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平成二十四年六月十八日提出
質問第三〇〇号

市街化区域農地への「農地に準じた課税」に関する再質問主意書

提出者  吉泉秀男




市街化区域農地への「農地に準じた課税」に関する再質問主意書


 市街化区域農地への「農地に準じた課税」に関し、去る六月四日に提出した質問主意書(質問第二百七十五号)の一で、「農地に準じた課税」における増税開始年度は、地方税法附則第十九条が改正され、農地課税に「負担調整率」が登場した昭和五十一年度であることの確認を求めた。答弁書は、市街化区域農地に関し、昭和三十八年度の農地としての固定資産税額より、当該年度の宅地比準価格による固定資産税額の方が低額の場合があるので、昭和四十七年度から昭和五十年度の期間においても「宅地並み評価」を基礎に課税された場合があったと指摘した。理論的にはそうだが、そのようなケースは非常に希だと考えられる。昭和四十六年七月九日の朝日新聞によると、昭和四十七年度からの課税を目ざして昭和四十六年七月八日の中央固定資産評価審議会で市街化区域農地の価額評価基準が定められたのを受け、当時の自治省固定資産税課が、市街化区域農地の平均評価額が約五十倍になるという試算を公表しているからである。
 その後も宅地の値上がりは継続したので、平成二十二年度の総務省統計で現状を確認する。「農地に準じた課税」対象農地は、農地として評価され課税されている一般農地に比較し、平均で、田は評価額が約百八十四倍、税額が約四十五倍で、畑は評価額が約六百三十倍、税額が約百七倍である。評価額より税額の倍率が低いのは、市街化区域農地に三分の一の課税標準特例があることに加え、地方税法附則第十九条による負担調整で増税途上の農地が多いためである。質問第二百七十五号で述べたように、「農地に準じた課税」対象農地のうち、いわゆる本則課税に達しているのは田の四十四パーセント、畑の二十パーセントで、残りではまだ増税が継続している。固定資産税を昭和三十八年度の農地税額以下に維持していた地方税法附則第十九条を改正し、昭和五十一年度から年最高二割(現在は年最高一割)の段階的な負担調整による増税に道を開いた結果が、長年にわたって積もり積もって、一般市街化区域農地にこのような大増税をもたらしたのである。
 この改正を行った「地方税法等の一部を改正する法律」(昭和五十一年法律第七号)は内閣提出法案で、第七十七国会で審議され、修正されることなく可決されている。ところが、法案を提出した政府は、一般農地と市街化区域農地を分けて説明し、段階的な負担調整は一般農地の問題だとして、市街化区域農地に影響することに触れていない。そして、一般市街化区域農地への課税拡大は今後の課題と説明している。これが最も明確なのが、昭和五十一年三月二十九日の衆議院地方行政委員会での審議である。小濱新次議員の「この宅地並み課税に対する今後の方針についてどう考えているのか」という質問に、森岡敞自治省税務局長は、三大都市圏における宅地供給の必要性等からA、B農地に宅地並み課税が実施されたが、「その地域地域によりまして、宅地化の状況、市街化の状況というものは一様ではございません。かなり格差がございます」と述べた上で、「改正案で御審議いただいておりますように、三大都市圏のC農地と、それから三大都市圏外のA、B、C農地につきましては、昭和五十四年度におきまして、各般の事情を総合的に勘案して再検討する(中略)結論を五十四年度において求めていきたい」と答弁している(地方行政委員会議録第四号二十三頁)。これらの議論を受け、自由民主党の渡辺紘三議員は、法案に賛成して「一般農地についても段階的な調整措置を講じながら課税の適正化を図ることとされており、また、三大都市圏のC農地及びその他の市街化区域農地に対する課税についても引き続き検討することとする(中略)。これらの措置はいずれも当を得たものと考えます」と討論を行った(同二十九頁)。
 一般市街化区域農地に長期で大幅な増税を招くことが認識されないまま、この「地方税法等の一部を改正する法律案」が原案のとおり可決されたことは明らかである。「附則第十九条改正によって一般市街化区域農地で宅地並みを目ざす増税が始まる」ことを伏せ、「引き続き検討を加える」と説明したのはなぜなのか、法案を提出した内閣の見解を伺いたい。

 右質問する。



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