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平成二十四年四月二十四日提出質問第二一〇号
「個人債務者の私的整理ガイドライン」の利用状況に関する質問主意書
提出者 秋葉賢也
「個人債務者の私的整理ガイドライン」の利用状況に関する質問主意書
東日本大震災の影響により住宅ローンや事業性ローン等の債務の返済が困難になった個人債務者については、その既往債務の整理を円滑に進め、その生活や事業の再建を支援するため、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)が平成二十三年七月に策定され、同年八月より運用が開始されている。
このガイドラインを利用して債務整理をした場合、破産手続と異なり個人信用情報の登録などの不利益が回避できるなど、被災者の生活再建に一定の役割を果たす点は評価できるものの、その利用状況は今のところ低迷している。金融庁が被災三県(岩手県、宮城県、福島県)に所在する金融機関からヒアリングした結果では、昨年十二月末現在で震災以降に約定返済停止等を行っている債務者数は約一万八千八百人(うち住宅ローン約六千人)に上っており、今後の債務整理のニーズは多いであろうと見込まれるのに対し、ガイドラインを利用し、債務整理の成立に向けて準備段階に入った件数は、本年四月十三日まででわずか五百八十四件にとどまっている。また、本年三月二日の衆議院財務金融委員会における政府答弁によると、このうち成立に至った件数は、同日までに僅か三件とのことである。
これらを踏まえ、以下質問する。
二 一般社団法人個人版私的整理ガイドライン運営委員会のホームページで毎週発表している「個人版私的整理ガイドラインお問い合わせ件数等」において、成立件数を公表していないのはなぜか。
三 これまでガイドラインの利用が停滞している理由について、政府としてどのように分析しているか。
四 ガイドライン利用以前の問題として、ガイドラインの存在自体を知らない被災者や、利用による費用負担に不安を抱いている被災者も多いと考えるが、政府として制度周知のためどのような取組をしているか。
五 被災者が利用に踏み切れない要因として、残せる手元資金の上限が五百万円であることも一因である。これについては、本年一月より法定の九十九万円から拡張する措置がとられたことは評価するが、被災者の多くは、自らの責によることなく、未曾有の自然災害によって住宅も仕事も奪われたのであり、その生活再建に当たっては特段の配慮をすべきである。手元資金の上限については、被災者の再建ニーズに合わせて、さらなる引上げを含めた柔軟な取扱いが必要ではないかと考えるが、政府の見解如何。
右質問する。