質問本文情報
平成十八年三月二十七日提出質問第一八二号
電気用品安全法に関する質問主意書
電気用品安全法に関する質問主意書
二〇〇一年の電気用品安全法施行の際に設けられた、五年間の販売猶予期間の経過措置が本年三月三十一日で終了する。これにより、本法において定める「PSEマーク」表示のない一部の電気用品(二〇〇一年三月三十一日以前に製造されたテレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子楽器、音響機器等)の販売が不可能となる。
リサイクル業者、楽器、オーディオ店等の販売業者や、消費者、音楽愛好家に著しい混乱を招いている。
リサイクル業者や中古電気用品の販売業者(以下「事業者」という。)は、倒産、廃業の危機にさらされている。
また、音楽家、音楽関係者は、「古い機材は固有の価値のある音を持っている。技術が進歩しても作り出すことはできない。文化の破壊」であると抗議している。
これほどまでに大きな社会問題になったのは、市民生活に深くかかわる法律であるにもかかわらず、五年の販売猶予期間が切れ「PSEマーク」表示のない電気用品二五〇品目を関係団体に示したのが二月になってからであることが原因である。
明らかに、政府が改正された制度についての周知徹底を怠ってきたことに問題がある。
こうした状況の下で、経済産業省は、本年三月十四日「電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策について」(以下「政府の対策」という。)を発表した。
福岡県商工団体連合会と福岡県の中古販売業者や楽器店主は、三月二十三日、福岡市の九州経済産業局に対して「販売猶予期間の延長」を要請している。また沖縄県の中古販売業者等も強く要求している。
事業者からは、この政府の対策では不十分であり、有効な解決策にならないとの声が強く上がっている。
従って、以下の事項について質問する。
二 事業者は、電気用品安全法第八条に規定する自主検査、すなわち外観検査、通電検査、絶縁耐力試験を行うことを義務づけられている。政府の対策は、自主検査のうち絶縁耐力検査に限定しているのか、そうだとすれば理由を説明されたい。
三 全国五〇〇カ所で検査を受けられる十分な体制の整備を六月までに目指すとしているが、目標としている全国五〇〇カ所の検査所の名称、関係機関別の数、検査等サービスの内容について、都道府県毎に明らかにされたい。また、本法の販売規制の対象となる事業者は全国で三〇万と推定されているが、全国五〇〇カ所の検査体制で実効性を確保できるのか説明されたい。
四 福岡県の中古販売業者は、検査機器の無料貸出等といっても、全国五〇〇カ所では、検査機関に持ち込むだけでもコストや時間がかかるので効果はないと指摘しているが、政府の見解を問う。
五 福岡県商工団体連合会と福岡県の中古販売業者と楽器店主の要請に対する九州経済産業局の説明では、実施まであと一週間しかないにもかかわらず、三月二十三日現在で検査機器の無料貸出しの体制をとったのは、全国で四国経済産業局だけであるとのことである。しかも、福岡県における検査機関の数及び検査機器の台数についても、同産業局は「調整中」としか答えられないというのが実情である。全国の検査機器の無料貸出等の体制の進捗状況を明らかにされたい。
六 検査体制の整備が今のままで推移すれば、四月一日の実施日になっても検査のできない事業者が多数出てくることは確実であるが、検査できない事業者に対する対策をどのように考えているのか説明されたい。
七 自主検査の支援体制の一環として、独立行政法人製品評価技術基盤機構等による検査機器の無料貸出等を、中小事業者に対して行うとしているが、何を基準として「中小事業者」というのか。また、「貸出等」とあるが、貸出以外にどのような事を考えているのか。
八 電気保安協会等の協力の下に全国に展開する拠点を活用して、六ケ月間、中小事業者の要請に応じて、無料で出張検査サービスを行うとしているが、六ケ月に期間を限定した理由は何か。限られた期間で、当該事業者の検査に係るコストの軽減、解消になると考えているのか説明されたい。
九 各都道府県、市町村等に設置される公設試験所における受託検査の実施、検査機器の貸出等及び民間団体等の検査の実施は有料なのか。また、この対象はすべての「事業者」なのか。
十 特別承認制度により、いわゆるビンテージものと呼ばれる電子楽器等すなわち電気楽器、電子楽器、音響機器、写真焼付器、写真引伸機、写真引伸用ランプハウス、映写機については、要件を満たす場合には簡単な手続きで売買できることとした。
要件の一つに、「既に生産が終了しており、他の電気用品により代替することができないものであって、かつ、希少価値が高いと認められるものである」としている。
「代替することができないものであって」、「かつ、希少価値が高い」というが、個別具体的に判断するというのではなく、その基準を明確に説明されたい。また、一部報道によると、対象範囲を「一九八九年以前に生産中止になった製品とする」とあるが、この根拠と理由を示されたい。
十一 政府の対策は、事業者から公平性を欠くものであるとして、「中古電気用品すべてを対象から除外してほしい」、「販売猶予期間の延長ができないか」との要求が強い。これについての政府の見解を問う。
十二 政府は、安全性の確保に努めつつ、こうした事業者の要請に応えるような方策を今後検討すべきと考えるがどうか。
十三 政府の対策の消費者に対する影響及び効果について説明されたい。
右質問する。