何故、五二年合意を失効させる五九年合意、さらには七五年合意を結んだのか、その理由と合意に至る経緯を詳細に明らかにされたい。
九 五九年合意はいうまでもなく、七五年合意は「米国政府は管制業務が必要でなくなった場合」に日本政府に返還するというもので、「横田空域」を返還する、しないは米国政府の裁量権に完全に委ねたということではないのか。
十 七五年合意を変えない限り、いくら日米合同委員会の下にある民間航空分科委員会で日米間の協議を続けても、「横田空域」の返還の道は開かれないということではないのか。
 米側は「運用上の必要性」を主張し、返還には応じないとの立場をとっていると聞いているが、米側の言う「運用上の必要性」とは何か、また、「運用上の必要性」が無くなるとはどのような場合をいうのか、詳細に説明されたい。
十一 「横田空域」の返還は、もはや日米合同委員会や民間航空分科委員会での協議では解決できないことを示しているのではないのか。日米首脳会談をはじめとする、日米両国政府のハイレベルな外交交渉により解決すべき課題であると考えるが、政府の意思と見解を伺いたい。

 右質問する。



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