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平成二十一年四月七日提出
質問第二八五号

図書館法第二十八条及び著作権法第三十八条第四項の規定に関する質問主意書

提出者  川内博史




図書館法第二十八条及び著作権法第三十八条第四項の規定に関する質問主意書


 本年一月二十四日付の北國新聞記事(以下「記事」という。)によると、金沢文芸館が発行する年間観覧券または金沢市が発行する市文化施設共通観覧券の購入者に対し、同文芸館が蔵書を貸し出す行為につき著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十八条第四項の「営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合」の要件に該当せず、著作権を侵害するのではないかとの指摘が為されたことを受け原則として蔵書の貸し出しを中止する旨が報じられている。そこで、旧法附則第四条の廃止を含む著作権法の一部を改正する法律(平成十六年法律第九十二号。以下「改正法」という。)の審議に際し、平成十六年五月十三日に質問主意書(第百五十九国会質問第九六号。以下「先の質問」という。)を提出したことを念頭に以下質問する。

一 附則第四条の廃止に伴い、先の質問に対する政府答弁書(内閣衆質一五九第九六号。以下「先の答弁」という。)では、図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二十八条において定める「対価」につき「書籍又は雑誌の貸与に対する対価という性格を有するものではなく、これらの施設の一般的な運営費や維持費に充てるための利用料であると認められる」のであれば著作権法第三十八条第四項の「料金」には該当しない、とされている。しかしながら今回、このような事例が発生した背景には先の答弁において示された政府見解が図書館法第二条第二項にいう「私立図書館」もしくは第二十九条の「図書館と同種の施設」に該当し得る施設(以下「当該施設」という。)の現場において周知されていないことが背景にあるのではないかと考えられるが、この点につき政府の見解を問う。
二 記事では、社団法人著作権情報センター(以下「センター」という。)が金沢文芸館による蔵書の貸し出しについて、同館の入館料は著作権法第三十八条第四項の「料金」に該当し「収益目的でなくても料金を徴収しながら本を貸し出すことは著作権を侵害する可能性が高い」との見解を示したとされているが、センターの見解は先の答弁と相違していると考えられる。そこで質問する。
 1) 文化庁は改正法の施行から記事掲載までの間に、センターに対して先の答弁において示した法解釈につき伝達しているのか。伝達していない場合、その理由は何か。
 2) 文化庁とセンターの間でこのような見解の相違が生じたことにより、先の答弁において示された法解釈が周知されておらず当該施設の実務に支障をきたす結果となっていることにつき、どのように考えているのか。
三 附則第四条の廃止に伴いこうした混乱が実際に発生していることは、先の答弁のみでは当該施設における実務を担保するものとしては不十分であることを意味するものと考えられるが、今後の著作権法改正に当たっては著作権法第三十八条第四項の「料金」に図書館法第二十八条の「対価」が含まれると解してはならない旨を条文において明記すべきではないか。
四 先の答弁では、イトーヨーカ堂が一部店舗で実施している子ども図書館に代表される形態の事業は貸与の有償・無償に関わらず違法との見解が示されているが、改正法の施行後、文化庁からイトーヨーカ堂に対して子ども図書館事業の中止または権利処理手続を行うよう指導した事実は存在するのか。

 右質問する。



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