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平成二十一年七月三日提出
質問第六三六号

臓器移植医療の実態に関する質問主意書

提出者  阿部知子




臓器移植医療の実態に関する質問主意書


 臓器の移植に関する法律が一九九七年に施行され、一二年を経た現在、「脳死を一律に人の死」とし、現行法の基本理念である「本人の意思表示原則」を撤廃して、家族の同意だけでも提供を可能にする改正案が衆議院で可決され、現在参議院の審議に付されている。
 しかし、この一二年間の移植医療の実態について、検証や情報公開が十分であったとは言えず国民の十分な理解には至っていない。法改正にあたっては、まずこの一二年間の運用を見直し、詳細に検証することこそが重要ではないか。このような観点から、以下質問する。

一 脳死下での八一例の臓器提供事例について
 (一) これまでの脳死下臓器提供八一例による移植件数は、(社)日本臓器移植ネットワークの公表資料によれば、三四五件とされている(二〇〇九年二月九日現在)。このうち、レシピエント(臓器等の受容者)の死亡例及び生存期間を、心臓、肺、心肺同時、肝臓、膵臓、膵腎同時、腎臓、小腸、それぞれについて明らかにされたい。
 (二) これまでの脳死下臓器提供八一例による移植件数三四五件に係る費用について、ドナー(臓器等の提供者)の臓器摘出に関する費用の総額を明らかにされたい。また、レシピエントの入院基本料、移植手術に係る費用、臓器搬送費用、それぞれの総額を明らかにされたい。
 (三) 脳死下における直近の臓器移植事例について、ドナーの臓器摘出に関する費用を明らかにされたい。また、それぞれのレシピエントの入院基本料、移植手術に係る費用、臓器搬送費用を明らかにされたい。
二 教育普及啓発の現状について
 (一) 現在、学校教育や地域保健医療の現場で行われている脳死臓器移植に関する普及・啓発活動はどのようなものがあるか。また、その費用はどこから拠出しているのか明らかにされたい。
 (二) これらのうち、全国の中学校等に配布している教育用普及啓発パンフレットや、臓器移植ネットワークが作成している臓器提供意思表示カード等の説明文書において、人の死と脳死の関係、脳死と臓器提供の関係、脳死を人の死と認めない考え方などについて、どのように記載されているのか。
  また、長期脳死児の存在や、臓器摘出時に麻酔や筋弛緩剤を使用することなどについて、何らかの記載はあるか、明らかにされたい。
三 小児救急医療について
 (一) 我が国の新生児死亡率の低さは、一〇〇〇人中一.八人で世界で第一位を誇る。また乳児死亡率は第三位に位置しているが、一歳から四歳までの小児死亡率は一〇〇〇人中一.二人で世界で第二一位である。先進一三カ国の死亡率平均を一〇〇とした場合の一〜四歳児の死亡率が一二九.五と突出している。この原因はどこにあると認識しているか。
 (二) 一〜四歳児の死亡場所と死亡原因について分析した、厚労省の科研費補助金事業「幼児死亡の分析と提言に関する研究」研究班が二〇〇六年に行った調査では、全対象死亡率と、基礎疾患のない小児の死亡率について、双方とも上位一〇位以内に入っている七県には重症患者の受け皿となる小児集中治療室はなかったとする調査結果を挙げている。その中で一〜四歳の小児死亡は、小さな施設で十分な治療を受けることなく亡くなっている実態を指摘し、小児集中治療室に小児救命救急センターの役割を付加するように体制を検討する必要があると報告している。この報告をどのように受け止め、どのように対処するのか。

 右質問する。



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