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平成二十四年六月一日提出質問第二七四号
文化芸術振興に関する質問主意書
提出者 馳 浩
文化芸術振興に関する質問主意書
文化芸術は人々の心を育み、創造性をかきたて、心の豊かさを実感することが出来、日々の生活の活力となる。また国そのもののアイデンティティーとして、そのブランド力を高めることは多角的な面から国益に資する。我が国が誇る文化芸術を世界に発信することで、日本への関心や好感度を高め、世界に日本の価値をアピールし、かつ輸出産業としても大きな効果が期待出来る。
地域では、それぞれの特性を活かした文化芸術活動が行われており、地域住民により身近なコミュニティーツールとして活用されている。また観光などを通じた地域の活性化にも大きな貢献を果たしており、我々の生活の一部として欠かすことが出来ない存在であることから、国家戦略として文化芸術振興に取り組むことが必要である。
以上を踏まえ、以下の事項について質問する。
二 東日本大震災によって多くの方々が心に大きな傷を負い、その後も不安定な生活を余儀なくされている。そうした中で文化芸術は被災者の方々の心に安らぎを与え、希望をもたらし、被災地復興に大きな力を及ぼすものと認識している。政府は文化芸術が被災地復興にどのような影響をもたらすものとお考えか。また、復興に向け被災地の文化芸術活動の振興に取り組むべきでないか、見解を示されたい。
三 文化芸術に対する国の財政措置が脆弱であることはこれまでも指摘されてきた。日本の国家予算における文化予算の割合は概ね〇,一一%であり、フランスの〇,八六%、韓国の〇,七九%と諸外国と比べても極めて低い水準である。文化力は国力そのものであり、文化芸術を国家政策の根幹としていくためにも、より文化予算を充実させていくことが必要ではないか、政府の見解は如何。
四 文化芸術を支えているのは、国家予算以外に、民間寄付が重要な役割を果たしている。これまでも個人や法人による寄付金への税制面の優遇措置を行ってきたものと承知しているが、諸外国と比べると民間寄付の面でも低い水準にある。文化芸術振興を支える、個人寄付や企業のメセナ活動などをより推進していくための施策が必要ではないか、政府の見解は如何。
五 三、四に関連して、国家予算による公的支援を中心とするフランス型、また公的支援は少額であるが寄付金の比重が高いアメリカ型があるが、日本の文化芸術政策にとって、将来的にはどちらの形態を目指していくほうが適していると認識しているか、政府のビジョンを示されたい。
六 日本の文化芸術は海外から高く評価されており、日本の新たな成長分野として輸出産業、観光資源など大きな可能性を持っている。文化芸術を発信することで、他国の日本の伝統や文化への理解を深め、また震災からの復興を海外に向けて示すことが出来る。このように日本の文化芸術産業のブランド価値を高めていくためにも、官民一体となった、海外に向けた売り込み戦略が必要であると考えるが、政府の見解と現在の取り組みについて示されたい。
七 文化芸術立国として、その地位を確立していくには次世代を担う人材の育成は欠かすことの出来ない取り組みであるが、現在の日本の状況は決して充分なものとは言えず、これまで芸術家の熱意や犠牲的精神に支えられてきたものと承知している。芸術家がその活動に集中できる環境の整備が必要であり、人材育成を重点的に行っていくべきと考えるが、政府の認識は如何。
八 文化芸術は地域においても貴重な観光資源であり、地域の特性を活かした文化芸術活動が住民同士の交流や生活に重要な役割を果たしている。
その一方で、都市部と地方において文化芸術の鑑賞機会の格差が存在するなど、実演者、劇場が都市部へ一極集中している状況を指摘されている。こうした都市部と地方の文化間格差を解消し、芸術拠点を充実させ、地方でも文化芸術の体験機会を享受できるような環境整備が必要だと考えるが、政府の見解は如何。
右質問する。