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平成二十四年一月二十五日提出
質問第一五号

除染に伴って発生する土壌・廃棄物の「仮置場」の現状等に関する質問主意書

提出者  高市早苗




除染に伴って発生する土壌・廃棄物の「仮置場」の現状等に関する質問主意書


 平成二十三年十月二十九日に環境省が発表した「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質による環境汚染の対処において必要な中間貯蔵施設等の基本的考え方について」を読み、除染に伴って発生する土壌・廃棄物のうち焼却できないものについては、中間貯蔵施設に格納するまでの三年間程度、除染事業が実施された地域内で「仮置き」されるものと理解している。
 しかし、今月上旬に仮置場における汚染土壌の杜撰な保管状態を確認したことから、今後の汚染土壌・廃棄物処理プロセスで発生し得るリスクについても、不安を覚える次第である。
 従って、次の事項について質問する。

一 仮置場で使用されているフレキシブル・コンテナ・バッグの耐久性等について
 汚染土壌を収納しているフレキシブル・コンテナ・バッグ(以下、フレコンバッグ)につき、福島県内の複数の仮置場では、価格が数百円の耐久性に欠けるものが使用されている。このフレコンバッグ(灰色)は、高耐候性三年対応フレコンバッグ(黒色)に比べると価格は五分の一から十分の一であるが、土嚢によって紫外線をできるだけ遮断したとしても、容器としての健全性を三年間にわたって保持できるとは考えられない。
 今月、福島県の仮置場において、安価なフレコンバッグが既に破損し、汚染土壌が露出している状況を確認した。
 よって、次の質問をする。
 @ 仮置場におけるフレコンバッグの破損と汚染土壌の露出について、内閣は把握しているのか。
 A 前問につき、仮に把握しているとしたら、フレコンバッグの破損と汚染土壌の露出が発生している仮置場の地名と既に破損したフレコンバッグの数を示されたい。
 B 前問@につき、仮に把握していないとしたら、今後、調査を行う予定はあるのか。
 C 安価な耐候性が低いフレコンバッグについては、土壌を収納して置いてあるだけの現状でも破損していることから、約三年後の中間貯蔵施設への移動時には、吊り上げによる破損リスクが極めて高いと思われる。内閣は、経年劣化や吊り上げによるフレコンバッグの破損リスクについては、どう考えているのか。
 D 平成二十三年十二月に発表された環境省の「除染関係ガイドライン」第4編の「除去土壌の保管に係るガイドライン」には、フレコンバッグについて、文末にランニング型とクロス型の違いは記されているものの、「高耐候性である必要性」は明記されていない。その理由を伺う。
 E 仮に環境省が仮置場で使用するフレコンバッグについて「高耐候性である必要はない」と考えているとすると、現に発生しているフレコンバッグの破損と汚染土壌の露出については、周辺住民の健康不安や環境汚染を招くものではないと判断しているのか。
 F 仮置場で使用するフレコンバッグについて、今後も多くの地方自治体では、予算的制約から安価で耐候性が期待できないフレコンバッグを使用するものと考えられる。地方自治体に対して高耐候性フレコンバッグや他種の収納容器を使用するよう指導したり、それらの購入費用につき支援したりする予定はないか。
二 汚染土壌の性状と収納容器について
 仮置場に持ち込まれる汚染土壌は、乾燥した土砂からヘドロのような高含水状態の土壌まで千差万別である。これらを一元的にフレコンバッグに収納することは適切な対応ではないと考えられる。
 よって、次の質問をする。
 @ 汚染土壌の性状や種類によって収納容器を使い分けることが合理的だと考えるが、内閣の考え方を伺う。
 A 高含水状態の土壌を収納する容器については、その形状や性能につき、どのようなものが適当だと考えるか。
三 仮置場の二次汚染対策について
 @ 仮置場として使用している土地については、後年、所有者に返却する際に、使用前の状態に復する必要があるのか否か。
 A 仮に仮置場用地返却時に原状に復することが求められる場合には、汚染土壌・廃棄物の漏出や残留は許されないものと考える。フレコンバッグやドラム缶の破損や変質によって二次汚染を引き起こした場合には原状に復することが困難になると考えるが、どのような対策を予定しているのか。
四 今後の処分プロセスを考えた収納容器の検討について
 昨今では、民間の資材メーカーにより、高耐候性・高剛性・高水密性・高強度を備えた多種多様な製品が開発されつつある。繊維補強やコーティングをされた袋状容器、プラスティック製容器、軽量コンクリート製容器などが開発され、それらの製品の多くは、高耐候性三年対応のフレコンバッグと概ね同等の価格での提供が可能となってきている。
 約三年後の中間貯蔵施設への移動作業を考えた場合、仮置きの段階から高耐候性・高剛性・高水密性・高強度の収納容器を使用した方が、高い安全性を確保できる上、容器を継続して使用できることから最終的なコストを低く抑えることが可能なのではないかと思う。
 よって、次の質問をする。
 @ そもそも仮置場で使用する容器として、フレコンバッグが最適なのか。「除去土壌の保管に係るガイドライン」でフレコンバッグを例示した理由も伺う。
 A 仮置場で使用する容器として、フレコンバッグ以外の収納容器について、その性能や価格に関する情報を収集しているのか否か。また、フレコンバッグ以外の容器の採用は検討されているのか否か。
 B 除染に伴う土壌・廃棄物が保管される期間が長期に及ぶと考えられる「中間貯蔵施設」では、汚染土壌収納容器として、仮置場で使用したフレコンバッグを引き続き使用するのか。それとも、新しいフレコンバッグに移し替えるのか。それとも、他種の容器に移し替えるのか。
 C 中間貯蔵施設で使用する収納容器には、どのような性能や形状が必要だと考えるのか。
 D 約三年後の中間貯蔵施設への移動作業を考えた場合、仮置きの段階から高耐候性・高剛性・高水密性・高強度の収納容器を使用した方が、高い安全性を確保できる上、容器を継続して使用できることから最終的なコストを低く抑えることが可能なのではないかと思うが、内閣の考え方を伺う。
 E 平成二十三年八月二十六日に成立した「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」は、「国は、(中略)技術開発等の推進及びその成果の普及に努めなければならない」と規定している。除染事業に関して、事業開始から今日までに技術開発の成果が普及されたことにつき、具体的に挙げられたい。

 右質問する。



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