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平成十八年四月六日提出質問第二〇七号
米軍人・軍属の犯罪に対する公務証明書に関する質問主意書
提出者 照屋寛徳
米軍人・軍属の犯罪に対する公務証明書に関する質問主意書
米軍人・軍属の犯罪と日米地位協定上の第一次裁判権の問題について、衝撃的かつ重要な報告書が発表された。沖縄県の包括外部監査人が沖縄県に提出した二〇〇五年度の包括外部監査報告書である。報告書は、沖縄の過密な米軍基地の存在と多発する米軍人・軍属の犯罪について詳細に記述をしている。その上で、日米地位協定上の第一次裁判権の問題について、深い洞察と問題提起を行っている。監査報告書での重要な指摘は、米軍人・軍属のスピード違反、飲酒運転等の道路交通法違反の場合、公務中か公務外かを県警が十分捜査しておらず、交通事故現場等における初動捜査段階で十分な捜査を尽くすよう改善策を指摘していることである。監査報告書は、米軍人・軍属に関わる犯罪の場合、「米軍が発行する公務証明書を金科玉条の如く無条件に鵜呑みにする必要はない」「米軍当局が発行する公務証明書には推定効が付与されているが、反証ができることになっている」と指摘するのである。さらに監査報告書は、現在のような捜査の在り方では「米軍人・軍属が軍の休日に基地外に遊興に出掛けた場合まで公務執行中として刑事罰が免責される可能性を防止できず、甚だ不正義・不平等であり、日本国民の保護を放棄するものである」と厳しく批判している。私は、この監査報告書の指摘や批判は正しいし、もっともだと思う。
よって、以下の通り質問する。
二 沖縄県において、平成十四年、平成十五年、平成十六年の各年度に発生した米軍人・軍属の道路交通法違反検挙事件について、米軍当局から那覇地方検事正宛に発行された公務証明書は何件か、明らかにした上で、政府の見解を示されたい。
三 米軍人・軍属の犯罪について、捜査段階において公務執行中か否かの事情聴取及び公務証明書が発行された場合の反証は行っているか、行っている場合どのような方法でなされているか、明らかにした上で、政府の見解を示されたい。
四 米軍人・軍属の犯罪について、公務証明書が発行された場合、無条件に公務証明書の通り公務中と認定しているのか、公務証明書が発行されたのに公務外と認定した事案があるのか、具体的に特定した上で、政府の見解を示されたい。
五 前記監査報告書は、「仮に真実公務執行中であると認定された場合であっても、殺人等の凶悪事件に限らず、例えばスピード違反でも五〇キロメートル以上超過等の重大違反については、合衆国に対して裁判権の放棄を要請すべきである」と指摘をする。重大かつ凶悪事件に限らず、悪質事犯について裁判権の放棄をアメリカ合衆国に求めるべきだと思うが、政府の見解を示されたい。
右質問する。