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平成二十四年三月二十一日受領
答弁第一三五号

  内閣衆質一八〇第一三五号
  平成二十四年三月二十一日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員塩川鉄也君提出国土交通省の八ッ場ダム検証における複数治水対策案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員塩川鉄也君提出国土交通省の八ッ場ダム検証における複数治水対策案に関する質問に対する答弁書



@及びAについて

 御指摘の「八ッ場ダムを含む案」の検討に当たっては、平成二十三年十一月に国土交通省関東地方整備局が公表した「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書」(以下「検討報告書」という。)に示す複数の治水対策案の検討に当たって対象とした八洪水(先の答弁書(平成二十四年三月九日内閣衆質一八〇第一一二号)一から三までについてでお答えした「八洪水」をいう。以下同じ。)の降雨波形について、八斗島地点の流量が、洪水調節施設のない場合に毎秒一万七千立方メートルとなるように雨量を調整し、「八ッ場ダムを含む案」において想定した洪水調節施設が全て完成したと仮定した場合に、流出計算モデル(先の答弁書一から三までについてでお答えした群馬県が管理するダムの洪水調節効果等を見込めるように設定した流出計算モデルをいう。以下同じ。)により同地点における流量を計算したところ、八洪水のうち最大となる流量は毎秒約一万四千百六十立方メートルであり、同地点から渡良瀬川合流地点までの区間、同地点から江戸川分派地点までの区間、同地点から芽吹地点までの区間、新大利根橋地点から利根川河口地点までの区間及び江戸川全区間(以下「五区間」という。)それぞれにおける流量を計算したところ、八洪水のうち最大となる流量を生じた洪水名及びその流量は、区間ごとに示すと、次のとおりである。
 八斗島地点から渡良瀬川合流地点までの区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約一万四千百八十立方メートル
 渡良瀬川合流地点から江戸川分派地点までの区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約一万四千百立方メートル
 江戸川分派地点から芽吹地点までの区間 昭和五十七年七月三十一日から発生した洪水 毎秒約八千九百五十立方メートル
 新大利根橋地点から利根川河口地点までの区間 平成十年九月十四日から発生した洪水 毎秒約八千五百四十立方メートル
 江戸川全区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約五千二十立方メートル

BからDまでについて

 御指摘の「河道掘削案」、「渡良瀬遊水地案」及び「新規遊水地案」の治水対策案の検討に当たっては、八洪水の降雨波形について、八斗島地点の流量が、洪水調節施設のない場合に毎秒一万七千立方メートルとなるように雨量を調整し、「八ッ場ダムを含む案」において想定した八ッ場ダム以外の洪水調節施設が全て完成したと仮定した場合に、流出計算モデルにより同地点における流量を計算したところ、八洪水のうち最大となる流量は毎秒約一万五千七百六十立方メートルであり、五区間それぞれにおける流量を計算したところ、八洪水のうち最大となる流量を生じた洪水名及びその流量は、「河道掘削案」、「渡良瀬遊水地案」及び「新規遊水地案」のそれぞれについて、区間ごとに示すと、次のとおりである。
 (1) 河道掘削案
  八斗島地点から渡良瀬川合流地点までの区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約一万五千八百十立方メートル
  渡良瀬川合流地点から江戸川分派地点までの区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約一万四千六百二十立方メートル
  江戸川分派地点から芽吹地点までの区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約九千二百三十立方メートル
  新大利根橋地点から利根川河口地点までの区間 平成十年九月十四日から発生した洪水 毎秒約八千六百五十立方メートル
  江戸川全区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約五千百八十立方メートル
 (2) 渡良瀬遊水地案
  八斗島地点から渡良瀬川合流地点までの区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約一万五千八百十立方メートル
  渡良瀬川合流地点から江戸川分派地点までの区間 昭和五十七年七月三十一日から発生した洪水 毎秒約一万四千四百六十立方メートル
  江戸川分派地点から芽吹地点までの区間 昭和五十七年七月三十一日から発生した洪水 毎秒約九千百八十立方メートル
  新大利根橋地点から利根川河口地点までの区間 平成十年九月十四日から発生した洪水 毎秒約八千四百六十立方メートル
  江戸川全区間 昭和五十七年七月三十一日から発生した洪水 毎秒約五千百立方メートル
 (3) 新規遊水地案
  八斗島地点から渡良瀬川合流地点までの区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約一万五千七百五十立方メートル
  渡良瀬川合流地点から江戸川分派地点までの区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約一万四千三百十立方メートル
  江戸川分派地点から芽吹地点までの区間 昭和五十七年七月三十一日から発生した洪水 毎秒約九千八十立方メートル
  新大利根橋地点から利根川河口地点までの区間 平成十年九月十四日から発生した洪水 毎秒約八千六百三十立方メートル
  江戸川全区間 昭和三十四年八月十二日から発生した洪水 毎秒約五千八十立方メートル

Eについて

 お尋ねの「約700億円」は、八ッ場ダム建設事業の検証における残事業費である約千三百億円から特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第四条の規定に基づき作成された「八ッ場ダムの建設に関する基本計画」(昭和六十一年建設省告示第千二百八十四号)に定める発電に係る費用負担割合である千分の一に相当する額を差し引いて得た額に、特定多目的ダム法施行令(昭和三十二年政令第百八十八号)第一条の二に規定する分離費用身替り妥当支出法により八ッ場ダムの洪水調節分の負担割合として算出した千分の五百二十五を乗じて得たものである。
 残事業費には、洪水調節に係る費用以外に、流水の正常な機能の維持、都市用水の補給及び発電に係る費用が含まれる。

FからJまで及びLからQまでについて

 お尋ねの検討報告書の表四−二−五(以下単に「表」という。)の「河道掘削案」における「八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約一七〇〇億円」は、「河道掘削案」における完成までに要する費用と、「ダム案」における完成までに要する費用から八ッ場ダムの洪水調節に係る残事業費(以下「洪水調節残事業費」という。)を差し引いて得た費用との差分である。「渡良瀬遊水地案」における「渡良瀬遊水地越流堤改築費等約一八〇〇億円」は、「渡良瀬遊水地案」における完成までに要する費用と、「ダム案」における完成までに要する費用から洪水調節残事業費を差し引いて得た費用との差分である。「新規遊水地案」における「利根川直轄管理区間上流部新規遊水地等約二〇〇〇億円」は、「新規遊水地案」における完成までに要する費用と、「ダム案」における完成までに要する費用から洪水調節残事業費を差し引いて得た費用との差分である。また、お尋ねの「河道掘削案」、「渡良瀬遊水地案」及び「新規遊水地案」の治水対策案の検討に当たっては、御指摘の「八ッ場ダムの効果量」の数値は、各治水対策案の費用の算定において用いる必要がなかったことから算出していない。
 お尋ねの表の「ダム案」における「八ッ場ダム残事業費約七〇〇億円(洪水調節分)」、「河道掘削案」における「八ッ場ダムの効果量に相当する河道掘削費等約一七〇〇億円」、「渡良瀬遊水地案」における「渡良瀬遊水地越流堤改築費等約一八〇〇億円」及び「新規遊水地案」における「利根川直轄管理区間上流部新規遊水地等約二〇〇〇億円」以外の完成までに要する費用の内訳は、いずれも、河道掘削が約二千九百億円、樹木伐採が約六十億円、稲戸井調節池、田中調節池、玉村第一調節池から同第四調節池まで並びに上里第一調節池及び同第二調節池の整備が約千六十億円、行徳可動堰、江戸川水閘門及び江戸川の分派対策に必要となる構造物の改築が約三百七十億円、ダム再編が約二十億円、首都圏氾濫区域堤防強化対策が約千七百億円、築堤が約千億円、高潮堤防が約六十億円、浸透対策が約三百三十億円、高規格堤防が約八十億円、防災関連施設が約九十億円である。
 また、表の「治水対策案と実施内容の概要」(以下単に「概要」という。)における「河道改修」に要する費用については、八斗島地点における河川整備計画相当の目標流量である毎秒一万七千立方メートルに対して、同地点上流域の洪水調節施設により洪水調節を行った上で、計画高水位以下で安全に洪水を流下させるように河道断面を設定し、当該河道断面を確保するために必要となる河道掘削等に要する費用を見積もっている。
 概要における「ダム再編」に要する費用については、藤原ダム及び奈良俣ダムの容量振替並びに洪水調節方式の見直しに要する費用を見積もっている。
 概要における「烏川調節池(堤外)」の整備に要する費用については、烏川における広大な河川空間の調節池化に要する費用を見積もっている。
 概要における「調節池機能アップ」に要する費用については、稲戸井調節池の掘削及び田中調節池の改築に要する費用を見積もっている。

Kについて

 お尋ねの「等」については、八斗島地点下流域における「河道掘削案」の検討に用いた八洪水のうち最大となる流量を計画高水位以下で安全に流下させるために必要となる利根大堰の改築、河道内の樹木伐採等に要する費用を含んでいる。

Rについて

 八ッ場ダム建設事業の検証における同ダムを含まない複数の治水対策案の検討については、同ダムを含む案の検討において想定した同ダム以外の八斗島地点上流域における洪水調節施設が全て完成したと仮定した場合に得られる、五区間それぞれにおける、八洪水のうち最大となる流量を計画高水位以下で安全に流下させるための河道断面を設定して行っており、同ダムを含まない案における河道分担流量と、同ダムを含む案における河道分担流量との差分は用いていない。
 なお、「八ッ場ダムの洪水調節量」については、先の答弁書の十一についてでお答えしたとおりである。



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