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平成二十二年三月二十三日受領
答弁第二六三号

  内閣衆質一七四第二六三号
  平成二十二年三月二十三日
内閣総理大臣 鳩山由紀夫

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員中川秀直君提出行政改革・公務員制度改革・天下り根絶に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中川秀直君提出行政改革・公務員制度改革・天下り根絶に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の法人の中には、多額の国債を資産として保有するものがあるが、法人の業務運営上必要な資金として保有し運用しているものもあり、その全額を国庫返納できるものではない。
 一方、本年四月下旬と五月下旬に実施する予定の事業仕分けでは、独立行政法人及び政府系の公益法人が行う事業について、予算面にとどまらず、事業の必要性、有効性、効率性、緊要性や、誰が事業を実施する主体として適当かといったことについて検証を行うこととしているところであり、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる国債を含む基金等で国の補助金等に係るものについては国庫返納を行わせてまいりたい。
 公益法人及び特別の法律により設立される民間法人の保有する国債で国の補助金等に係るものが不要となった場合には、補助金等相当額を補助金交付要綱等に基づき国庫へ返納させることは可能である。独立行政法人については、現行法上も、中期目標期間中における積立金を国債で運用している場合には、中期目標期間の最終年度において、独立行政法人の個別法の規定に基づき国庫に納付させることが可能な場合もあるが、今般、不要な財産(国債を含む。)のうち、政府の出資又は支出を財源とするものを、遅滞なく国庫に納付することを義務付けることとすべく、「独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(以下「独法通則法改正法案」という。)」を今国会に提出したところである。

二について

 独立行政法人の在り方については、「独立行政法人の抜本的な見直しについて」(平成二十一年十二月二十五日閣議決定。以下「独法見直し」という。)等を踏まえた抜本的な見直しの中で、ガバナンスの強化、効率的・効果的な事業実施の実現及び透明性の確保の視点から、関連法人等との間の資金や人の流れについても検証し、必要な措置を講じることとしていることから、特定独立行政法人以外の独立行政法人の役職員の再就職規制に関しては、今国会に提出している独法通則法改正法案では措置していないところであり、御指摘のような修正を行うことは考えていない。

三について

 独立行政法人国立印刷局の市ヶ谷センターについては、今国会に提出している独法通則法改正法案により独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)が改正された後、国に現物納付される予定であり、その処理方針については、現時点では政府として決定していない。

四について

 独立行政法人国立印刷局については、独法見直しに基づき、国自らが直接実施することが真に必要な事務・事業は、徹底した効率化を図った上で、国の行政機関に移管できないか等の視点も含め、様々な観点から抜本的な見直しを行うこととしている。

五について

 お尋ねの「広い意味での天下り」については、一般的に定義されているものではなく、個別に精査して対処する必要があることから、法令により一律に禁止するような規制を設けることは適当でないが、府省庁のあっせんの有無にかかわらず、特定の民間企業、団体等との癒着や行政の無駄などの原因となるような公務員の再就職については、国民からの厳しい批判があるものと認識しており、こうした国民の厳しい批判にこたえるとともに、行政の無駄をなくすため、現内閣においては、天下りのあっせんの根絶を図るとともに、例えば、府省庁によるあっせんの事実は確認されていないものの、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような退職した公務員の再就職についても、厳格な監視を行い、国民の疑念を解消する必要があると考えている。
 また、お尋ねの「関与・ガバナンスを強めることを口実に国の機関化して、政府の任命によりポストが確保されることにつながる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、例えば、独立行政法人の長の任命について各府省の大臣が積極的に関与することを通じて、公務員の再就職についても適正化を図ることとしているものである。

六について

 お尋ねの機関のポストについては、主務大臣が適材適所の人事を行うべきものであると考えており、その際、識見及び能力を有しないにもかかわらず特定の府省庁を退職した公務員であるという理由のみによって同一府省庁出身者が何代にもわたって当該ポストを占めるような問題が生じないよう、適切に対処してまいりたい。

七から九までについて

 定年まで勤務できる環境の整備については、平成二十一年九月二十九日の閣議における「公務員が天下りをせず定年まで勤務できる環境を整備するなど公務員制度改革を速やかに実施していくこととしております」等との内閣総理大臣の発言を踏まえ、今後、早期退職勧奨の取扱いを含め、その具体的な在り方について検討することとしており、当該環境の整備に際しては、国家公務員制度改革基本法(平成二十年法律第六十八号。以下「基本法」という。)第十条第三号ハに基づき、高年齢である職員の給与の抑制を可能とする制度等について検討することとしている。
 また、公務員制度改革の進め方については、平成二十二年二月十九日の国家公務員制度改革推進本部において、公務員制度改革の第一歩として、内閣人事局を設置し、幹部職員人事の一元管理を実現すること等を内容とする国家公務員法等の一部を改正する法律案(以下「国公法等改正法案」という。)を決定するに当たり、今後、これに続く改革として、公務における適切なマネージメントを強化する観点から、使用者機関の在り方を含む公務員の労働基本権の在り方についての検討を進めるとともに、独立行政法人や公益法人の改革も視野に入れつつ、定年まで勤務できる環境の整備を進めるなど、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を加速していく必要があり、このため、新たに設置する内閣人事局において、政治主導により、更に強力に改革の具体化を進めていくこととされたところであり、現在これに沿って取り組んでいるところである。

十について

 基本法第十一条第二号では「総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能について、内閣官房が新たに担う機能を実効的に発揮する観点から必要な範囲で、内閣官房に移管する」とあるが、具体的な機能の移管の範囲については、公務員の労働基本権の在り方を含む公務員制度の抜本的な改革の中で、今後検討していくこととしている。

十一について

 御指摘の「麻生内閣が提出した法案」及び「国家戦略担当大臣を規定する法改正」が何を指すかが必ずしも明らかではないが、政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案(以下「政治主導確立法案」という。)においては、国家戦略局を、その所掌事務の重要性にかんがみ、内閣官房長官の統轄の下で内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに総合調整の任に当たっている内閣官房の内部組織として設置することとしたものである。
 また、昨年九月来置かれている国家戦略担当大臣は、内閣総理大臣からその担当を命ぜられた内閣法(昭和二十二年法律第五号)第三条第二項に規定する大臣であり、政治主導確立法案の成立によってその位置付けが変わるものではない。国家戦略局の設置後に国家戦略担当大臣が置かれている場合には、国家戦略担当大臣は、国家戦略局に対して法律上の指揮命令権を有するものではないが、その担当を命ぜられた事務について大臣としての指導性を発揮することとなると考えられる。
 御指摘の仙谷大臣の説明は、これらを踏まえて行われたものと認識している。

十二について

 今国会に提出している国公法等改正法案には、御指摘のような規制の追加は含まれていないが、例えば、府省庁によるあっせんの事実は確認されていないものの、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような退職した公務員の再就職についても、厳格な監視を行い、国民の疑念を解消する必要があると考えている。

十三について

 お尋ねの「裏下り」については、衆議院議員山内康一君提出裏下りの定義に関する質問に対する答弁書(平成二十二年二月十二日内閣衆質一七四第六九号)一及び二についてで述べたとおりであり、御指摘のような認定及び国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三章第八節第二款の規定に基づく調査は行っていないが、事実関係の確認は行っているところである。今国会に提出している国公法等改正法案により、中立公正の立場で独立して職権を行使する第三者機関である再就職等監視・適正化委員会を新たに設置することとしていることから、再就職等規制に違反する疑いのある個別事案についての精査は、国家公務員法の定める手続に従い、同委員会において進める必要があると考えている。また、現行の国家公務員法では、再就職等規制違反の疑いがあると思料される事案の調査については、証人喚問、書類の提出要求、調査対象職員の勤務する場所における物件検査等を行うことができることとされ、当該調査の実効性を確保するため、証人喚問を受け虚偽の陳述をする等の調査を妨げる行為について、同法第百十条に刑事罰が規定されているものと承知している。

十四について

 基本法が国会での修正を経て成立したものであることは承知しているが、国公法等改正法案において基本法を改正することとしているのは、国公法等改正法案により措置されるもの以外の法制上の措置は、公務員の労働基本権の在り方を含む公務員制度の抜本的な改革の中で検討することが適当と考え、基本法の施行後三年以内を目途として講ずることとする必要があると判断したこと等によるものである。なお、国会における審議の進め方については、基本的に国会でお決めいただくべきものと考える。

十五について

 国公法等改正法案においては、適材適所の人事を柔軟に行えるようにするため、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第十八条第一項に規定する事務次官及びこれに準ずる官職、同法第二十一条第一項に規定する局長及びこれに準ずる官職並びに同項に規定する部長及びこれに準ずる官職は、同一の職制上の段階に属するものとみなすこととしており、これらの官職の間の異動を転任としているところである。
 国公法等改正法案の規定に基づく幹部職員の転任については、給与の減額を伴う場合もあり得るが、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条の二の規定に基づき、転任後の官職に応じて定められる号俸に給与が決定される結果であり、基本的に不当な不利益処分には該当しないものと考えている。なお、訴訟は職員の意思により提起されるものであり、その可能性の有無について政府としてお答えする立場にない。
 これらについては、人事院としても同様の考えである。

十六について

 国公法等改正法案においては、適材適所の人事を柔軟に行えるようにするため、国家行政組織法第十八条第一項に規定する事務次官及びこれに準ずる官職、同法第二十一条第一項に規定する局長及びこれに準ずる官職並びに同項に規定する部長及びこれに準ずる官職は、同一の職制上の段階に属するものとみなすこととしており、これにより、転任により異動させることができる官職の範囲が広がることになる。
 また、その範囲の中においても、定年退職する職員や再就職のあっせんを受けることなく退職する職員が見込まれるところである。
 こうしたことを踏まえれば、人事運用上の工夫により抜てき人事を行うことは可能であると考えている。

十七について

 御指摘の副大臣及び大臣政務官の増員は、国会審議の活性化を図る観点から、現在、与党において検討中のものであると承知しており、政府としては、政府の政策決定過程における政治主導の確立のために必要となる政府内の組織の新設を主な内容とするものとして政治主導確立法案を提出したものであって、御指摘は当たらないものと考えている。

十八について

 お尋ねの事務次官その他の幹部職員の位置付け及び役割について検討するものとすると規定している国公法等改正法案附則第九条第一項については、各府省のガバナンスの在り方の議論等と併せて、国公法等改正法案において創設された幹部職員の任用に関する制度の法施行後の運用状況を踏まえる必要があることから、このような規定としているところである。



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