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平成十九年十一月二十二日提出
質問第二六一号

住基ネットの本人確認情報に関する質問主意書

提出者  保坂展人




住基ネットの本人確認情報に関する質問主意書


 年金記録問題の検証や社会保険庁改革が進められているが、そこで取り扱われる個人情報については、住民の自己情報コントロール権が保障され、充分な説明責任が果たされなくてはならないと考える立場から、以下のとおり質問する。

一 年金記録問題検証委員会事務局(総務省行政評価局、以下、本項において「総務省」という)が実施した「五、〇〇〇万件の基礎年金番号への未統合記録」「一、四三〇万件のコンピュータ未収録厚生年金記録」および「三六万件のコンピュータ未収録船員保険記録」の年金記録検証事務(サンプル調査)について
 (1) 住基ネットの本人確認情報を利用できる事務は「住民基本台帳法」別表記載の事務に限定されているが、総務省が年金記録検証のために、これら年金記録と住基ネット本人確認情報とを照合した法的根拠は何か。総務省を本人確認情報の提供先とする年金記録検証事務は、「住民基本台帳法」別表および「住民基本台帳法別表第一から別表第五までの総務省令で定める事務を定める省令(以下「総務省令」という)」のどこに規定されているのか。
 (2) 社会保険庁が住基ネット本人確認情報を利用できる年金事務は、「住民基本台帳法」別表第一において、いずれも裁定請求など何らかの届出に関する事務に限定されており、また、同法第三十条の七第三項は「住民の居住関係の確認のための求めがあつたときに限り」本人確認情報を提供するものとすると定めている。これら年金記録と住基ネット本人確認情報との照合を総務省の依頼を受けた社会保険庁が実施し、総務省に情報提供したと解しても、法律の拡大解釈だと考えるがいかがか。届出によらない、住民の居住関係の確認でもない社会保険庁の年金検証事務に住基ネット本人確認情報を利用した法的根拠は何か。「住民基本台帳法」別表および「総務省令」のどこに規定されているのか。
 (3) これら年金記録と住基ネット本人確認情報とを照合した件数、実際に突合できて生存状況を把握できた件数およびその本人確認情報提供手数料を、三つの記録ごとにそれぞれ明らかにされたい。
二 住基ネット本人確認情報のかな氏名について
 (1) 住基ネット本人確認情報のかな氏名については、「今般、総務省自治行政局市町村課から当課に対し、・・・・フリガナは、住民基本台帳の電算化に際し行政側で取り扱う『システム上の検索項目』として付したものであるとの理由から、同一世帯であっても姓のフリガナが一致しない(例:東(ひがし)と東(あずま))場合等があるとの指摘がありました。」(二〇〇三年四月三日付け、外務省大臣官房領事移住部旅券課企画官の都道府県旅券事務主管課長あて事務連絡文書「住基ネット上のフリガナと申請書に記載されたフリガナとが一致しない場合の扱い【修正要請の緩和】」)と説明されている。そもそも法令上は住民票の記載事項(住民基本台帳法第七条)でも、住基ネットの本人確認情報(住民基本台帳法第三十条の五第一項)でもないかな氏名を、システム上、収集・記録し、これを利用・提供している住基ネットは、住民基本台帳法および行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「行政機関個人情報保護法」という)に違反する違法なシステムではないのか。かな氏名情報を収集・記録し、これを利用・提供する法的根拠は何か。
 (2) 住基ネット本人確認情報のかな氏名について、総務省自治行政局市町村課は「一部の市町村においては、濁音を一律に清音処理している、小さな『っ、ゃ、ゅ、ょ』(促音、拗音)などを『つ、や、ゆ、よ』(直音)などとして扱っている、『を、ぢ』を一律に『お、じ』としている、『ず』と『づ』の区別がないなどのシステムが構築、運用されており、フリガナを修正するためには既存の住民基本台帳システムの改修を要する場合があ」ると指摘している(同前、事務連絡文書)。仮にかな氏名の利用に法的根拠があったとしても、各市町村がそれぞれの方式で便宜的に付しているかな氏名を、全国規模で利用する本人確認情報の検索キーとしてそのまま利用・提供することは、混乱を招き、妥当とは思えない。システムの設計ミスではないのか。見解を明らかにされたい。
 (3) 住基ネットのかな氏名を利用する旅券事務については「当該市町村において、既存の住民基本台帳システムの制約やフリガナが『システム上の検索項目』であるとの理由からフリガナの修正が期待できない場合には、住基ネットを通じて市町村長から都道府県知事に提供されているフリガナに齟齬があることを伝えるにとどめ、修正がなされなくとも、旅券を交付するものとする。この場合には、フリガナの修正について市町村に申し出るか否かについては、最終的に申請者に委ねる。」(同前、事務連絡文書)という処理基準が示される一方、都道府県によっては、「旅券申請書と住基ネットのふりがなが異なっていてもその他の事項により本人の住所が確認できるときは、申請者に住基ネットのふりがなが誤っていると伝えたりふりがなを訂正するよう求めたりはせず、申請を受理しています。」(二〇〇三年八月十九日付け一五生都協旅第三八四号、東京都生活文化局都民協働部旅券課長の区市町村住民基本台帳担当課長あて通知文書「住基ネットに係る旅券事務について」)という実態も見受けられる。誤った個人情報を利用・提供していることを知りながら、その修正を求めなかったり、その事実を本人に伝えなかったりして放置することは、行政機関個人情報保護法が保障する自己情報コントロール権(誤った自己情報の削除・訂正権等)を侵害するものと考える。見解を示されたい。
 (4) 総務省が実施した年金記録検証事務(サンプル調査)において、住基ネット本人確認情報と突合した氏名は、漢字氏名か、かな氏名か。
 (5) 氏名、とりわけかな氏名と生年月日の二情報(性別が分かる場合には三情報)で全国検索した場合、住所を突合項目としない以上、多数の同姓同名者が検索されたと思われるが、どのようにして同一人と特定したのか。また今後、住基ネット本人確認情報を利用して旧台帳年金記録の突合作業を進める場合、二情報ないし三情報しか分からない同姓同名者が複数人検索されたとき、どのようにして同一人と特定するのか、判断基準を示されたい。
 (6) 今後、住基ネット本人確認情報を利用して旧台帳の突合作業を進める場合、氏名と生年月日の二情報ないし性別を含めた三情報に加え得る突合項目があれば明らかにされたい。その場合、何パーセントの記録が突合でき、何パーセントの突合ミスが発生すると見積もっているのか。
三 年金制度改革に伴う住基ネット本人確認情報の利用について
 (1) 年金現況届の廃止に向け、年金受給権者の住民票コードを特定するため、社会保険庁が実施している年金受給権者の年金記録と住基ネット本人確認情報との突合について、現在までの毎月の突合件数を明らかにされたい。
 (2) この突合について、「準備行為」を理由として、情報提供手数料の対象外とする根拠を明らかにされたい。情報提供手数料の対象となるかどうかの判断基準は何か。それを判断する主体は誰か。
 (3) この突合状況について、本人確認情報の提供件数として官報等で公表しない理由は何か。情報提供手数料の対象外だとする本人確認情報の提供について、その件数を公表しない根拠を明らかにされたい。公表の可否を決める主体は誰か。今後、新たな年金受給権者の突合や情報提供手数料の対象とならない提供についても、提供状況を官報等で公表すべきだと考えるが、いかがか。
 (4) 第二五回住民基本台帳ネットワークシステム推進協議会会議録記載の質疑で「官報に公告している件数は、手数料の対象となっているものである。」「このような準備行為については、情報提供手数料の対象外としています。」と回答した主体は、それぞれ誰か。また、この会議録の発行主体と、実際に会議録の原文を作成した主体は、それぞれ誰か。
 (5) 突合によって住民票コードを特定できなかった年金受給権者約六〇〇万人について、住民票コードの報告を求めた結果、住民票コードを特定できた者、特定できなかった者は、それぞれ何人か。
 (6) 届出をしない年金未加入者に対する加入勧奨を目的として実施されている、二十歳に到達した全国民の本人確認情報の一括提供は、何らかの届出をした住民の居住関係を確認するという住民基本台帳法の規定や住基ネットの利用目的を大きく踏み外す、安易な利用拡大だと考える。「住民基本台帳法」別表が定める年金事務は、いずれも何らかの届出に関する事務に限定されているが、届出をしていない年金未加入者の本人確認情報を利用する法的根拠は何か。条文に沿って具体的に示されたい。社会保険庁改革関連法により実施される三十四歳に到達した全国民の本人確認情報の一括提供についても同様である。

 右質問する。



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