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平成二十四年五月二十九日提出質問第二七一号
漢字「碍」の常用漢字への追加に関する質問主意書
漢字「碍」の常用漢字への追加に関する質問主意書
二十九年ぶりに常用漢字表の改定が行われ、新しい常用漢字が文化審議会の答申を受けて平成二十二年十一月三十日に内閣告示された。この結果、「鬱」「賂」「淫」など百九十六字もの漢字が追加された。
文化審議会漢字小委員会がまとめた改定試案に対する意見募集では、第一次、第二次の試案、いずれにおいても「碍」の追加要望が数多く寄せられ、内閣告示の約三ヶ月前に行われた、障がい者制度改革推進会議の「『障害』の表記に関する作業チーム」が行った意見募集では、「障碍」と「障害」を支持する意見が、ともに約四割だった。それにもかかわらず、「碍」は新しい常用漢字として追加されなかった。
「害」には否定的印象が強いとして、自治体においては条例や部署名等に「障がい」を使用する例が各地で見受けられる。一方で、「碍」が常用漢字化されれば、それを使用する方向で検討するといった自治体もある。ただし、「碍」は常用漢字表にはない文字であり、現段階では検討することさえできない。まずは「碍」を常用漢字に加え、「障がい」等と同じ条件で表記の検討が行われるようにすべきであると考える。
この表記をめぐる議論では、「表記だけ変えても仕方ない」「差別や偏見を取り除くことが先決」とする見方がある一方、「言葉を変えると意識や社会のシステムが変わる」「『害』を不快に思う人がわずかでもいるなら配慮すべき」といった意見もある。また、我が国は障害者権利条約の批准に向けた準備をしているところであるが、「この条約の外務省の仮訳は『障害』を使用しているが、漢字圏では『障碍』が一般的である」との指摘もある。
こうした事実を踏まえ、以下質問する。
二 現行の常用漢字は全て「一」の基準を充たしていると考えるか。
三 「碍」を新常用漢字表に加えなかった理由は何か。
四 中国、韓国等、漢字圏においては、我が国が法律等で表記する「障害者」と同様の使用例はあるか。
五 内閣として「碍」を常用漢字表へ追加する意向はあるか。
六 障がい者制度改革推進会議の「障害者制度改革の推進のための第二次意見」では「障害」の表記の「今後の取組」として「今後、更に推進会議においても検討を進め、意見集約を図っていく必要がある」「『碍』を常用漢字に追加するよう提言することの適否について、併せて検討すべきである」としているが、第二次意見がまとめられた平成二十二年十二月から現在までの約一年半の間、推進会議で「検討」「意見集約」が行われた事実はあるか。また、国は推進会議の実質的な後継組織である障害者政策委員会に「検討」「意見集約」を促していく考えはあるか。
七 障がい者制度改革推進本部での議論で、「碍」を追加するべきといった結論に至った場合、国は直ちに文化審議会に検討を要請するのか。
右質問する。