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平成十九年十一月十四日提出質問第二一七号
我が国音楽産業のアジア市場進出状況と商業用レコードの還流防止措置施行状況に関する質問主意書
提出者 川内博史
我が国音楽産業のアジア市場進出状況と商業用レコードの還流防止措置施行状況に関する質問主意書
平成十六年の通常国会において成立した著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)の一部を改正する法律(平成十六年法律第九十二号。以下「法律」という。)において商業用レコードの還流防止措置(以下「還流防止措置」という。)を導入するに当たり、文化庁は社団法人日本レコード協会(以下「レコード協会」という。)を始めとする関係諸団体によるアジア市場への積極進出を行う為に必要との主張に基づき法案を提出したものであるが、平成十七年一月一日の施行から間もなく三年を迎えるに当たり、我が国音楽産業のアジア市場進出状況について政府に対し質問する。
二 また、還流防止措置の導入について文化審議会著作権分科会法制問題小委員会において議論された際にレコード協会より提出された資料「アジアにおける日本音楽ソフトの需要予測(要約版)」においては、本年度の需要見込みについて台湾が三百九十五万枚、韓国が百四十六万七千枚、香港が七十二万一千枚と予測されているが、これらの数値は本年、達成の見通しが立っているのか。本年一月から十月までの速報値等が存在するならば、その実数値の提示を含め達成見通しの可否について答弁を求める。
三 我が国音楽産業はこれまで、還流防止措置以外にどのような方法によりアジア市場における邦楽の需要拡大を図ってきたのか。また、前年比で大幅に割り込む厳しい状況下において今後どのように需要の拡大を図るつもりであり、政府はどのように音楽産業を指導する方針であるのか。詳細な答弁を求める。
四 還流防止措置は来年十二月三十一日付で最初の適用期限を迎えるが、それ以降も一及び二で指摘した状況に特段の変化が無く、法律制定時の需要予測を大きく下回り、急激な需要拡大の見通しが立たない場合は我が国音楽産業が法律制定時に還流防止措置が必要な理由として挙げたアジア市場への積極進出が果たされていないものとして、また、法律制定時に国際条約上の内外無差別原則により邦楽・洋楽を問わずあらゆる音楽の輸入を禁止し得るおそれが条文上、払拭し得ない点から大規模な反対運動が起きた経緯等に鑑み、著作権法第百十三条五項は廃止を含めた見直しを行うべきではないか。
五 還流防止措置の施行状況について質問する。
1 平成十七年一月一日の法律施行から本年十月三十一日までに日本国外の権利者が著作権法第百十三条五項に基づく輸入禁止の申立を行った事例は存在するのか。
2 洋楽のベストアルバムやリミックス盤において、日本国内のレコード会社ないし日本国外のレコード会社の日本法人が独自に編集し、原盤権を保有していることを理由に「邦楽」とみなし、還流防止措置を申請した件数及び税関における受理件数は前項と同じ期間内に何件、存在するのか。また、かかる申請に対して法律上は可能であっても制定時に再三「洋楽には適用しない」としてきた音楽産業側の主張に反するのではないかとの指摘に対し、文化庁はどのように考えているのか。
右質問する。