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平成二十一年三月十九日提出
質問第二二六号

在沖米軍基地勤務の駐留軍労働者・退職者のアスベスト被害救済に関する質問主意書

提出者  照屋寛徳




在沖米軍基地勤務の駐留軍労働者・退職者のアスベスト被害救済に関する質問主意書


 在沖米軍基地に勤務中、長年にわたってアスベストの飛散する業務に従事した駐留軍労働者が、退職後に健康被害を訴えるケースが後を絶たない。これら退職者のアスベスト被害についての対策の遅れは、沖縄が一九七二年まで米国の軍事支配下にあったこと、復帰後も雇用主は日本政府、使用者は米軍である特殊な雇用形態(間接雇用)に置かれていることと無関係ではない。現実に、日米地位協定が沖縄に適用されたのは復帰後であり、在沖米軍基地におけるアスベスト対策の開始時期は、米海軍横須賀基地よりも八年も遅れている。そのため、県内の駐留軍労働者や退職者には、十分な救済措置が施されていない状況がある。
 これら駐留軍労働者や退職者が高齢化する中、アスベスト被害者の掘り起こしは急務である。同時に、全てのアスベスト被害者が救済されるためにも、救済制度を確実に利用できるような仕組みを確立する必要がある。
 以下、質問する。

一 二〇〇八年十二月末日現在、アスベスト被害による沖縄県内の労災申請件数と認定件数、石綿健康被害救済法に基づく沖縄県内における救済件数を、駐留軍労働者・同退職者とその他労働者の内訳を別にして明らかにした上で、係る被害状況に対する政府の見解を示されたい。
二 アスベストの健康被害による労災認定と石綿健康被害救済法による救済件数との合算を、中皮腫での死亡件数で割った救済率について、二〇〇八年十二月末日現在の沖縄県内の救済率と全国平均の救済率を明らかにした上で、係る救済状況に対する政府の見解を示されたい。
三 アスベスト被害救済のための制度利用に必要な健康管理手帳は、医師の医学的所見、十年以上のアスベスト取扱い業務を示す同僚の証言等による職歴証明を交付要件としているようだ。制度利用対象者が高齢化していることからも、在沖米軍基地内でアスベストがどのように使用され、いかなる労働環境で業務に従事していたか等の職歴証明記録を「証言集」として残しておく必要があると考える。政府は、駐留軍労働者や同退職者から聞き取り調査を実施し、「証言集」のような形で記録しているのか明らかにされたい。
四 前項における「証言集」が作成されていない場合、国のアスベスト被害者救済事業の補助メニュー活用の一つとして、係る「証言集」作成業務を実施、あるいは沖縄県等の関係自治体に業務委託する考えはあるか、検討状況の有無を含めて政府の見解を明らかにされたい。
五 沖縄県における駐留軍労働者については、一九七二年を境に復帰前退職者と復帰後退職者との間で、労災補償に関する取扱いが異なるようだが事実か。事実であれば、取扱いが異なる理由及び法的根拠を明らかにした上で、その違いを詳細に示されたい。
六 日米地位協定第十八条5の規定に基づく損害賠償請求は、一九七二年の復帰以降の事案にのみ適用されると理解しているが間違いないか。
七 二〇〇七年十一月二十八日の参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会で、当時の岸田文雄沖縄及び北方対策担当大臣が、沖縄県における駐留軍労働者のアスベスト被害補償について、復帰前に米軍に直接雇用された人が対象であっても「請求があれば雇用形態、被害に至った状況等、個別具体的な事例に即して対応していく方針である」旨答弁している。係る答弁について具体的にどのような形での被害補償が考えられるのか、根拠法を示した上で政府の見解を明らかにされたい。
八 キャンプ瑞慶覧などの在沖米軍基地に勤務中アスベストにさらされ、石綿肺のため死亡した男性の遺族(妻)が当時の那覇防衛局に損害賠償請求をしていた件で、去る二月四日、沖縄防衛局は約二千二百万円の賠償金を支払ったようである。係る損害賠償金の支払いは、日米地位協定第十八条5の規定に基づくものだが、日米の分担比率を明らかにした上で、米側が分担金を支払ったのか、あるいは米側に支払う意思はあるのか把握しているか。していれば明らかにされたい。同様に米側が支払いを拒んでいる場合は、その理由を明示されたい。
九 前項同様のアスベスト被害に対する損害賠償請求について、二〇〇六年十月十七日にも当時の那覇防衛施設局が日米地位協定第十八条5の規定に基づき、約二千二百万円の損害賠償金の支払いを行っていると承知している。係る支払いについて日米の分担比率と米側による分担金支払いの有無を明らかにされたい。

 右質問する。



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