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平成二十四年七月二十五日提出
質問第三五二号

医療ツーリズムに関する質問主意書

提出者  木村太郎




医療ツーリズムに関する質問主意書


 海外勤務する邦人のための日本人医師が対応する診療所・病院は、英国、中国、シンガポールなどの各国に存在し、当事国において外国人医師の資格を得た上日本人医師が診療に従事している。各国が多くの外国企業を誘致し、経済発展に資するものとして捉えた場合、海外生活者に対して健康を保証する面において、ひとつの政策として位置づけられる。特に、日本人は異国において言葉の問題が大きく、英語圏でさえも医療文化や制度の違いなどに違和感を生じるため、日本人医師の対応には安心するようである。
 報道によると、政府は今夏、アジアの富裕層を対象に、高水準の医療と観光を目的とした長期滞在型海外旅行者の受け入れに適した病院を認証する医療ツーリズムを導入すると聞く。日本政策投資銀行は、二千二十年時点において、日本への医療ツーリズム客は四十三万人の潜在需要があり、市場規模は五千五百億円と推定しており、我が国が高い医療水準を持ちながら他国に比べ立ち遅れている状況を受けて、新成長戦略による外国人患者の受け入れ推進を目的にしている。
 在留邦人のための現地医療機関における目的は、日本人の言葉、文化などの違和感を解消する意味において貢献するものであるが、医療ツーリズムについても同様の違和感が生じないのか、我が国の深刻な医師不足に加え、地域医療体制の構築が喫緊の課題である昨今において、国内医療に新たなしわ寄せが生じないのか、医療の産業化については階層消費が進み需要を喚起するものの、慎重な姿勢を要するものと考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 主要各国の年間受け入れ患者数について示されたい。また、医療ツーリズムに関して日本が立ち遅れている原因は奈辺にあるのか、野田内閣の見解如何。
二 日本政策投資銀行が「二千二十年時点において、日本への医療ツーリズム客は四十三万人の潜在需要があり、市場規模は五千五百億円」と推定しているが、その根拠をどのように分析しているのか、野田内閣の見解如何。
三 政府は今夏、アジアの富裕層を対象に医療ツーリズムを導入しようとしているが、具体的な対象国として中国人の受け入れを範疇に捉えているのか。また、それら外国人の言葉の問題や医療文化、制度の違いについてどのように分析しているのか、野田内閣の見解如何。
四 海外勤務する邦人のための日本人医師が対応する診療所・病院は、英国、中国、シンガポールなどの各国に存在するが、当初、当事国において医師法などが違い、外国人医師の資格を得ることに苦労したと聞く。今回医療ツーリズムを導入するに当たり、医師法などの整備についてどのように取り組んでいくのか、野田内閣の見解如何。
五 四に関連し、海外勤務する邦人のための日本人医師が対応する診療所・病院において、その多くは日本人医師が対応する際、基本的にプライマリーケアに留め、自由診療を採用としているが、今回医療ツーリズムを導入するに当たってはそれぞれどのように対応していくのか、野田内閣の具体的な見解如何。
六 医療ツーリズムの拡大を巡り、「海外の富裕層の患者を優先すれば、国内の医療機関や地域間に格差が益々広がる」との声があるが、どのように捉え対応していくのか、野田内閣の見解如何。
七 我が国の深刻な医師不足に加え、地域医療体制の構築が喫緊の課題である昨今において、医療の産業化については階層消費が進み需要を喚起するものの慎重な姿勢を要するものと考えるが、野田内閣の見解如何。

 右質問する。



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