質問本文情報
平成十九年九月二十一日提出質問第四五号
二〇〇五年四月介護予防大臣視察に関する質問主意書
二〇〇五年四月介護予防大臣視察に関する質問主意書
介護保険法改正審議の際、介護予防の導入によって、これまでホームヘルプなどのサービスを受けていた方が、これまで通り受けられるかどうかが最大の論点になった。そうした中、当時の尾辻厚生労働大臣は二人の高齢者宅を訪問し、この二人のモデルケースについて「介護保険法改正後もサービスは変わらない」旨を国会で答弁した。この答弁が大きな説得材料となり、介護保険改正法案は賛成多数のもと成立した。
しかし、法案成立後の二〇〇七年四月二十七日の衆議院厚生労働委員会で質問したところ、「変化はしません」と大臣が言った二人の高齢者のサービスは、二人ともホームヘルプの提供時間を削減され、その内一人は介護用ベッドを貸し剥がされていることが明らかになり、「変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはず」という大臣答弁と違うではないかと問題になっている。そして尾辻大臣も同行職員に騙された、あるいは誤った説明を聞き、誤った認識を介護保険法改正について持ったという疑念がある。
平成十九年八月八日に提出した質問主意書の答弁書(内閣衆質一六七第一五号)では品川区の職員が「変化はしません」と回答したので尾辻大臣はそのように答弁したということになっているが、厚生労働省老健局の幹部が同席する中で、法案に係る内容を、品川区の一職員が独断で大臣に言うだろうか。また、厚生労働省の同行職員は「サービスが削減されかねないこと」を知りながらあえて視察中や委員会での答弁前後にでも大臣に伝えていなかったとすれば、それは大臣や国会議員をはじめ、国民を騙したことになり、これは看過できない重大な問題である。
尾辻厚生労働大臣は介護サービスを利用する二人の高齢者のケースを見て、「私も帰りに、現場にいろいろな人が行っておりましたから聞いたのですが、きょう受けておられるサービス、これが今後変化するのかと聞きましたら、一言で言うと、いや変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはずであります、こういうふうに現場で私も聞いて、答えを聞いた」(平成十七年四月六日の衆議院厚生労働委員会)と答弁したが、同行した誰に答えを聞いたのか。また法案担当部局である厚生労働省老健局の職員は同行していたのか主意書の中で質問したところ、「お尋ねの尾辻大臣が答えを聞いた同行者は、品川区の職員であったと承知している。また、厚生労働省老健局の担当者は、同行していた」と答弁(内閣衆質一六七第一五号)があった。そこで質問する。
二 同行していた品川区の職員は何人で、それぞれの役職は何か。
三 同行していた老健局の職員は品川区の職員が大臣に「いや変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはずであります」と回答していることを傍で聞いていたのか、否か。
四 法改正を行うのは国であり、品川区の職員が独断で回答をするとは考えにくい。ついては、あらかじめ老健局の職員から「サービスは変化しない」という話を聞いたからではないかと考えられる。
@ 品川区の職員は独断で大臣に対して「いや変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはずであります」と回答したのか、それとも老健局の職員から聞いて回答したのか。
A もし独断で回答したならば、品川区の職員が「いや変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはずであります」と回答した根拠は何か。
B 同行した老健局の職員は二人のケースについて変化すると認識していたのか、それとも変化しないと認識していたのか。
C Bについて老健局の職員は大臣から質問されなかったのか、あるいは大臣に言わなかったのか。
五 老健局の幹部も同行しながら、品川区の職員が独断で大臣に回答したとは考えにくい。そのやりとりの際に、老健局職員は立ち会っていなかったのか。もし立ち会っていたなら、それに対して異論をはさむことをしなかったのか、あるいは黙認したのか。
六 この大臣答弁は事前に質問通告されていたが、
@ 厚生労働省の担当者はこの「いや変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはずであります」という答弁を大臣がすることを事前に認識していたのか、答弁原稿に書かれていたのか、いなかったのか。それとも尾辻大臣が答弁原稿にないことをアドリブで答弁したのか。
A もし事前に答弁原稿に書かれていたならば、厚生労働省老健局の担当者はその認識は正しいと考えたのか、おかしいと思わなかったのか。
B また大臣がそのように答弁した後、大臣に対してその品川区の職員の認識は必ずしも正しくないと忠告したのか、しなかったのか。
七 「変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはず」と同行した職員が述べたにもかかわらず、その後二人の高齢者のサービスはなぜ削減されることになったのか。
八 国会において答弁したモデルケースが、法案審議の後、サービスを削減されることになった。これは厚生労働委員会の国会議員をはじめ、国民が騙されたようなものであるが、大臣の答弁を信じた国民に対して国はどう説明するのか。
九 尾辻大臣は「いや変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはずであります」という回答を聞いて、サービスは変化すると認識したのか、変化しないと認識したのか。
十 九において、もし「サービスが変化するかもしれない」と尾辻大臣が聞いていれば、大臣の介護保険改正法案への認識も異なり、介護保険改正法案には納得しなかったのではないか。
右質問する。