衆議院

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平成二十二年三月十五日提出
質問第二六三号

行政改革・公務員制度改革・天下り根絶に関する質問主意書

提出者  中川秀直




行政改革・公務員制度改革・天下り根絶に関する質問主意書


 行政改革・公務員制度改革・天下り根絶は、緊急を要すると考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 独立行政法人のみならず、一般会計、特別会計から補助金等の国費を受けている特別民間法人、公益法人が国債を保有するのは望ましいものではない。原則として、国費をもって国債を運用している場合には全額国庫返済させるべきものと考えるが、政府はどのように考えるか。また、現行法体系のもとで全額国庫返済をさせることは可能か。可能でない場合にはどのような法改正が必要か。例外として保有を認められる場合があるとすればどのような場合か。
二 福田内閣時の「独立行政法人通則法改正案」にあった独立行政法人の役職員が密接関係法人等(営利企業等のうち資本関係、取引関係等において非特定独法と密接な関係を有するもの)に対して行うあっせんを原則禁止する等の「非特定独法の役職員の再就職規制」条項を、今回の政府提出法案から削除した理由は何か。天下り根絶という観点から、同条項を復活させる法案修正を国会で行うべきであると考えるが政府はどう考えるか。同条項を復活させる修正について政府が反対する場合にはその理由は何か。
三 国に現物納付される独立行政法人国立印刷局の市ヶ谷センターについての国の売却方針はどのようなものか。政府の判断として、内閣衛星情報センターや防衛省に隣接していることから、民間に売却してマンションなどが建つと情報管理上も好ましくないとの観点から、国が保有し続けることはあるか。その場合、近隣には高層マンションの建設が認められるにも関わらず、市ヶ谷センターの敷地の民間活用が認められない理由を明示されたい。三月十日の衆議院内閣委員会において菅直人財務大臣は、国に現物納付される市ヶ谷センターについて「民間的なものが望ましいのか、ある場合には、逆に、民間的なものが望ましいところがあればそういうものと振り替えて、そういう対応がいいのか。ここはひとつの活用のあり方としては、大いに透明な形で議論する必要があると考えます」と発言されている。菅財務大臣が売却と並立して例示しているのは、国の施設のいずれかを市ヶ谷センターの敷地に移転させ、結果として国が同敷地を保有し続けることを示唆しているのか。
四 三月十日の衆議院内閣委員会において、今後、独立行政法人国立印刷局を国の機関化して、同職員を国家公務員に戻し、同職員の給与を上げることはないという理解で良いかとの問いに対して、「趣旨としてはその通り」と回答されたところである。独立行政法人国立印刷局を国の機関化して、同職員を国家公務員に戻し、同職員の給与を上げることはないとすることは政府の方針か。
五 三月十日の衆議院内閣委員会において、枝野国務大臣は天下り根絶について、「法令上」あるいは「政府の方針としての公式」の天下りについては「法令に違反して省庁の斡旋により再就職をするということ」とした上で、これは「わが政権として考えております広い意味での天下りを許さないという範囲」とは異なることを説明されている。法令上の公式見解としての天下りを越える部分で、政権として禁止する「広い意味での天下り」とはどのようなものか。定義を示し、具体的事例を列記して頂きたい。
 また、このような「広い意味での天下り」を法令上禁止しない理由は何か。さらに、枝野国務大臣は「現行の制度」で対応できない場合には、「政府としての関与・ガバナンスを強める」ことで天下りを許さないとしているが、関与・ガバナンスを強めることを口実に国の機関化して、政府の任命によりポストが確保されることにつながるのではないか。
六 本年二月二十六日の「天下り・渡りに関する質問主意書」に対する政府答弁書の中で、日本政策投資銀行、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、住宅金融支援機構、地方公共団体金融機構、日本政策金融公庫(国民生活部門・中小企業部門・農林水産部門・国際金融部門)、国際協力機構(有償資金協力部門・有償資金協力部門以外)及びその前身の役員のうち、所管省庁において保存が義務付けられている関係書類等によって把握できた常勤の国家公務員の退職者(職務の専門性等を踏まえ、専ら教育、研究又は医療に従事した者、国家公務員としての職務が一時的であった者及び国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第十九条第四項等の規定に基づき退職手当を支給されていない者を除く)の氏名(生年月日、最終官職)及び任期が示され、これにより、同一省庁出身者による固定的・指定的な役員ポストの人事が明らかになった。このうち、日本開発銀行総裁・日本政策投資銀行総裁の流れをくむ株式会社日本政策投資銀行の役員ポストの人事、日本輸出入銀行・国際協力銀行総裁の流れをくむ株式会社日本政策金融公庫国際協力銀行の役員ポストの人事、国民金融公庫・国民生活金融公庫総裁の流れをくむ株式会社日本政策金融公庫国民生活事業本部の役員ポストの人事のそれぞれに関し、三月十日の衆議院内閣委員会において枝野国務大臣は、鳩山政権として同一の役所からの就任を認めない、また、他の役所とのたすき掛け的な人事も認めないかとの問いに対して、行政刷新の立場から、「ご指摘のような問題が生じないことを目標にしていきたい」と述べられた。これは、政府の方針として、政策金融機関の役員ポストについて、同一省庁からの固定的・指定的なポストの人事は認めない、他省庁とのたすき掛け的な人事を認めないことを意味しているのか。
七 三月十日の衆議院内閣委員会における答弁で、枝野国務大臣は、「公務員給与体系の見直しについて、民間企業においてはある程度の年齢になるとそれよりも昇進する人以外は給料は上がらずにむしろ下がっていく、あるいは子会社に出向する場合には給料は下がっていくということが常識であるが、公務員の場合には残念ながらそうなっていない」旨を述べ、給与が下がること、給与が上がらないことを含む公務員給与体系のゼロベースでの抜本的見直しを行うとしている。枝野国務大臣が指摘した民間企業の常識に基づき、ある一定の年齢になると公務員の給与が下がること、給与が上がらない公務員給与体系にすることは政府の方針か。前政権時代には平成二十二年中に給与体系見直しを行うことになっていたが、現政権はいつ給与体系見直しを行うのか。また、前内閣が閣議決定した『工程表』は、効力を失ったのか。
八 国家公務員の早期退職勧奨について、民主党が平成十九年五月九日に衆議院に提出したいわゆる「天下り根絶法案」では「早期退職勧奨慣行の禁止」としていたが、現政権はこの方針を撤回したのか。また、本年三月十日の衆議院内閣委員会における枝野国務大臣の答弁では、公務員制度の抜本的改革の中で退職金積み増しによる早期退職勧奨は、一定の年齢に達した場合には昇進しなければ昇給しない制度を取り入れる際には考慮に入れてもいいと発言されている。政府の方針として、退職金積み増しによる早期退職勧奨は、一定の年齢に達した場合には昇進しなければ昇給しない制度を取り入れる給与法改正が前提条件であると考えるか。
九 政府は、一定の年齢に達した場合には昇進しなければ昇給しない制度を取り入れる給与法改正案をいつまでに国会に提出するのか。
十 国家公務員制度改革基本法第十一条第二項の「総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能について、内閣官房が新たに担う機能を実効的に発揮する観点から必要な範囲で、内閣官房に移管するものとすること」における「その他の国の行政機関」の中には「財務省の給与共済課」も含み、財務省の給与共済課を内閣人事局に統合させるべきと考えるが政府の見解はどうか。
十一 国家戦略局について、仙谷大臣は三月七日のテレビ番組(サンデープロジェクト)で、「実質的には総理の下に担当大臣、形式的には(内閣法上)官房長官の下にせざるを得ない」という説明をしていたが、これは政府の見解か。内閣府設置法では「特命担当大臣」が位置づけられており、官房長官は挟まないで、内閣法に「国家戦略担当大臣」を規定し、また、麻生内閣が提出した法案のように「総理の直属」ということを明確に規定すればよいものと考えるが、そのようにしなかった理由は何か。また、国家戦略担当大臣を規定する法改正についての政府の見解は如何か。
十二 鳩山総理が施政方針演説でいうところの「裏下り」を法的に規制するために、本年二月十九日閣議決定の国家公務員法等改正案で具体的にどのような行為規制を追加したのか。
十三 昨年十一月の日本損害保険協会副会長の人事について質問する。
 1 政府は当該人事を「裏下り」と認定するか。
 2 当該人事は「裏下り」か否かの調査は行ったか。
 3 調査を行わなかった場合には、現行制度でも総理には調査権限がある中で、調査を行わなかった理由は何か。
 4 調査を行った場合には誰がどの省庁の誰に対してどういう権限で確認したのか。当該省庁の書類などを押収して調査したのか。どのような理由で「裏下り」ではないと判断したのか。
 5 今回提出された政府法案の監視適正化委員会の調査権限は現行制度と同様である。この権限では「裏下り」の規制に対して限界があり、刑事罰を導入すべきであると考えるが、今回の政府提出法案に刑事罰が入っていない理由は何か。
十四 公務員制度改革については、与野党が協議を尽くして国民的合意形成を図るべきであり、特に、与野党合意で成立した公務員制度改革基本法を政府・与党だけで一方的に改正すべきでないと考えるが、政府の見解はいかがか。
十五 政府提出の国家公務員法等改正案では、同一職制の中で、次官から部長などに事実上の「降格」となった場合の給与に関する規定がない。政府は、例えば、次官から部長級に降格となり収入減となるような人事も法制上の制限はなく、不当な不利益処分だとして訴えられる訴訟リスクはないと考えるか。その意見については、人事院も同意見か。
十六 政府提出の国家公務員法等改正案が成立した場合、例えば、有能な民間人を局長に抜擢しようとしたとき、局長および部長級のポスト・定員に欠員がない場合には、部長から課長級への降格ができないために、結果として、当該抜擢人事ができなくなるのではないか。課長級への降格なしに抜擢人事が可能であるとすれば、限られた局長・部長級のポストと定員との関係でなぜ可能なのか明らかにされたい。
十七 なぜ、副大臣、政務官の増員を国会審議活性化法案で行おうとするのか。政治主導確立法案で行うべきではないか。
十八 国家公務員法等改正案附則第九条第一項では、事務次官廃止の検討に期限はない。同じ附則第九条第二項は期限を切って労働基本権に関する法制上の措置については三年以内の期限が設定されているのと対照的である。法案を修正して、附則第九条第二項同様、期限を切って、事務次官廃止を検討すべきであると考えるが、政府の見解を問う。

 右質問する。



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