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平成二十一年四月二十一日提出
質問第三二七号

十五・四兆円で日本経済は経済危機から脱却できるのかどうかに関する質問主意書

提出者  滝  実




十五・四兆円で日本経済は経済危機から脱却できるのかどうかに関する質問主意書


 政府は四月十日、平成二十一年度補正予算の財政支出を十五・四兆円とすることを発表した。過去最大だった平成十年度三次補正を超える史上最大の経済対策とされている。ただし、平成十年度三次補正では九・八兆円の減税が行われており、これも加えると今回の経済対策は史上最大とは言えない。今回の経済対策に関して質問する。

一 この補正予算によるGDP押し上げ効果は二%であるという内閣府の試算が出ている。この補正は、例えば生前贈与して住宅を建設したり改修したりすると減税するとか、エコカーや省エネ家電を買うと補助するなどを含んでいる。買わないと金は出さないという仕組みだから、これは消費を刺激し消費税等の税収を増やすと考えられるが、この補正による税収の増加は何兆円程度か。
二 今回の補正の財源の一部が国債発行となっているために、これにより将来世代への国債の負担が重くなるという意見がある。しかし、一方で国債を増発したというだけで将来世代への国債の負担が重くなるということにはならないという考え方がある。
 そこで、国債残高が六百四十兆円、GDPが五百兆円として計算をしてみる。今回の財政出動前の国債のGDP比は六百四十÷五百=一・二八である。財政出動十五・四兆円のうち国債は十一兆円とされているから国債残高は六百五十一兆円、GDPは二%伸びるのだから、国債のGDP比は六百五十一÷(五百×一・〇二)=一・二七・・・となる。これですでに国債のGDP比は減少している。これに加え税収の増加が期待できるのだから、減少幅はこれよりずっと大きいと思われる。このような計算が成り立つのであれば、国債を財源とする財政出動によって将来世代への国債の負担が重くなることはないと考えていいのではないか。
三 二に示した計算のように、国債を財源として景気対策を行っても、国債のGDP比は減るのだから、将来世代への国債の負担は減ると言うべきではないか。
 逆に、将来世代への国債の負担が重くなる虞があるならば、その虞を避ける方策を講じることができるのではないか。これは日本の財政政策の方向を左右する極めて重要な問題であるのに専門家を集めた徹底的な議論を行っているようにはみえないのは、政府の怠慢と言うべきではないか。
四 四月十日、与謝野大臣は「放っておけば六〜七%成長率が落ちる。落ち込みを二%強だけ戻すということだ」と述べた。言い換えれば、四〜五%という大幅な経済の縮小をさせることが政府の目標ということになる。なぜ経済拡大でなく、経済縮小を国家目標にするのか理解できない。
 また、「効果があることはやったらいいが、すべて需要が足りないところを財政でやれと言うべきではない」という自民党の津島雄二税制調査会長の発言もある。これらは政府の見解と思っていいのか。
五 実際は、需要不足の全てを解消することが財政出動で可能なのではないか。例えば、昭和恐慌の際に、大規模な景気対策が行われた。そのお陰で別添の図に示すように実質GNPは、大幅増加となった。需要不足を完全に財政出動で補うことができただけでなく、急速な経済拡大にも成功し、何の問題もなかった。今回の経済危機も、当時の規模に相当する規模で景気対策を行えば、同様に大幅な実質GNPの増加になるに違いない。一方、昭和恐慌当時、需要不足の三分の一程度の気休めの景気対策が一年だけで終わっていたならば、景気回復はなかっただろうという意見があるのをどう考えるか。
六 今回の追加補正予算は、一年だけ、しかも需要不足の三分の一だけを補うというのが政府案と思われる。過去の景気対策の失敗は規模が小さすぎたし、十分な効果が出ないうちに打ち切ったことが原因である。五年計画でいわゆる真水の投入総額百兆円の経済対策を打ち出すべきとの提案があるが、政府はこのような提案に反対なのか。政府も五年計画で、もっと大規模な経済対策で経済危機の脱却の方法を考えてはどうか。

 右質問する。


昭和恐慌後の実質GNP(1930=100)


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