質問本文情報
平成二十四年一月三十一日提出質問第二五号
除染に伴う除去土壌等の処分方法に関する質問主意書
提出者 高市早苗
除染に伴う除去土壌等の処分方法に関する質問主意書
平成二十三年十月二十九日に環境省が発表した「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質による環境汚染の対処において必要な中間貯蔵施設等の基本的考え方について」(以下、「中間貯蔵施設等の基本的考え方」)には、除染に伴って排出される除去土壌や廃棄物(以下、除去土壌等)の処分に向けたプロセスが記されている。
これによると、除去土壌等は、三年間程度は除染実施地域の仮置場で、その後三十年以内の期間は福島県内の中間貯蔵施設で保管され、最後に福島県外の最終処分場に移されることとなっている。この処分プロセスには、安全性や費用対効果の点から問題があると考える。
従って、次の事項について質問する。
除去土壌等について、仮置場から中間貯蔵施設へ、中間貯蔵施設から最終処分場へと、二回もの移動が予定されている。移動作業には漏出や収納容器破損などのリスクが伴う上、移動する除去土壌等は膨大な量となることが想定されていることから費用もかさむと考えられる。
よって、次の質問をする。
@ 「中間貯蔵施設等の基本的考え方」において、中間貯蔵施設について「福島県にのみ設置する」とした理由について伺う。
A 他方、平成二十三年十一月十一日に閣議決定された「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物資による環境の汚染への対処に関する特別措置法 基本方針」には、「除去土壌等の処理は、当該除去土壌等が生じた都道府県内において行うものとする」と記されている。福島県以外の県で発生した除去土壌等については、十月二十九日の「中間貯蔵施設等の基本的考え方」において「福島県にのみ設置する」とされた福島県内の中間貯蔵施設に運搬するのか、それとも、当該除去土壌等が発生した都道府県の仮置場において保管され続けるのか。
B 「中間貯蔵施設等の基本的考え方」には「福島県外で最終処分を完了する」と記されている。最終処分を「福島県外」で行うこととした理由について伺う。また、最終処分場は一箇所だけなのかどうかを確認する。
C 除去土壌等につき、県境を跨いだ移動を行う必然性は何か。
D 除去土壌等の移動作業中の漏出や収納容器破損などによる二次汚染、二次被曝のリスクは皆無か。
E 前問につき、仮にリスクが存在するとしたら、除染による二次汚染、二次被曝のリスクを避ける合理性を求めるべきであり、かえってリスクを高めるような処分プロセスには意味がないのではないか。
F そもそもセシウム137の半減期は約三十年であり、放射性セシウムの管理必要期間は長くても百年である。百年経つと、問題にならない程度に放射能が減衰するからだ。仮置きはともかく、百年間の間に二回も汚染物の取り出しを行うことはナンセンスだとは考えないのか。
G 既に除去土壌等の最終処分を「福島県外」で完了することを決定しているのであれば、中間貯蔵施設も福島県外に建設し、そのまま続けて同場所において放射性セシウムの放射能が十分に減衰するまで百年間の管理をすればよいのではないかと考えるが、この方法に関する内閣の見解を伺う。
二 中間貯蔵施設の建設予定地等について
@ 「中間貯蔵施設等の基本的考え方」において、仮置き期間を「三年程度」としている根拠を伺う。
A 「中間貯蔵施設等の基本的考え方」において、中間貯蔵期間を「三十年以内」としている根拠を伺う。
B 中間貯蔵施設の建設予定地名を伺う。また、その場所が中間貯蔵施設建設の最適地だと考える理由を伺う。
C 中間貯蔵施設を建設するために、中間貯蔵施設建設予定地周辺住民による「同意」は必要なものだと考えているか。
D 仮に必要だとすれば、同意を得るべき周辺住民の定義を伺う。
E 中間貯蔵施設建設予定地周辺住民に対しては、具体的にどのような事項を説明するのか。
F 中間貯蔵施設建設の着工までに必要な手続きにつき、具体的に列挙されたい。
G 中間貯蔵施設の設計には着手しているのか。まだだとしたら、いつまでに設計を完成させるのか。
H 中間貯蔵施設の管理や運営の方法と体制については、決定しているのか。まだだとしたら、いつまでに決定するのか。
I 仮に中間貯蔵施設の建設が遅延した場合には、仮置きが長期に及び、除去土壌等の風雨による飛散・拡散リスクを増大させることとなる。野田内閣は「三年程度」としている仮置き期間に責任を持つ覚悟か。
J 野田内閣は、除去土壌等を三十年以内に中間貯蔵施設から最終処分場に移すとしているが、最終処分場予定地の環境アセスメント、調査、地域住民の同意、設計、施工に時間を要することから、早急な予定地の選定が必要である。最終処分場の整備場所の選定には着手したのか。
右質問する。