質問本文情報
平成十八年三月十六日提出質問第一五四号
小児救急医療体制の整備・充実に関する質問主意書
小児救急医療体制の整備・充実に関する質問主意書
子どもの容態が急変し近くの病院へ駆け込んだのに、小児科医が不在のために困った、子どもが重病で救急車を呼んだが、小児科医不在のため、いくつもの病院をたらいまわしにされたという経験をした親は少なくない。
このような小児の救急患者は、平日の夜間や休日に集中しており、全国の休日・夜間急患センターにおける十五歳以下の救急患者の割合は五〇パーセントに達している状況の中で、医師全体の六パーセントに満たない小児科医が、小児救急医療を担うことは困難な状況にあるという。
小児救急医療を担う病院の小児科医は、寝る間もない、月八回の当直、午後五時から翌日の朝まで一睡もせずに診療し、そのまま夕方まで病棟で勤務し、前日の朝から三十二時間連続勤務というのが常態化している。激務のために、病気等で辞めざるを得ない小児科医も急増している。
また、全国の病院においては、この一〇年に七〇〇以上の小児科が減り、小児科医が不足している地域においては、深刻な事態に陥っている。
大分県の西別府病院では、これまで休日の一次救急医療を担ってきたが、小児科医の不足のために、今年四月から診療の中止を予定している。別府市民をはじめ医療関係者は、継続を強く望んでいる。
日本医師会及び日本小児科医会は、小児救急医療体制のあり方について「提言」を発表している。
政府は、小児救急医療体制の整備を重要施策の一つとして位置づけ、各種施策・事業を推進しているというが、改善が見られない。
子育て中の親にとって最大の心配事は、子どもの急病やけがであり、乳幼児を持つ親の小児救急医療への不安の高まりが指摘されている。
小子化がすすむ中で、乳児の生命を守り育て、親の育児における安心の確保を図るためには、小児救急医療体制の整備・充実は重要かつ喫緊の課題と考える。
従って、以下の事項について質問する。
1 社会問題になっている小児救急医療の危機的状況が増加しているが、政府において、このような認識があるか。
2 小児救急医療が危機的状況に陥っている根本的原因は何か。夜間・休日に小児の患者が集中する状況と夜間・休日に診療が可能な小児科医の減少があるというが、政府の認識を問う。
3 小児救急医療を担う小児科医が過酷な労働環境に陥っていることについての政府の認識、また、このような過酷な労働環境が生じる原因、診療報酬の不採算性、地域格差、なり手の減少傾向などについて政府の認識を問う。
4 小児科医等の不足が指摘されているが、都道府県別の小児科医及び産科医の数並びに、都道府県別の人口一〇万人単位の小児科医及び産科医の数を明らかにされたい。
5 全国の病院においては、一〇年間に七〇〇以上の小児科が廃止され、また、小児科を標榜する診療所が減少していると聞いているが、都道府県別にその実態を明らかにされたい。
二 小児救急医療体制の整備・充実について
1 小児救急医療体制の整備・充実については、政府は、「初期(主として外来医療「かかりつけ医」)、二次(入院が必要な重症患者に対応)、三次(救命救急センター)の体系に沿って、地域の実情に応じた機能分化と連携を配慮した体制の整備を図る」(平成一七年度版 少子化社会白書)としている。
小児救急医療体制の整備・充実に向けた政府の基本的な取組方針についての趣旨、考え方を説明されたい。
2 政府の基本的な方針に基づいて実施された(今年度の実施予定を含む)事業内容及び進捗状況並びにその評価に対する見解を伺いたい。
また、初期、二次、三次小児救急医療体制の整備状況及び取組状況について、都道府県別に明らかにされたい。
3 小児科医の過酷な労働環境の改善に向けた諸課題の解決策、すなわち診療報酬の不採算性(診療報酬制度・実態にそぐわない算定基準)、地域間格差(特定地域の集中)、小児科医の高齢化(診療小児科医の高齢化)、過重労働(一部医療機関への患者の殺到)、小児科医希望者の減少について政府の見解を問う。
三 政府の「小児科医等の確保が困難な地域における当面の対応策」について
1 政府の当面の対応策の考え方、具体的な内容、期待される効果などについて説明されたい。
2 政府の当面の対応策に沿った地域の医療計画に基づく施策の実効性の確保、財政的な裏付けについて説明されたい。
3 当面の対応策でない小児救急医療体制の整備・充実に向けた根本的な対応策(中長期的な取組方策)について政府の見解を問う。
4 特にへき地、離島等における小児科医、産科医の確保策の考え方について政府の見解を問う。
右質問する。