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平成二十四年三月十二日提出
質問第一三三号

「休眠口座」に関する質問主意書

提出者  田中康夫




「休眠口座」に関する質問主意書


 金融は医療や教育と共に「制度資本」のひとつであり、大気・土壌等の「自然環境」、交通機関・情報基盤等の「社会基盤」と並んで、「社会的共通資本」を構成している。が、この制度資本を担う日本の金融機関の大半は、「休眠口座」預金を自らの収益として会計処理している。こうした処置は、法律で定められた行為ではない。
 私は、二〇一〇年一〇月七日の衆議院本会議に於ける代表質問から今年二月二八日の予算委員会に至るまで本会議、予算委員会で計七回、社会的共通資本としての「休眠口座」預金の公的な活用を、イギリスに倣って実現すべきと提言してきた。
 こうした中、国民の間でも、金融機関の“不労所得”となっている現状への疑問の声が高まり、古川元久・内閣府特命担当大臣も二月一七日、二月二八日両日の予算委員会で、「この休眠預金というのは、言ってみれば余り活用されていない、そういう資金のひとつだ」、「成長ファイナンス推進会議のもとに大臣政務官級の実行会議を設置して、具体的な検討を進めていく」と答弁するに至った。
 金融機関の収益として会計処理されている「休眠口座」預金の扱いに関し、公的な活用を求める輿論は着実に高まっており、それに応える上でも公的な第三者機関による一元管理の可及的速やかなる体制整備が不可欠である。
 この観点に立ち政府に対し、以下に質問する。

一 「休眠(睡眠)口座」の現状
 「休眠口座」の扱いに関しては、一般社団法人・全国銀行協会に「睡眠預金については利益金として計上することとして差し支えない」旨の内規(ガイドライン)があり、金融業界全体がこれに倣っている。
 1 この事実を把握しているか。
 2 把握しているとすれば、何時知ったか。
 3 この事実をどう考えるか。
  金融業界からは概ね以下のような説明・発言がなされている。
 ▼「確かに、金融機関においては一定期間払い戻しのない預貯金を利益計上していますが、これは、あくまでも会計上・税務上の要請にもとづく適切な決算処理のためであり・・」=全国銀行協会など業界七団体が平成二三年五月三〇日付で内閣府の政策統括官付参事官宛てに提出した「『新しい公共』による被災者支援活動等に関する制度等のあり方について」に対する意見、と題する文書=
 ▼「こういう制度はおかしいのではないかというのは業界内部にある」、「税金のときにそれをやらないと重加算税を課すとか、そういう指導があったのでやった」、「一〇年よりもっと前からやっている」=「成長ファイナンス推進会議」翌日(二月一六日)に行われた記者会見での全国銀行協会・永易克典会長(三菱東京UFJ銀行代表取締役頭取)発言=
  上記を踏まえ以下に関し、具体的回答を求める。
 4 金融業界や永易会長の発言は正しいか。
 5 「休眠預金」の扱いに関し、税務当局が銀行協会に対し何らかの要請、指導をした事実があるのか。
 6 あるとすれば何時、どのような形で、どのような内容か。関係文書に基づき回答されたい。
 7 指導の根拠は何か。
 8 「休眠預金」の利益計上はいつ始まったのか。
 9 この間、利益計上された「休眠預金」の総額およびこれに伴い納付された税額を全国銀行協会、全国地方銀行協会、信託協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、農林中央金庫、労働金庫、JA(農協)バンク、JF(漁協)マリンバンクそれぞれについて単年度ごとに明らかにされたい。三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングスに関しても、傘下の金融機関に関し個別に数字の開示を求める。
 10 仮に監督官庁が把握していない年度の「休眠預金」の金額があるとすれば、それは如何なる事由によるか。
二 郵便貯金について
 旧郵便貯金法二十九条で、満期日から一〇年間放置された定額郵便貯金は「睡眠」状態に移行し、さらに一〇年間放置、即ち二〇年間を経過して催告をした後二ヶ月経っても払戻請求がない場合には、預金者の権利は消失し、国庫に納付すると定められている。
 「民営化」後も、郵便貯金・簡易生命保険管理機構法二十五条の規定で、同様に国庫に納付されている。以下に関し、具体的に明らかにされたい。
 1 同じ金融機関でありながら、銀行等と扱いが異なるのは整合性を欠くと考えるが、異なる扱いになった理由は何か。
 2 扱いが異なる現状をどう見るか。
 3 「睡眠」状態への移行時、あるいは権利消滅時に、文書で払い戻し手続きを呼び掛けているというが、各年の呼びかけ数とこれに対する回答数はどうなっているか。
 4 回答があったケースのうち本人確認が取れず払い戻しに応じなかった数。
 5 国庫に入った定額貯金の口座数と額(単年度ごとに)。
 6 国庫に入った金の使途。
 7 民営化後、定額以外の郵便貯金はゆうちょ銀行に引き継がれているが、将来、休眠口座が発生し、預金者が払い戻しを求めた場合、どう対応するか。
 8 7に関し、その具体的規定があれば示されたい。
三 口座の現状
 先の全国銀行協会長の会見で、わが国の金融機関にある口座は外国に比べ異常に多いと述べている。また二〇〇三年に禁止されるまで「仮名口座」も認められていたのは報道等でも広く知られるところである。以下に関し、説明を求める。
 1 国内の金融機関に設けられている口座数は全体でいくらか。
 2 何故このように膨大な数字になったと考えるか。
 3 「仮名口座」は外国でも、取り分け「先進国」でも認められているのか。
 4 わが国で「仮名口座」が認められた理由はなにか。
 5 「仮名口座」は全体の口座数のうち、どの程度を占めると見るか。
四 休眠口座の管理
 先の全国銀行協会長の会見でも、各金融機関は「休眠口座」移行に際し預金者に連絡するほか、移行後も払い戻しに備え大きな負担を払って口座を維持管理しているという。以下、各点を明らかにされたい。
 1 「休眠口座」の存在を知ったのは何時か。
 2 「休眠口座」に移行した年度ごとの口座数。
 3 連絡通知発送数と利用者からの回答数。
 4 回答があったものの本人確認に至らず払い戻しに応じなかった口座数。
 5 口座を維持管理する上で必要な費目は何か。
 6 維持管理に関する費用を費目、年度ごとに示されたい。
 7 三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングスに関しては傘下の金融機関毎に、現在管理している休眠口座数とこれに要する単年度ごとの費用を明らかにされたい。
五 世界の動き
 外国では「休眠口座」を銀行から切り離し、国や公的団体が預金を公益のために活用するケースが増えている。
 1 こうした流れをどう評価するか。
 2 わが国が同様の選択をする場合、特段の問題点があるか。
 3 問題があるとすれば具体的に指摘されたい。
六 その他
 1 仮に公的な第三者機関で「休眠口座」を一元管理する場合、毎年、新たに「休眠口座」に移行する口座を第三者機関に移す必要があると判断する。この点に関する見解を問う。
 2 郵便貯金関係と一般銀行、さらに一般銀行の中でも二年以上、取引のない口座を「休眠口座」として管理手数料を取るりそな銀行など金融機関の対応にバラツキがある。これをどう考えるか。
 3 この点に関し、監督官庁から文書による何らかの指導、通達は行っているのか。
 4 一般社団法人の全国銀行協会が内規で規定した前述の「休眠口座」預金に関する取り扱いを、他の金融機関は具体的規定も設けぬまま、追従していた点に関し、現在の監督官庁たる金融庁、農林水産省、及びそれ以前の監督官庁はそれぞれ、如何なる認識に立っていたか示されたい。

 右質問する。



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