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平成二十四年三月十二日提出
質問第一三五号

国土交通省の八ッ場ダム検証における複数治水対策案に関する質問主意書

提出者  塩川鉄也




国土交通省の八ッ場ダム検証における複数治水対策案に関する質問主意書


 私は、八ッ場ダム建設中止を一貫して求め、流域住民と力を合わせて取り組んできたが、民主党も、二〇〇九年の総選挙で八ッ場ダム中止の公約を掲げ、政権交代直後には、八ッ場ダム中止を表明した。ところが、昨年、国土交通省は、「事業継続は妥当」とする「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書」(以下、報告書)をまとめると、野田内閣は、この検証結果に沿って、八ッ場ダムの事業継続に舵を切った。国民の願いを踏みにじるものと言わざるをえない。「報告書」の洪水調整の観点からの検討においても、複数の対策案のコスト等の算定のもとになった数値が開示されていないなど、そもそも、「事業継続は妥当」とした「報告書」の評価そのものが検証されなければならない。

@ 「報告書」は、「八斗島地点上流の洪水調節については、既設のダムや河川空間等の既存ストックを有効に活用するという観点が重要であると考えて、「八ッ場ダムを含む案」においては、検討の前提となる八ッ場ダムの他、現在の施設・河川空間の活用により、八斗島上流部の洪水調節が現実的にどの程度可能であるかという検討を行った。具体的には、これまでの利根川上流ダム群再編事業における検討内容も踏まえ、奈良俣ダムと藤原ダムの容量振り替えや洪水調節方式の見直し、烏川における広大な河川空間の調節池化、さらに、八ッ場ダムの洪水調節方式の見直しにより、八斗島上流部において、ダム等がない場合の流量である17,000m3/Sに対して3,000m3/S程度の洪水調節が可能であるとの結果を得た」としている。「ダム等がない場合の流量である17,000m3/Sに対して3,000m3/S程度の洪水調節が可能である」とすれば、「八ッ場ダムを含む案」では、八斗島下流部において、17,000m3/S−3,000m3/S=14,000m3/Sの流量に対応する治水対策が必要と考えるが、「八ッ場ダムを含む案」では、八斗島下流部において、どれだけの流量に対応することとしているか明らかにされたい。
A 表4−2−4において、「ダム案」は、「河川整備計画相当の目標流量を河川からの氾濫なく安全に流すことが出来る」と明記されている。「報告書」は、「今後、上記8洪水により八ッ場ダムの検証における複数の治水対策案の検討を行うこととする」(以下、「8洪水」)(「報告書」4−22ページ)としている。「ダム案」が、どのように「河川整備計画相当の目標流量を河川からの氾濫なく安全に流すことが出来る」のか、八斗島上流部において、ダム等がない場合の流量である17,000m3/Sに対してどれだけの洪水調節が行われ、八斗島下流部で実施される治水対策で、どれだけの流量を受け持つことになっているのか「8洪水」それぞれについて明らかにされたい。
B 「河道掘削案」は、その実施内容の概要に、「ダム案」と同じ、「河道改修+ダム再編+烏川調節池(堤外)+調節池機能アップ」が掲げられている。「河道掘削案」においても、「ダム案」と同様に、八斗島上流部において、洪水調節が行われていると考えられる。「八ッ場ダムを含む案」では、「ダム等がない場合の流量である17,000m3/Sに対して3,000m3/S程度の洪水調節が可能である」とされているが、「河道掘削案」においては、八斗島上流部で、どの程度の洪水調節が可能であると考えて、「河道掘削案」を策定したか明らかにされたい。また、「河道掘削案」において、「治水対策案(1)と同程度の安全を確保できる」としているが、検証の対象とした「8洪水」それぞれに対して、「河道掘削案」においては、八斗島上流部において、ダム等がない場合の流量である17,000m3/Sに対してどれだけの洪水調節が行われ、八斗島下流部で実施される治水対策で、どれだけの流量を受け持つことになっているのか明らかにされたい。
C 「渡良瀬遊水地案」は、その実施内容の概要に、「ダム案」と同じ、「河道改修+ダム再編+烏川調節池(堤外)+調節池機能アップ」が掲げられている。「渡良瀬遊水地案」においても、「ダム案」と同様に、八斗島上流部において、洪水調節が行われていると考えられる。「八ッ場ダムを含む案」では、「ダム等がない場合の流量である17,000m3/Sに対して3,000m3/S程度の洪水調節が可能である」とされているが、「渡良瀬遊水地案」においては、八斗島上流部で、どの程度の洪水調節が可能であると考えて、「渡良瀬遊水地案」を策定したか明らかにされたい。また、「渡良瀬遊水地案」において、「治水対策案(1)と同程度の安全を確保できる」としているが、検証の対象とした「8洪水」それぞれに対して、「渡良瀬遊水地案」においては、八斗島上流部において、ダム等がない場合の流量である17,000m3/Sに対してどれだけの洪水調節が行われ、八斗島下流部で実施される治水対策で、どれだけの流量を受け持つことになっているのか明らかにされたい。
D 「新規遊水地案」は、その実施内容の概要に、「ダム案」と同じ、「河道改修+ダム再編+烏川調節池(堤外)+調節池機能アップ」が掲げられている。「新規遊水地案」においても、「ダム案」と同様に、八斗島上流部において、洪水調節が行われていると考えられる。「八ッ場ダムを含む案」では、「ダム等がない場合の流量である17,000m3/Sに対して3,000m3/S程度の洪水調節が可能である」とされているが、「新規遊水地案」においては、八斗島上流部で、どの程度の洪水調節が可能であると考えて、「新規遊水地案」を策定したか明らかにされたい。また、「新規遊水地案」において、「治水対策案(1)と同程度の安全を確保できる」としているが、検証の対象とした「8洪水」それぞれに対して、「新規遊水地案」においては、八斗島上流部において、ダム等がない場合の流量である17,000m3/Sに対してどれだけの洪水調節が行われ、八斗島下流部で実施される治水対策で、どれだけの流量を受け持つことになっているのか明らかにされたい。
E 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「ダム案」は、「約8,300億円、うち八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)」とされている。「八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)」の算定根拠を明らかにされたい。八ッ場ダムの残事業費全体のうち洪水調節分は、どのくらいの割合を占めるのか。その割合は、どのように算定されているのか。洪水調節分以外には、どのような機能のコストが想定されているのか。それぞれ明らかにされたい。
F 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「ダム案」は、「約8,300億円、うち八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)」とされている。約8,300億円のうち、八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)以外の内訳を示されたい。「ダム案」の「実施内容の概要」には、「河道改修+ダム再編+烏川調節池(堤外)+調節池機能アップ」の治水対策が示されている。この「実施内容の概要」にある「河道改修」「ダム再編」「烏川調節池(堤外)」「調節池機能アップ」それぞれのコストをどう見積もっているかも明らかにされたい。
G 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「河道掘削案」は、「約9,300億円、うち八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約1,700億円」とされている。ここに記載されている「八ッ場ダムの効果量」は、どのくらいか明らかにされたい。またそれは、どのように算定したのか明らかにされたい。
H 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「渡良瀬遊水地案」は、「約9,400億円、うち渡良瀬遊水地越流堤改築費等約1,800億円」とされている。この「渡良瀬遊水地越流堤改築費等約1,800億円」の算定根拠を明らかにされたい。
 「河道掘削案」の記述が、「八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約1,700億円」とされていることから推測すると、この「渡良瀬遊水地越流堤改築費等約1,800億円」は、「八ッ場ダムの効果量」に相当するものと考えられるが、その場合、「河道掘削案」にある「八ッ場ダムの効果量」に対応する「渡良瀬遊水地案」の「八ッ場ダムの効果量」は、いくらか想定しているか。また、それは、どのように算定されるのか明らかにされたい。
I 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「新規遊水地案」は、「約9,600億円、うち利根川直轄管理区間上流部新規遊水地等約2,000億円」とされている。この「利根川直轄管理区間上流部新規遊水地等約2,000億円」の算定根拠を明らかにされたい。「河道掘削案」の記述が、「八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約1,700億円」とされていることから推測すると、この「利根川直轄管理区間上流部新規遊水地等約2,000億円」は、「八ッ場ダムの効果量」に相当するものと考えられるが、その場合、「河道掘削案」にある「八ッ場ダムの効果量」に対応する「新規遊水地案」の「八ッ場ダムの効果量」は、いくらと想定しているか。また、それは、どのように算定されるのか明らかにされたい。
J 「ダム案」以外のコストを算定する場合、「河道掘削案」の記述にあるように、「八ッ場ダムの効果量に相当する」治水対策が必要となり、「河道掘削案」では、「河道掘削等」となる。ダムを含まない治水対策案において、「八ッ場ダムの効果量に相当する」治水対策の根拠となっている「八ッ場ダムの効果量」は、同じ量なのかそれぞれ別々の量なのか明らかにされたい。
K 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「河道掘削案」は、「約9,300億円、うち八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約1,700億円」とされている。「河道掘削費等」の「等」の内容を明らかにされたい。
L 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「河道掘削案」は、「約9,300億円、うち八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約1,700億円」とされている。「八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約1,700億円」以外の内訳を示されたい。「河道掘削案」の「実施内容の概要」には、「河道改修+ダム再編+烏川調節池(堤外)+調節池機能アップ」の治水対策が示されている。この「実施内容の概要」にある「河道改修」「ダム再編」「烏川調節池(堤外)」「調節池機能アップ」それぞれのコストをどう見積もっているかも明らかにされたい。
M 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「ダム案」は、「約8,300億円、うち八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)」とされており、「河道掘削案」は、「約9,300億円、うち八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約1,700億円」とされている。「ダム案」における「八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)」、「河道掘削案」における「八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約1,700億円」をそれぞれから差し引くと、約7,600億円となる。この残りの約7,600億円で行われる治水対策案において、「ダム案」と「河道掘削案」は差異があるのか。あるとすれば、どのような治水対策の差異があるのか明らかにされたい。
N 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「渡良瀬遊水地案」は、「約9,400億円、うち渡良瀬遊水地越流堤改築費等約1,800億円」とされている。「渡良瀬遊水地越流堤改築費等約1,800億円」以外の内訳を示されたい。「渡良瀬遊水地案」の「実施内容の概要」には、「河道改修+ダム再編+烏川調節池(堤外)+調節池機能アップ」の治水対策が示されている。この「実施内容の概要」にある「河道改修」「ダム再編」「烏川調節池(堤外)」「調節池機能アップ」それぞれのコストをどう見積もっているかも明らかにされたい。
O 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「ダム案」は、「約8,300億円、うち八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)」とされており、「渡良瀬遊水地案」は、「約9,400億円、うち渡良瀬遊水地越流堤改築費等約1,800億円」とされている。「ダム案」における「八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)」、「渡良瀬遊水地案」における「渡良瀬遊水地越流堤改築費等約1,800億円」をそれぞれから差し引くと、約7,600億円となる。この残りの約7,600億円で行われる治水対策案において、「ダム案」と「渡良瀬遊水地案」は差異があるのか。あるとすれば、どのような治水対策の差異があるのか明らかにされたい。
P 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「新規遊水地案」は、「約9,600億円、うち利根川直轄管理区間上流部新規遊水地等約2,000億円」とされている。「利根川直轄管理区間上流部新規遊水地等約2,000億円」以外の内訳を示されたい。「新規遊水地案」の「実施内容の概要」には、「河道改修+ダム再編+烏川調節池(堤外)+調節池機能アップ」の治水対策が示されている。この「実施内容の概要」にある「河道改修」「ダム再編」「烏川調節池(堤外)」「調節池機能アップ」それぞれのコストをどう見積もっているかも明らかにされたい。
Q 表4−2−5の「コスト」の欄の「完成するまでに要する費用はどのくらいか」において、「新規遊水地案」は、「約9,600億円、うち利根川直轄管理区間上流部新規遊水地等約2,000億円」とされている。「ダム案」は、「約8,300億円、うち八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)」とされており、「ダム案」における「八ッ場ダム残事業費約700億円(洪水調節分)」、「新規遊水地案」における「利根川直轄管理区間上流部新規遊水地等約2,000億円」をそれぞれから差し引くと、約7,600億円となる。この残りの約7,600億円で行われる治水対策案において、「ダム案」と「新規遊水地案」は差異があるのか。あるとすれば、どのような治水対策の差異があるのか明らかにされたい。
R 複数治水対策案のコストの比較検証を行ううえで、そのコスト計算根拠となっているのは、「河道掘削案」の記述にあるように、「八ッ場ダムの効果量」である。「八ッ場ダムの効果量」が八ッ場ダム以外の治水対策四案のコストを直接左右するにもかかわらず、「報告書」には、「八ッ場ダムの効果量」の大きさの記述もなければ、その算定方法、算定根拠も明らかにされていない。これでは、この「報告書」が行った洪水調節機能の検証が正しかったかを判断することができないと考えるが、野田内閣の見解を問う。

 右質問する。



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