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平成二十一年六月三十日提出
質問第六二〇号

日本のロボット技術を世界標準にするための政府の支援に関する質問主意書

提出者  滝  実




日本のロボット技術を世界標準にするための政府の支援に関する質問主意書


 日本のロボット技術は世界の最先端を行くものであり、日本の経済発展に今後も大きく貢献していくことが期待されている。その点、政府が「未来開拓戦略(平成二十一年四月十七日 内閣府・経済産業省)」(以下、「未来開拓戦略」という。)等において、生活支援ロボット等の実用化について策定していることは評価したい。それをより確実なものにしていくには、日本のロボット技術を世界標準(デファクト・スタンダード)にしていく努力が不可欠である。
 過去において、コンピューターのオペレーション・システムの一種であるTRONを日本の学校教育用のパソコンに採用しようとしていたことがあった。日米経済摩擦の時期と重なって、TRONはどの会社に対してもオープンソースで無料公開されていたものであったにもかかわらず、米国政府は米国企業に対してTRONは不平等な扱いをしたという不当な主張をし、スーパー三〇一条を悪用しTRONの採用を阻止した。これが結果的にマイクロソフト社のMS−DOSやWindowsの独占を支援することとなり、米国は莫大な利益を得た。現在ロボット技術において微妙な段階にあり、放置すればTRONの失敗を繰り返すことになりかねないので質問する。

一 現在、日本のロボット技術はハード・ソフトともに世界を大きくリードしており、政府が適切な支援をすれば、日本のロボット技術が世界標準になり、日本経済の発展に計り知れないほどの寄与をするとの見解についてどう考えるか。
二 日本は、急速に少子高齢化が進んでいる。今後、生産労働人口が減少していき、労働者不足が懸念されている。しかし、次世代ロボットが人間の行う作業を代行するようになれば、労働力不足を緩和又は解消できるとの見解についてどう考えるか。
三 例えば、人間型二足歩行ロボットは、人間との共存環境下で共同・協業作業が可能であり、医療・福祉・介護・サービス等、多岐の分野にわたって活躍することが期待される。売り切りの商品でなく、そのソフトウエアの販売会社、ハードウエアを修理する企業、利用法をコンサルティングする会社、ロボット関係保険等が必要となり、自動車産業と同様に、部品産業を含め関連産業の裾野の広がりが大きい基幹産業になる可能性を秘めているとの見解についてどう考えるか。
四 現状では人間型二足歩行ロボットは商品として売り出すには値段が高すぎるために市場規模が限られていて、民間企業が本格的な開発を始めるには負担が大きすぎる。しかしながら、国がある段階まで支援し開発を進めれば、爆発的な市場拡大が期待される。少子高齢化で将来への不安を抱く国民に大きな夢と希望を与えるものであることを考慮すれば、人間型二足歩行ロボットは国の最良の投資先ではないかとの見解についてどう考えるか。
五 本格的なロボット研究開発を進めるには、人間協調・自律技術開発のための次のような施設が必要であるといわれている。
 (一) 人間型ロボットが現在可能な軽作業を人間と行うための模擬的な施設
 (二) 人間型ロボットが重作業(例えばクレーンの代わりのように使える)を行える模擬的な施設
 (三) 家庭内で人間と協調するロボットを進化させるための模擬的な施設
 (四) 人間型ロボットの具体的な応用を産学官共同で研究開発するための施設
 (五) 研究用のロボットプラットホームの保守施設
 (六) ロボット保守のシステム開発を行えるような施設
 (七) 将来的な実用化、輸出産業化を含め、市場に出すためのアフターケアの実験場
 このような施設の設立を国が検討してはどうか。
六 ロボットは人間と関わる機械としての安全技術が確立していないことに加え、安全性の評価ができる公的機関が存在しない。さらに評価する工業規格が存在していない。これらの事情がロボット開発を妨げている。「未来開拓戦略」においては、実用化に必要な対人安全技術の開発、及び五年以内に安全基準・評価手法の策定を行うこととしているが、その詳細及び実現の可能性を明らかにされたい。
 また、ロボット開発を促進する関連法の整備や、このような問題の解決方法を検討してはどうか。
七 例えば、介護の現場を考えてみよう。少子高齢化は、単に生産労働人口が減るだけでなく、貴重な労働人口の多くを介護の現場に向かわせてしまい、労働力不足にさらに拍車をかける。介護ロボットにより、要介護の高齢者は自力で生活ができることで、生活の質(QOL)が大きく向上するだけでなく、介護に拘束されていた人を別な職場に回し、労働力不足解消に貢献できるのであり、日本にとって大きな利益をもたらすとの見解についてどう考えるか。
八 大量に外国人を入れると、安い労働力が原因となって、すでに下がり続けている平均賃金がさらに下がり、国民の生活を圧迫する。大量のロボットの導入であればそのような恐れはない。しかもロボット産業は有力な輸出産業に成長することが期待され、国を豊かにするとの見解についてどう考えるか。
九 政府は、「未来開拓戦略」において、二〇一一年までに生活支援ロボット等の国際標準化提案をすることとしているが、その詳細及び実現の可能性を明らかにされたい。
十 政府は、「未来開拓戦略」において、ロボット市場予測が二〇二五年に六・二兆円に達するとしているが、そのとおりであれば、大変な有望市場の形成がなされることになる。この予測の根拠、詳細及び出典を明らかにされたい。

 右質問する。



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