答弁本文情報
平成十九年十一月二十二日受領答弁第二一七号
内閣衆質一六八第二一七号
平成十九年十一月二十二日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員川内博史君提出我が国音楽産業のアジア市場進出状況と商業用レコードの還流防止措置施行状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員川内博史君提出我が国音楽産業のアジア市場進出状況と商業用レコードの還流防止措置施行状況に関する質問に対する答弁書
一について
文化庁としては、御指摘の数値は、社団法人日本レコード協会が発表した同協会会員のレコード会社がアジアの事業者にライセンスを付与したレコードの出荷数量(以下「邦楽レコード出荷数量」という。)であると承知しており、同協会においては、アジアの各国・各地域におけるレコード全体の出荷数量が香港においては前年比十九パーセント、台湾においては同三十六パーセント、韓国においては同二十二パーセントそれぞれ減少している中で、いずれの国・地域においても当該減少幅に比して邦楽レコード出荷数量が小さな減少に止まっているか、又は増加していると評価しているものと承知している。
文化庁としては、御指摘の資料は、今後、日本のレコード会社が韓国及び中国等の事業者に積極的にライセンスを付与した場合には、これらの国で安価に販売されたレコードが我が国に大量に輸入されることが予想され、日本のレコード産業に大きな影響を与えるものと考えられる旨を説明するために提出されたものであり、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第百十三条第五項の規定が新設された場合の達成見通しを示したものではないものと承知しており、当該資料で示された予測数値の達成見通しについての調査及び分析は行っていない。また、本年一月から十月までの間の邦楽レコード出荷数量の速報値等については把握していない。
財団法人音楽産業・文化振興財団は、アジア各国の音楽業界関係者との交流及び音楽産業の振興を目的として、「東京アジア・ミュージックマーケット」を開催している。
また、中国における邦楽レコードの販売に係る手続の簡素化を図るため、社団法人日本レコード協会が、中国における邦楽の音源に係る権利を認証する権利認証機関の認可を中国国家版権局より取得し、本年四月一日から北京にて業務を開始したところである。
今後も政府としては、国内の音楽業界関係者と連携し、これらの取組を通じ、アジアにおける邦楽の需要拡大に努めてまいりたい。
文化庁としては、今後とも、著作権法第百十三条第五項の規定の運用状況及び海外での邦楽レコードの販売状況等を踏まえ、同項について、必要に応じ適切な措置を講じてまいりたい。
平成十七年一月一日から本年十月三十一日までの間において、国外の著作権者又は著作隣接権者から著作権法第百十三条第五項に規定する著作権又は著作隣接権の侵害を理由として関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六十九条の十三第一項に基づく申立て(以下「申立て」という。)がなされたことはない。
御指摘の「洋楽のベストアルバムやリミックス盤」の定義が必ずしも明らかではないため、お尋ねの申立ての件数について正確にお答えすることは困難である。
また、著作権法の一部を改正する法律(平成十六年法律第九十二号)の制定に際しての国会審議における社団法人日本レコード協会の説明は、主として欧米における主要レコード会社が欧米において製造及び販売したレコードについて申立てをする考えがない旨を説明したものであり、御指摘の「日本国内のレコード会社ないし日本国外のレコード会社の日本法人が独自に編集し、原盤権を保有している」レコードについて、何らかの主張をしたものではないと承知している。