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平成二十四年二月九日提出
質問第五七号

発電用原子炉の運転可能期間を「四十年」または「六十年」と定める技術的根拠等に関する質問主意書

提出者  高市早苗




発電用原子炉の運転可能期間を「四十年」または「六十年」と定める技術的根拠等に関する質問主意書


 野田内閣は、平成二十四年一月三十一日に「原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案」(以下、「原子力組織制度改革法案」)を閣議決定した。
 同法律案は、発電用原子炉を運転することができる期間を、「最初に使用前検査に合格した日から起算して四十年」と規定している。当該期間満了に際しては、環境大臣の認可を受けて、「二十年を超えない期間」を限度として、一回に限り延長できることとしている。
 野田内閣が発電用原子炉の寿命を「四十年」または「六十年」と定めようとする必然性及び技術的根拠が不明である。
 従って、次の事項について質問する。

一 福島第一原子力発電所事故と原子炉老朽化の関係について
 @ 平成二十四年一月三十一日に細野豪志原子力事故担当大臣が発表した「原子力組織制度改革法案等の閣議決定に当たって」には、「今般の事故の教訓を踏まえて、規制制度全体を強化する」、「発電用原子炉について運転できる期間を原則として四十年とする」と記されている。細野大臣が言う「今般の事故の教訓」の中で、「発電用原子炉について運転できる期間」に関係する教訓を具体的に挙げられたい。
 A 私は、福島第一原子力発電所の事故原因に「原子炉の老朽化」は含まれないものだと理解していた。しかし、前記の細野大臣による発表文書を読む限り、事故原因に「原子炉の老朽化」が含まれており、その教訓を踏まえて「原子力組織制度改革法案」で発電用原子炉の運転可能期間を四十年と規定したものと考えざるを得ない。福島第一原子力発電所の事故原因に「原子炉の老朽化」が含まれていたのか否かを確認する。
二 原子炉の寿命を定めた技術的根拠等について
 @ 「原子力組織制度改革法案」において、発電用原子炉の運転可能期間について「四十年」と規定した技術的根拠を伺う。併せて、「四十年運転しても、安全上の問題がない」と判断した技術的根拠も伺う。
 A 「原子力組織制度改革法案」において、発電用原子炉の運転可能期間について、一回限りの延長が認可された場合にも「最長六十年」とした技術的根拠を伺う。
 B 発電用原子炉の運転可能期間について、最長六十年への延長を認可する場合の審査項目と基準を伺う。
 C 原子力発電所で使用されている炉内構造物、上蓋、炉容器、蒸気発生器、中央制御盤などの機器は、全て交換が可能である。最新の技術が導入された設備や機器に取り替えることによって、発電所全体として必要な機能や性能を維持していくことは可能だと考えるが、メンテナンスを続けたとしても、「四十年」または「六十年」を超えると安全性の確保は困難だと考えているのか。そう考えるとするならば、その理由を伺う。
 D 古いプラントでも、一部のプラントでは新しいプラントと同等以上の性能を示していると聞く。例えば、昭和五十二年に運転を開始した四国電力の伊方発電所は、高い設備利用率を維持してきた。「発電用原子炉の運転期間」ではなく、「個々のプラントの性能」をチェックして寿命を決めるべきではないかと考えるが、そうしない理由を伺う。
三 これまでの高経年化対策への評価について
 日本の原子力発電所では、義務付けられている定期検査によって各機器の点検を行い、必要に応じて機器の交換や修理を行っている。現在は、運転開始以降十年毎に定期安全レビューを実施し、経年変化に対する評価をすることが義務付けられている。運転開始後三十年を超える前には、経年変化に対する評価に加え、長期保全計画を策定することとなっている。
 また、平成二十年九月の省令改正により、通常の定期検査で行う保全と高経年化対策のために策定される長期保全計画は「保全プログラム」に集約され、関連する機器・構築物の保全活動を行っている。
 更に、他の発電所で発生した事故・故障の水平展開や最新技術を導入した設備・機器への取替えも行っている。
 以上の点を踏まえ、次の質問をする。
 @ 現在の高経年化対策につき、野田内閣が不十分だと考えている点につき、具体的に列挙し、その理由を述べられたい。
 A 現在の高経年化対策を行った上でも、「運転年数が増えることにより、トラブルが多く発生する」という事実が確認されているのか。確認されているとするならば、具体例を伺う。

 右質問する。



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