質問本文情報
平成二十四年七月十三日提出質問第三四二号
災害廃棄物の再生利用の促進等に関する質問主意書
災害廃棄物の再生利用の促進等に関する質問主意書
東日本大震災により生じた災害廃棄物については、その迅速かつ円滑な処理が被災地の住民生活や経済活動の一日も早い復興の大前提である。しかしながら、被災三県の沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況は、平成二十四年六月三十日現在の環境省の集計によると、災害廃棄物推計量全体に占める、処理・処分された災害廃棄物量の割合は、ようやく全体の二十%を超えたばかりである。また、同一県内をとってみても市町村ごとにその処理の進捗に大きなばらつきが生じている。
平成二十三年五月に環境省が策定した「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」で示されたスケジュールにおいては、平成二十六年三月末までの災害廃棄物の処理完了という達成目標が掲げられているが、震災から既に一年四ヶ月余りが経過する中で、最終処分場の確保といった課題も残っており、被災地復興に向けた政府の対応はあまりにも遅いと言わざるを得ない。
こうした中、災害廃棄物の最終処分量の削減に資するためにも、出来る限り分別を行い、再生利用する量を増やす必要がある。マスタープランにおいても、再生利用が可能なものは、極力再生利用することとされている。
遅きに失した感があるが、野田総理からも、本年三月十三日に開催された東日本大震災で発生した災害廃棄物の処理の推進に関する関係閣僚会合において、関東大震災のがれきで横浜市に山下公園を整備した事例を挙げ、将来の津波から住民を守る防潮林の盛り土や避難のための高台整備、道路の路盤の材料として、被災地の災害廃棄物を再利用していく考えが示されている。
そこで、これらを踏まえて、次の事項について質問する。
環境省が本年六月八日に発出した「東日本大震災で発生した倒木等の自然木・木くず等の造成地等における活用について」においては、一定の自然木の丸太は盛土材等として埋設しても差し支えないものの、細かな木くず・建設系廃木材等については、埋設することで汚水や腐朽による発熱、メタンガス・硫化水素ガスの発生等により生活環境保全上の支障が生じる虞があることから、盛土材の品質を満たし得ず、よって最終処分場以外の場所での埋立ては認められないとされている。そこで、自然木の丸太と細かな木くず・建設系廃木材等とについて、その取扱いに差異を設け、細かな木くず・建設系廃木材等は埋立てを認めないこととした根拠となる生活環境保全上の支障の発生に係るデータをお示し頂きたい。
二 岩手県大槌町や宮城県岩沼市では、防潮堤構想の一環として実証実験が実施されている。放射性物質への懸念から広域処理の受入れに慎重な自治体も多い中で、域内処理とともに環境保全及び地域経済の活性化につなげ、災害廃棄物を復興資源として再生利用する取組を後押しするためにも、自然木・木くず等の木質系廃棄物を最大限活用する必要があると考える。これに対する政府の基本的見解を伺いたい。
三 また、災害廃棄物処理の進捗の遅れの原因の一つに、処理の前提となる分別の不十分さが考えられる。分別は再生利用のみならず、焼却処理、最終処分、安全性確保、そして広域処理の具体化に当たっての受入れ自治体との調整の観点からも重要であり、上記マスタープランにおいても、発生現場において可能な限り粗分別を行った後に仮置場等へ搬入し、仮置場等において混合状態の廃棄物を、更に分別し、それぞれの特性に応じた適切な処理(再生利用、中間処理、最終処分)を行うことにより、総処理コストの低減、最終処分量の削減等に資することが重要とされている。きめ細かく選別を実施している自治体がある一方で、選別の不十分さによりなお処理が進んでいない自治体もある。
そこで、一日も早い被災地の復旧・復興のためにも、被災地における災害廃棄物の再生利用、中間処理等の取組状況を十分把握して、選別・分別が不十分な自治体に対しては国が積極的に支援することで、災害廃棄物処理の一層の推進を図る必要があると考える。この点に関する政府の方針を伺いたい。
四 放射能の影響により被災地に対する支援としての広域処理が進まない中で、被災地の復興への歩みを着実に進めるためには、現行の広域処理計画の運用について場所・状況に応じた柔軟な運用も認める必要があると考えるが、これに対する政府の基本的な見解を伺いたい。
右質問する。